完全ワイヤレスイヤホンの機能の中で、近年トレンドに上がっているのがアクティブノイズキャンセリング機能だ。
Appleの 「AirPods Pro」 をはじめ、様々なメーカーからアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが登場しているが、その多くが密閉型やカナル型などつけ心地がしっかりしているものばかり。もっとライトなつけ心地でアクティブノイズキャンセリング機能を利用できないだろうか。
もしそんな完全ワイヤレスイヤホンを探しているなら、HUAWEIの 「FreeBuds 3」 がオススメだ。同製品は昨年11月に発売した新製品で、発売当時は世界初のオープン型&アクティブノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンとして話題になった。
今回、ファーウェイ・ジャパンからこの 「FreeBuds 3」 をお借りし、実際に使い心地を試すことができたので、装着感や音質、アクティブノイズキャンセリング機能の効き具合などについて詳しく紹介したいと思う。
デザイン・仕様
こちらが今回紹介する 「FreeBuds 3」 のバッテリーケースだ。手のひらに収まるくらいのコンパクトサイズでジーンズのポケットにも難なく入るものの、完全な円形をしているので他の完全ワイヤレスイヤホンのバッテリーケースに比べると横幅が少し大きく感じられるかもしれない。
バッテリーケース下部には充電用のUSB Type-Cポートが搭載。ポートの横にはLEDインジケーターが用意されていて、ケースの蓋を開けたり充電を始めたときに点灯するようになっている。
バッテリーケースを上方向にパカっと開くと、いよいよイヤホン本体が登場。ちなみに余談だが、バッテリーケースの蓋は机などに置いても勝手に閉まらないような構造になっている。「FreeBuds 3」 はファームウェアアップデート時にバッテリーケースの蓋を開けておく必要があるので、この点は地味ながら良心的だ。
さて、イヤホン本体の話題に戻ろう。今回お借りしたのはホワイトモデルということもあり、パッと見たときの雰囲気は “耳からうどん” と揶揄された 「AirPods」 そのもの。ただし、サイドの棒がイヤホンの頭部分から突き抜けるようなデザインのため、「AirPods」 に比べるとバッテリーケースから取り出しやすくなっている。
左:AirPods / 右:FreeBuds 3
イヤホン本体の大きさは 「AirPods」 と同じくらいに見えるが、実際に装着してみると 「FreeBuds 3」 の方が若干の圧迫感を感じた。そういう意味では 「AirPods」 よりもしっかりとした装着感を求める方にはオススメかもしれない。
着脱を感知する近接センサーも搭載
「FreeBuds 3」 の側面にはタップセンサーが搭載されており、ダブルタップすることで音楽の再生・一時停止やノイズキャンセリングのオン・オフなどを切り替えることができる。
タップの感度はそれなりといったところ。慣れてくれば自在に操作できるようになるが、最初のうちはタップする場所やダブルタップの感覚がつかめず、少しだけ手間取ってしまった。これに関しては何度も練習あるのみだ。
ちなみに、ダブルタップ時に実行される操作は後述のアプリで変更することが可能だ。これについてはアプリの説明時に詳しく触れたいと思う。
設定アプリ 「HUAWEI AI Life」
「FreeBuds 3」 は通常のワイヤレスイヤホンのようにBluetoothで接続すればすぐに音楽を聴き始めることができるのだが、細かい調整をするためにはAndroidアプリ 「HUAWEI AI Life」 が必要となる。
また、本体のファームウェアアップデートはアプリ経由で行う必要があるため、実質的に 「FreeBuds 3」 を最大限に使うには 「HUAWEI AI Life」 アプリは必須とも言える存在。ダウンロードはGoogle Playから可能だ。
アプリではイヤホンの接続状態やバッテリー残量を確認できるほか、先ほどもお伝えしたとおり本体のファームウェアアップデートを実行できる。メニューの 「ショートカット」 ではダブルタップ時に実行される操作を、「ノイズキャンセリング」 ではノイズキャンセリングの効き具合を調整することが可能だ。これらの設定を自分好みに調整することで、「FreeBuds 3」 がより快適に使えるはず。
ちなみに、現時点で同アプリはAndroid向けにしか配信されていないため、「FreeBuds 3」 をiPhoneやiPadで使うことを前提としている方は注意していただきたい。
音質・ノイズキャンセリング
