
GoProは8月10日、2026年第2四半期(4~6月)の業績を発表した。カメラの出荷台数は前年同期比38%減の約29万1000台、売上高は31%減の1億490万ドル(約153億円)となった。純損失は5100万ドル(約75億円)に拡大し、6月末時点の現金および現金同等物も2730万ドル(約40億円)まで減少している。
厳しい業績が続くなか、会社の今後を左右する動きも進んでいる。5月に取締役会が承認した会社売却を含む戦略的選択肢の検討について、創業者兼CEOのニック・ウッドマン氏は「後半段階(later stages)」に入っていると説明した。
GoProには国防、コンシューマー、金融の各分野から問い合わせが寄せられているという。ただし、買収候補の企業名や売却価格、取引の形態、具体的なスケジュールは明らかにしていない。
カメラ事業は縮小、サブスクは成長。業績低迷続くGoPro、会社売却の検討は後半段階へ
第2四半期の売上高は1億490万ドルで、前年同期の1億5260万ドルから約31%減少した。このうちハードウェアの売上高は7600万ドルで、前年同期から約40%減少している。
4月のNAB Showで発表した「MISSION 1」シリーズは5月から出荷が始まった。新シリーズが市場に投入された最初の本格的な販売期間となったものの、カメラ事業全体の落ち込みを補うには至らなかった。
GAAPベースの売上総利益率は30.2%で、前年同期の35.8%から低下。純損失は5100万ドル(1株当たり0.30ドル)となり、前年同期の1640万ドルから赤字幅が広がった。非GAAPベースの純損失は3600万ドル、調整後EBITDAは2900万ドルの赤字だった。
今回の決算には特殊要因も含まれている。関税還付による1900万ドルの利益があった一方、部品の購入契約に関連して1500万ドルの費用を計上した。
財務面でも厳しい状況が続いている。6月30日時点の現金および現金同等物は2730万ドルで、2025年末の4970万ドルから大きく減少した。有利子負債は元本ベースで8720万ドル。このうち2440万ドルは2021年の信用契約に基づくもので、180日以内に返済期限を迎える。
また、6月末時点で2025年の信用契約に定められた財務制限条項を順守できていなかったほか、別の契約でも一部の条項に抵触していた。7月9日には金融機関から免除を受け、同日に2000万ドルの新たなノートを発行している。
GoProはこうした状況から、今後1年以内の継続企業としての存続について重大な不確実性があると説明している。業績見通しについても、会社売却などを含む戦略的プロセスが続いているため、ガイダンスを取り下げた状態が続く。
一方、サブスクリプションおよびサービスの売上高は2900万ドルで、前年同期比11%増加した。全社売上高に占める割合も前年同期の17%から28%に上昇している。
カメラ購入者のうちサブスクリプションに加入する割合を示すアタッチ率は69%で、前年同期の54%から上昇し、過去最高を記録した。継続率は67%で、これまでとほぼ同じ水準。平均ユーザー売上高(ARPU)は前年同期比9%増、前四半期比5%増となった。AIコンテンツライセンス事業からは200万ドルのサブスクリプション売上があったという。
GoProのサブスクリプションでは、撮影したコンテンツのクラウドへの自動アップロード、クラウド上で動画を編集できるモバイルアプリ、カメラが壊れた際の交換サービス、GoPro.comでの最大50%割引などを提供している。
カメラの販売が落ち込む一方で、継続課金の売上は伸びている。現在のGoProにとって、サブスクリプション事業は数少ない成長分野となっている。
新シリーズ「MISSION 1」を拡充中。9月には交換レンズモデル
GoProはカメラ事業の立て直しに向け、MISSION 1シリーズのラインアップを拡充している。
現在販売している「MISSION 1」「MISSION 1 PRO」に加え、「MISSION 1 PRO Creator Edition」「MISSION 1 PRO Ultimate Creator Edition」を追加。Ultimate Creator Editionには、AIによる被写体追跡に対応する「Fluid Pro AI gimbal」を組み合わせている。
アクセサリーも拡充しており、外部モニターやマイクなどを接続できる「MISSION 1 Series Media Mod」、最大9時間の連続録画に対応する「Volta 2 Battery Grip」、ワイヤレスマイクの「Wireless Mic Complete Kit」、小型ライトの「Light Mod 2」などを用意する。
これらの特別モデルとアクセサリーは8月後半からGoPro.comや世界各地の販売店で販売する予定だ。また、「MISSION 1」「MISSION 1 PRO」「MISSION 1 Pro Grip Edition」は現在、100ドル値引きする期間限定キャンペーンを実施している。
9月には、MISSION 1シリーズの3機種目となる「MISSION 1 PRO ILS」を発売する。MISSION 1 PRO ILSは交換レンズに対応するモデルで、300本以上のMicro Four Thirdsレンズを利用できる。8K撮影に対応する小型で堅牢なボディーに、GoPro独自の「HyperSmooth」映像手ブレ補正を組み合わせた。
iPhoneやiPadから撮影映像を確認できる「MISSION Monitor」アプリも9月にApp Storeで提供する予定だ。ライブプレビューやフォーカス確認、構図オーバーレイに加え、リモートからカメラを操作する機能にも対応する。
従来の「HERO13」シリーズや360度カメラ「MAX2」も引き続き展開する。MAX2については6月にファームウェアを更新し、10bitカラーの「GP-Log」、最大200Mbpsのビットレート記録、低照度撮影時の制御機能などを追加した。
製品の用途を広げる取り組みも進めている。6月には「Yamaha Champions Riding School(ChampSchool)」の公式カメラに採用され、ライダーの走行姿勢や技術を確認するトレーニング用途にGoProのカメラが使われることになった。ChampSchoolの各チャンネルは年間2900万以上のインプレッションを獲得しているという。
また、イタリアのヘルメットブランドAGVとは、テクノロジー搭載バイクヘルメットを共同開発している。GoProによれば、開発は予定通り進んでおり、すでにECE 22.06の安全基準への適合を達成した。
GoProの業績悪化は今回始まったものでもない。2025年通期の純損失は9350万ドルに達しており、年間売上高は2021年の11億6000万ドルから、2022年に10億9000万ドル、2023年に10億500万ドル、2024年に8億150万ドル、2025年には6億5200万ドルまで減少した。カメラの販売台数も2025年だけで20%減少している。
その一方で、GoProはMISSION 1シリーズという新しい製品群を投入し、サブスクリプション事業も成長させている。9月には交換レンズ対応のMISSION 1 PRO ILSも控えている。ただ、手元資金が減少し、負債や信用契約をめぐる問題も抱えるなか、新製品の成長を長期間待てる状況とは言いにくい。
今回、会社売却を含む戦略的選択肢の検討が「後半段階」に入ったことが明らかになった。GoProがどの企業と組むのか、あるいは会社そのものが売却されるのかは、今後のMISSION 1シリーズやサブスクリプション事業の行方にも影響する可能性がある。
新製品の販売を伸ばしながら、会社の将来を決める交渉も進める。GoProは現在、そんな難しい局面に立っている。
情報ソース
- GoPro Announces Second Quarter Results | GoPro Inc.
- GoPro Management Commentary Q2 2026 Earnings Call
(画像:GoPro)
