「4」 と 「4800万」 。この数字が意味するものは何かお分かりだろうか。ーーと言っても、おそらくこの数字で筆者が何を言おうとしているのかピンとくる人はあまりに数少ないと思うので先に答えを言っておくと、この数字は 「HUAWEI nova 5T」 の背面カメラのレンズ数と、そのカメラで撮れる写真の画素数だ。
「HUAWEI nova 5T」 の背面には、4つのカメラが搭載されている。このカメラは超広角からマクロ撮影まで利用できる多機能なもので、画素数は4,800万。とある日常の一コマをそのままキレイに撮影することが可能だ。
国内で絶大な人気を誇るiPhoneでも背面カメラの画素数は1,200万。画素数だけでも4倍の性能差があることになる。カメラの性能はスペックの数字だけで比較することはできないものの、もしスマートフォンでキレイな写真を撮りたいのであれば、「HUAWEI nova 5T」 はあなたの良いパートナーになってくれるかもしれない。
当記事では昨年11月29日に発売したHUAWEIのミッドレンジスマートフォン 「HUAWEI nova 5T」 をレビューする。54,000円とお手頃価格ではあるものの、ミッドレンジと言っても性能的には上位モデルとそこまで大きな性能差がない本製品。今回はファーウェイ・ジャパンから端末をお借りしてのレビューになるが、約1ヶ月の試用期間の間で分かった良いところ、悪いところを贔屓目なしにお伝えしていきたいと思う。
デザイン・画面
こちらが今回紹介する 「HUAWEI nova 5T」 だ。本製品は6.26インチのTFT液晶画面(1080 x 2340ピクセル)を搭載したフルディスプレイ型のスマートフォン。端末の縁いっぱいまで画面が広がっており、ほとんど無駄のないデザインが特徴だ。
iPhoneのようなノッチデザインはないが、端末左上に丸いポチッとした穴が設けられていて、ここに内向きカメラが搭載されている。いわゆる “パンチホールディスプレイ” と呼ばれるデザインだ。
実は筆者はこのパンチホールデザインがあまり得意ではないのだが、とはいえ画面の面積に対してパンチホールはそう大きくないこともあり、実際はそこまで気にせず使うことができた。むしろそれどころかノッチがあるスマートフォンに比べて画面が広く感じられ、ゲーム・動画は快適に楽しむことができた。
本体の厚みはかなり薄く(約8mm)、軽量(174g) なため持ちやすく、片手でも操作しやすいようになっている。背面の質感もややマットなものになっていて、手に馴染む良仕様だ。
画面サイズ | 約6.26インチ/TFT FHD+(1080 x 2340) |
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本体サイズ | 73.97 × 154.25 × 7.87mm |
重量 | 174g |
背面の左上に搭載されているのがメインカメラ。縦に3つのカメラとLEDフラッシュが並んでいて、脇にもうひとつのカメラが配置されている。カメラは1,600万画素の超広角カメラと、4,800万画素の広角カメラ、200万画素の被写界深度測定カメラ、そして200万画素のマクロカメラの4つ。いずれもAIを駆使した画像解析によって、いつどんなシーンでもキレイな写真を撮影することが可能だ (カメラの性能については後述) 。
右側面には指紋認証センサーと音量の調節ボタンが搭載されている。指紋認証センサーの位置については左利きのユーザーから不満の声もあるようだが、同じく左手でスマートフォンを握る筆者は指紋認証の際、左手の人差し指や中指でロック解除するようにしているため、(iPhoneのTouch IDほどロック解除しやすいわけではないもののの) そこまで不満はない。指紋認証の精度・反応速度もかなり良く、使っていてストレスに感じることはほとんどない。
また 「HUAWEI nova 5T」 は顔認証にも対応しており、仮に指紋認証センサーでうまく認証できずとも顔認証で画面ロックを解除できる。顔と指紋の両方で認証できることで、手荒れなどでスムーズに指紋認証できない方も、花粉シーズンに顔認証できなくなってしまう方も、自分の好きな認証方法で快適に使えるはずだ。
指紋認証センサーは電源ボタンも兼ねているが 「HUAWEI nova 5T」 は端末を持ち上げるだけで画面が点灯する仕様のため、電源ボタンを押す機会はそこまで多くないかもしれない。
端末底面には最大22.5Wの急速充電に対応したUSB Type-Cコネクタが搭載されている。このコネクタのおかげでバッテリー残量がゼロ近くまで減っても、ひとたび充電をはじめるとみるみるうちにバッテリーが回復していく。充電開始からわずか30分で、50%までバッテリーを充電することが可能だ。
