
Samsungが披露した「Galaxy Z TriFold」は、折りたたみスマートフォンの延長線上にありながら、その使い方を大きく広げる製品だ。三つ折りという強いビジュアルの印象が先に立つが、実機を前にしてまず感じたのは、奇抜さよりも、日常的に使う端末としての作り込みの確かさだった。
今回、サムスン電子ジャパンの担当者立ち会いのもと、約1時間にわたって実機を操作する機会を得た。短時間のデモではなく、折りたたみ時の感触やUIの挙動、持ち替えた際のバランスまで確認できたため、本稿ではその使用感を中心にレポートする。
閉じればスマホ、開けばタブレット。「奇抜さ」より「実用性」を感じた理由
Galaxy Z TriFoldは、閉じた状態では約6.5インチのスマートフォンとして使える。サイズ感は一般的な大画面スマートフォンに近く、通知の確認やSNS、日常的な操作で違和感を覚えることはない。
そこから2段階で展開すると、約10インチの内側ディスプレイが現れる。アスペクト比は4:3で、動画視聴やWebブラウジングに加え、2〜3アプリを並べて使うマルチタスクにも向いた比率だ。画面を完全に開くと本体は最薄3.9mmと極薄で、ここまでコンパクトに収まるのかと素直に感心させられる。
画面の解像度は10インチのメインディスプレイが2160×1584、カバー画面が2520×1080。どちらも1〜120Hzのアダプティブリフレッシュレートに対応する。
三つ折りという構造上、折る順番は決まっている。左側のパネルを先に畳む必要があり、逆の動きをすると振動で警告される仕組みだ。最初は少し戸惑うものの、何度か操作すれば自然と手が覚える。右側のパネルの方がわずかに幅が広いため、開く際に指が自然と引っかかり、スムーズに展開できる。
内側ディスプレイの折り目は、斜め45度から蛍光灯下で見ると、光の反射によって浅い谷間が確認できる。ただし、通常使用時にはほぼ気にならない程度だ。輝度が高く、発色も良いため、映像への没入感を大きく損なうことはない。
Galaxy Z TriFoldの使い勝手を支えているのが、Galaxy AIと独自機能の組み合わせだ。3つのアプリを横並び、あるいは縦並びで表示でき、動画を再生しながらメッセージに返信し、同時に別アプリを確認するといった操作もスムーズに行える。
One UIはTriFoldの画面構成を前提に設計されており、アプリの切り替えや分割表示にストレスは感じにくい。最大5アプリを同時に表示できるDeXモードでは、スマートフォンというより小型のPCを操作している感覚に近い。
テキスト入力をしながら資料を参照したり、画像をドラッグ&ドロップしたりといった操作も無理がない。大画面をどう使わせたいのか、その意図がUI全体から自然と伝わってくる。
Galaxy AIを使った写真編集や要約機能も、このサイズだからこそ活きる場面が多い。生成AIによる画像編集では、編集前後を並べて比較でき、効果を直感的に確認できる。
また、画面の内容を理解して対話できる「Gemini Live」を使えば、ショッピングサイトと部屋の平面図を並べ、家具が収まるかどうかを確かめるといった使い方も現実的だ。AIを前面に押し出すというより、作業の流れの中に自然に組み込まれている点が好印象だ。
スペック面では、Qualcommの最新SoCであるSnapdragon 8 Eliteを搭載し、RAMは16GB、ストレージは最大1TBまで対応。バッテリー容量は5600mAhと大容量で、最大45Wの急速充電や最大15Wのワイヤレス充電、ワイヤレスバッテリー共有に対応する。
カメラは、約2億画素のメインカメラを中心に、1200万画素ウルトラワイド、1000万画素望遠(3x光学ズーム)を搭載し、日常的な撮影から高解像度の写真まで幅広く対応する。内側・外側それぞれには1000万画素のセルフィーカメラも搭載する。
一方で、ネガティブな点もハッキリしている。閉じた状態での厚みは約12.9mm、重量は309gと、一般的なスマートフォンと比べると厚く重い。ポケットに入れて持ち歩くと、その存在感は否応なく意識させられる。
ただし、この重量感は「スマートフォンとして見た場合」の話だ。視点を小型タブレットに切り替えると、印象は大きく変わる。実際、筆者が持ち運び用タブレットとして使っているiPad mini(約300g弱)と比べても、本体の薄さのおかげで数字以上に軽く感じられる。
折りたたむことで持ち歩くときの体積を抑えられるため、通常のタブレットを持ち歩くよりも扱いやすい場面は多い。スマートフォンとタブレットを別々に持ち歩くのではなく、「TriFold一台で両方をまかなえる」という点に、この端末ならではの価値がある。移動中や飛行機内など、限られたスペースで使う場面を想定すると、その利便性はよりハッキリする。
ちなみに、本体の構造上、画面を片方だけ折り曲げてスタンドのように使うという柔軟な置き方はできない。Galaxy Z Foldシリーズに慣れているユーザーほど、この違いは気になるポイントになりそうだ。
ハンズフリーで使いたい場合は、背面にスタンドを備えた別売のケースを使うと、動画視聴なども快適になる。TriFoldの大画面を活かした使い方を想定するなら、こうしたアクセサリーの併用は現実的な選択肢のひとつだ。
「Galaxy Z TriFold」が示す折りたたみスマホの「次段階」
Galaxy Z TriFoldは、話題性を狙ったコンセプトモデルではない。ポケットに収まるサイズと10インチ級の作業領域を両立させようとした結果として、この三つ折りという形に行き着いたデバイスだ。
外出先でも大画面で作業したい人や、ノートPCやタブレットを持ち歩く頻度を減らしたい人にとって、この構成は明確なメリットになる。一方で、軽さや手軽さを重視するユーザーには、オーバースペックに感じられる可能性もある。
価格も高めに設定されており、万人向けの製品とは言い難い。何をしたいか、どんな場面で使いたいかが明確な人ほど、この端末の価値を実感しやすいだろう。
折りたたみスマートフォンが、実験的な存在から用途で選ぶ存在へと移行しつつあることを、Galaxy Z TriFoldは分かりやすく示している。三つ折りという構造も、もはや話題性だけで語られる段階を超えたと言えるのではないだろうか。
なお、Galaxy Z TriFoldは、Galaxy HarajukuおよびGalaxy Studio Osakaにて、2月下旬から展示が始まる予定だ。三つ折りという構造は、写真や動画だけでは把握しきれない部分も多い。サイズ感や折りたたみ時の挙動が気になる人は、実機に触れて確かめてみることを勧めたい。
