現地時間9月23日、EU (欧州連合) は、域内で販売される電子機器に搭載される充電ポートをUSB-Cに統一する方針を発表した。
今回、EUの政策執行機関である欧州委員会が法改正案を提出。欧州議会で議論を経たのちに法制化する。法制化後から24ヶ月の移行期間をもって、EU域内で販売される電子機器 (スマートフォンやタブレット含む) にはUSB-Cポートが搭載され、microUSBやLightningなどのポートは事実上搭載できなくなる。
同法案の目的は、利用者の利便性の向上、および充電器やケーブルの廃棄物を削減するためとされる。全製品に搭載する充電コネクタを同一のものにすることで、年間に出る廃棄物を1千トン減らすことができると欧州委員会は主張する。
同法案の影響を受けるのは、microUSBなどUSB-C以外のポートを搭載したデバイスを販売する会社。最も大きな影響を受けるのはAppleで、同社はLightningという独自のコネクタをiPhoneに搭載し、販売している。明日9月24日に発売する新型iPhoneこと 「iPhone 13」 シリーズにもLightningが搭載されている。
EUは10年以上前から、デバイスに搭載されるポートの統一化に向けて動いており、当初30あった充電器も現状3つに減っている。しかし、10年経った今でもポートの統一化を実現できておらず、法律で規制することにしたとのこと。
欧州委員会の2019年の調査によると、2018年に販売された充電器の半分にはmicroUSBコネクタが搭載されており、29%にUSB-Cコネクタ、21%にLightningコネクタが搭載されていたという。
当然ながらAppleはこの一連の法改正案に反対の意思を表明しているものの、法改正が行われてしまえば、Appleは遅くても2年後(2023年)に発売する 「iPhone 15」 シリーズから、Lightningコネクタを廃止する必要がある。また、来年秋に発売する 「iPhone 14」 シリーズをその翌年も継続販売する計画なら、そもそも 「iPhone 14」 の段階でLightningを廃止する必要が出てくる。
今回の規制の対象には、タブレット製品やヘッドホン、カメラ、携帯ゲーム機なども含まれる。タブレットに関してはAppleのラインナップで言えばiPadも含まれるが、iPadの場合は1モデルをのぞいたすべてのデバイスでUSB-Cへの置き換えが完了しているため、その影響は軽微とみられる。
なお、そもそも有線ポートそのものを搭載せず、すべてワイヤレスで完結することで本法改正を回避する選択肢もあるかもしれない。ただし、ワイヤレス充電は有線充電に比べて充電速度が遅いなどデメリットもあることから、完全ポートレスモデルを投入するのが必ずしも最善とは言えないだろう。
ちなみに、欧州委員会は充電ポートの統一だけでなく、デバイスと充電器のセット販売を認めつつ、デバイス単体で販売することも義務付ける方針。これについては、すでに多くのメーカーが充電器の同梱をやめていることから影響は少ないものとみられる。
(via Reuters)
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