端末の外見・デザインについては以上のとおり。手に持った感触など写真だけではお伝えできない部分もあったかとは思うが、実際に手に持ってみて感じたのは、本製品に使用されている素材やその質感はとてもミッドレンジモデルとは思えないレベルであるということ。5万円台のスマホなのにもかかわらず安っぽさも全くないため、ハイエンドモデルを購入するユーザー層にも十分にオススメできるだろう。
ちなみに、HUAWEIのスマートバンド 「HUAWEI Band 4 / 4 Pro」 を 「HUAWEI nova 5T」 にペアリングすることで、ワークアウトの記録や心拍数の計測、睡眠トラッキングなどが利用可能。通知を送ることもできるので、通知確認用デバイスとしても利用できるはずだ。
プロセッサの性能
「HUAWEI nova 5T」 に搭載されているプロセッサは、HUAWEIが開発したARMベース64ビットSoC 「HUAWEI Kirin 980」 。高いパフォーマンスを必要とする際に使用されるビッグコア2つと、中程度の負荷がかかる際に使用されるミドルコアが2つ、そして省電力性能に優れたコアが4つの合計8コアで動作する。
実はこのプロセッサは、上位モデルの 「HUAWEI P30」 「HUAWEI P30 Pro」 に搭載されているSoCと同じもの。つまり性能的にはほぼ同じか、もしくはRAM(メモリ)容量が8GBなので 「HUAWEI P30」 よりも 「HUAWEI nova 5T」 の方が性能が上と言えるだろう。
ベンチマークスコアを計測してみた。ベンチマークはお馴染みAnTuTu (ver8.2.4) で計測してみたが、総合スコアは363244点。これは最新のスマートフォンの中でも割と上位の方の成績。10万円台のスマートフォンが多数ある中、5万台のスマートフォンでこれを手に入れられるのはとても素晴らしいことなのではないだろうか。
GPU(3D)スコアは118,972で、こちらもまずまずの成績だ。実際に3Dゲームで遊んでみると、「PUBG Mobile」 などのアクションシューティングでも快適にプレイすることができた。メモリ容量も8GBと多く、複数のアプリを起動しても快適に使用することが可能だ。
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カメラ性能
「HUAWEI nova 5T」 の最大の特徴はカメラ性能にあると言っても過言ではないかもしれない。「HUAWEI nova 5T」 には5つのAIカメラが搭載されていて、そのうち4つは背面(メインカメラ)にある。
背面カメラの内訳は1,600万画素の超広角カメラ、4,800万画素の広角カメラ、200万画素の被写界深度測定カメラ、そして200万画素のマクロカメラ。HUAWEIはプロ級のカメラと謳っていて、これらを駆使することで、ミッドレンジのスマートフォンでありながらプロ顔負けの写真を撮影することが可能だ。
ズーム・超広角
「HUAWEI nova 5T」 のカメラは最大5倍の光学ズームと最大10倍のデジタルズームを利用できる。光学ズームはレンズを動かすことで焦点距離を長くする機能で画質の劣化が起こらないため、ズームする際はぜひ光学ズームを利用していただきたい。ズーム倍率はワンタップで3段階で調節できるようになっているが、長押しで細かくズーム倍率を変更することも可能だ。
そして、「HUAWEI nova 5T」 には近年スマホ業界でトレンドとなっている超広角レンズも搭載されており、より画角の広い写真を撮影することが可能。下記画像は通常の広角レンズと超広角レンズとの比較になるが、超広角レンズで撮影した方はより鉄塔が存在感を放っている写真に仕上がっている。
ポートレート・アパーチャ
「HUAWEI nova 5T」 では、一眼レフのように背景をぼかした写真が撮影できる 「ポートレート」 モードと 「アパーチャ」 モードが用意されている。
どちらも背景をぼかして印象的な写真が撮影できるという点では同じような機能になるのだが、ポートレートは美肌レベルの調整などができ、人物を撮影する専用モードといったところ。
アパーチャモードは物の撮影に適したモードで、ポートレートモードとの大きな違いとしては撮影時にボケ効果の調整が可能なこと。また、撮影後にボケ効果を調整したり、凝った背景効果を追加することもできるため、編集に凝りたい場合はこちらで人物を撮影するのもアリだ。
ちなみに上記はアパーチャモードで撮影したメッソン。ほとんど手を加えることなく背景をうまくボカすことができた。
夜景 (ナイトモード)
「HUAWEI nova 5T」 のスゴいところは、5万円台のミッドレンジ級のスマートフォンなのにも関わらず夜景を肉眼で見ているのと同じくらいキレイに撮影できるということ。
試しに夜の東京を撮影したみた。比較対象として 「iPhone 11 Pro」 のナイトモードで同じ景色を撮影してみたのだが、両者同レベルか、むしろ 「HUAWEI nova 5T」 の方がキレイに撮れるという結果に。