アプリの設定も済んだところで、早速 「FreeBuds 3」 で音楽を聴いてみた。
「FreeBuds 3」 の音の特徴を端的に表すなら、低音強めの迫力重視タイプ。オープン型といえばイヤホンの形状も相まって低音が弱めで迫力に欠けるイヤホンが多いが、同イヤホンはオープン型のそれとは思えないほど迫力のある音で、初めて聴いたときにはかなり驚かされた。大規模なオーケストラによるクラシックや、ロックなどの楽曲との相性がとても良さそうだ。
ただし、もともと低音が強めの楽曲を 「FreeBuds 3」 で聴くと他の音が低音に埋もれてしまい、全体的な音のバランスが悪くなってしまうという欠点も。「AirPods」 「AirPods Pro」 は低音から高音までをバランスよく鳴らすタイプなので、迫力重視なら 「FreeBuds 3」 、バランス重視なら 「AirPods」 「AirPods Pro」 となるかもしれない。
ちなみにワイヤレスイヤホンなので、音の遅延は残念ながら存在する。ただ、YouTubeなどを見ていてもさほど気にならない程度なのでそこまで心配をする必要はないだろう。
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そして、肝心のアクティブノイズキャンセリング機能について。おそらく多くの方が疑問に思っているのが 「本当にオープン型でノイズが軽減されるのか」 だと思うが、答えはイエス。
さすがに 「AirPods Pro」 やSONYの 「WF-1000XM3」 のノイズキャンセリング機能のようにシーンと静まり返るレベルではないものの、風や雑踏の音など耳障りな音をある程度軽減できていた。「FreeBuds 3」 のノイズキャンセリング機能は “ノイズの遮断” というよりも “ノイズの軽減” と考えていただいて構わない。
また、アプリの紹介の際にも触れたが、ノイズキャンセリングの効き具合はアプリで自分の好きな具合に調整できる。電車内では雑音が多いのでノイズキャンセリングを強めに、ランニング中は車に気をつけたいからノイズキャンセリングを少し弱めに、などシーンに応じて強弱を変更できるのは強みと言えるだろう。
バッテリー持ち
「FreeBuds 3」 のバッテリー持ちはイヤホン単体で最大4時間、付属するバッテリーケースを併用することで合計20時間。これは完全ワイヤレスイヤホンとして平均的かやや物足りないものになる。
さらに上記はノイズキャンセリング機能をオフにした状態のデータで、オンにした状態だとさらに短くなる。筆者が試してみたところ、イヤホン単体で3時間半に届かないくらいだった。
もし新幹線や飛行機などでの長距離移動中に 「FreeBuds 3」 で音楽を聴く場合、途中で充電時間を設けなければずっと音楽を聴き続けるのは難しいだろう。また、毎日の通勤・通学で使う場合は充電のし忘れもご法度。毎日の充電を欠かさないようにするか、もしものためにモバイルバッテリーを持ち歩いた方が良さそうだ。
ちなみに、バッテリーの充電はケース底面のUSB Type-Cポートから可能だが、さらにQi規格に対応したワイヤレス充電器でも充電できる。もちろんワイヤレス充電は送電時のロスが大きく充電時間が長くなってしまうため、手早く充電したいときには有線で充電するようにしよう。
まとめ
以上が 「FreeBuds 3」 の特徴や使用感だ。オープン型でありながらアクティブノイズキャンセリング機能を搭載したことで、ノイズキャンセリングイヤホンに密閉型以外の選択肢をもたらした画期的な完全ワイヤレスイヤホン。オープン型のライトなつけ心地はそのままに、周囲の雑音を軽減することでより良質な音楽体験を実現した。
密閉型のイヤホンはがっつり音楽を聴きたいときには適しているが、装着感が結構しっかりしているため、気軽にポケットから取り出して音楽を聴くという用途には若干不向き。電車での移動時や部屋で何らかの作業をしているとき、何気なく音楽を楽しむことが多い方に 「FreeBuds 3」 は向いていると言えるかもしれない。
また、オープン型であるにも関わらずパワフルで迫力のある音が楽しめるのも 「FreeBuds 3」 の魅力の一つ。低音重視のイヤホンが好きな方にはぜひオススメしたい。
「FreeBuds 3」 のカラーラインナップはブラックとホワイトの2色。ただし、明日2月14日から新色としてレッドモデルが追加販売されるため、合計3色での展開となる。購入する際はぜひお好きなカラーを選んでいただきたいが、せっかくならAirPodsにはないブラックやレッドを選んでみてはどうだろうか。
「FreeBuds 3」 の価格はオープン。Amazonでの実勢価格はカラーごとに異なり1.4~2万円で販売されている。