最も顕著に差が出たのはイルミネーションの撮影で、カメラの画素数が高いおかげもありひとつひとつの緻密な光点をもクッキリと撮影できていることが確認できると思う。
東京タワーの撮影もお手の物。強い光が当たっている部分を撮影するとやや潰れがちではあるものの、概ね夜景はキレイに撮影することができると評価してもいいのではないだろうか。
ちなみに 「HUAWEI nova 5T」 のナイトモードは、 「iPhone 11 Pro」 のナイトモードと同じくシャッターの開放を長くして光をなるべく多く取り込むことで実現している。シャッターボタンを押してから実際に撮影が終わるまで数秒がかかるため、ジッと堪えて撮影しないと手振れで被写体をうまく写せないこともある。本当にキレイに撮影したいならミニ三脚などを使って固定するといいだろう。
マクロ
最後はマクロ撮影。「HUAWEI nova 5T」 のマクロレンズは最短4cmまで近づいて撮影が可能で、普通のスマホカメラでは撮影できないマクロな世界を写真に収めることができる。道端を歩く小さなアリを撮影することも可能。試しに筆者の持つメジャーを撮影してみたが、ミリ単位のスケールがこれほど大きく撮影できることが確認できた。
ほかにも 「HUAWEI nova 5T」 ではスロー・パノラマ・HDR撮影なども利用できる。また、車のテールランプを流すように撮影できるテールライトトレイルなど様々なエフェクトも利用できるため、SNSへの写真投稿も楽しくなりそうだ。
残念な点
デザインやカメラ性能など優れた部分が多く、筆者個人としてはそこそこ気に入っている 「HUAWEI nova 5T」 だが気になる点もいくつか存在する。
まずはおサイフケータイに非対応であること。キャッシュレス化が進んでいる現代において、多くのスマートフォンが “かざす決済” に対応しているが、「HUAWEI nova 5T」 ではおサイフケータイを利用することができない。もし以前におサイフケータイ対応機種を使っていたなら、この点に関しては大きなデメリットに感じてしまうかもしれない。
次に気になるのがmicroSDカードスロットが用意されていないこと。「HUAWEI nova 5T」 のストレージ容量は128GBとなっているため、スマートフォンのカメラを普段からメインで使っている方は容量が足りなくなる可能性がある。ただし、これについてはGoogle Driveなどオンラインストレージをうまく活用することで解決することも可能だ。
また、「HUAWEI nova 5T」 は防水仕様ではない点にも注意。ポケットに 「HUAWEI nova 5T」 を入れた状態で強い雨の中を傘をささずに歩いた場合、運が悪ければ水没してしまう可能性も。もちろん、台所やプールなどの水回りで使用する際には細心の注意を払おう。
まとめ
以上が 「HUAWEI nova 5T」 のレビューとなる。
実際、この手に持って使ってみると予想以上の性能・仕上がりで、とても5万円台のスマートフォンとは思えなかった。HUAWEIのラインナップの中ではミッドクラスの製品となるが、性能では上位モデルに大きな差があるわけではないため、スマートフォンの購入費用を抑えたい方にまさにうってつけのデバイスと言えるのではないだろうか。
また、個人的に高く評価したいのはカメラ。カメラの品質で高く評価されている 「iPhone 11 Pro」 に負けず劣らず (ナイトモードなどiPhoneより優れている一面も) の性能を持っていることから、スマートフォンで写真を撮る機会が多い人にもオススメ。旅行などで偶然美しいロケーションに遭遇した時でも、すぐにポケットやカバンから 「HUAWEI nova 5T」 を取り出せば、見た景色をすぐそのまま写真に収めることができるだろう。
- ハイエンドスマホと同じくらいの性能のスマホを安く購入したい方
- スマートフォンで写真を撮影する機会が多い方
- 高級感のある本体を求める方
- 表示領域が画面いっぱいまで広がるデザインが好きな方
- 指紋認証・顔認証の両方を使いたい方
ちなみに、HUAWEIが今後発売する新規スマートフォンは米国からの制裁の影響でGoogleのサービスが使えるかは不透明ながら、「HUAWEI nova 5T」 についてはGoogle PlayなどしっかりGoogleのサービスが使える上に今後もサポートが継続される予定。その点はぜひ安心していただきたい。
「HUAWEI nova 5T」 はAmazonや楽天市場などで販売中。カラーラインナップは今回紹介したミッドサマーパープルに加えて、クラッシュブルー、ブラックの3色展開となっている。次の機種変更は 「HUAWEI nova 5T」 を選択肢に入れてみてはどうだろうか。
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