
米Disneyは、動画配信サービス「Hulu」の単独アプリを2025年中に段階的に廃止し、Huluで提供されてきたコンテンツを「Disney+」に完全統合する方針を明らかにした。
HuluコンテンツはDisney+内に移行、「Star」タブは「Hulu」に変更へ
この方針は、同社の四半期決算にあわせて発表されたもので、ストリーミング戦略の強化を目的としている。
すでにDisney+ではHuluの一部コンテンツが視聴可能になっているが、今後はHuluのすべての番組や映画がDisney+内で利用できるようになる。
ただし、「Hulu」というブランド自体は今後も残り、これまでDisney+の「Star」タブとして展開されていた一般向けコンテンツの枠が、今秋からは「Hulu」に置き換わる予定だ。今後はDisney+内で「Hulu」ブランドのコンテンツを視聴するという形式になる。
一方で、「Hulu + Live TV」の扱いについては現時点で明確になっていない。Disneyは、Disney+とHuluを引き続き個別契約可能とする方針を示しているが、実際の操作性や導線といった詳細は今後明らかにされる見込みだ。
また、8月21日にはスタンドアロンの「ESPN」配信アプリが米国でローンチされる予定だ。月額29.99ドルで、ライブスポーツ視聴をケーブル契約なしで提供する初のサービスとなる。Disney+やHuluとバンドル契約も可能になる予定。
DisneyのCEOボブ・アイガー氏は「アプリを統合することで、より優れたユーザー体験を提供できる」と述べており、同社のストリーミング戦略は今後も統合とブランド整理によって進化を続ける。アプリを1つにまとめることで、視聴体験の一元化と契約プランの強化を同時に進めていく構えだ。
なお、今回の発表にあわせて、Disneyはストリーミングサービスの加入者数を今後開示しない方針も明かしている。AppleやNetflixも同様の対応を取っており、業界全体で指標の見直しが進んでいる。
Hulu株買収の経緯と今後の国内展開は?

動画配信サービス「Hulu」は、2007年にNBCユニバーサル(NBCU)、FOX、Disneyの3社によって共同で立ち上げられた。その後、2019年にDisneyがFOXのエンタメ資産を買収したことで、Huluの株式も取得。以降は、NBCUと共同運営を続けながら、いずれ全株を取得する方針が定められていた。
転機となったのは2023年。NBCUが保有する33%の株式について、Disneyに買い取りを要求したことで、両社間でHuluの企業価値を巡る協議が本格化する。Disneyはすでに約86億ドル(日本円でおよそ1.2兆円)を支払っていたが、価格の折り合いがつかず、最終的には第三者による評価に委ねることで合意した。
その査定結果は、NBCUの主張よりは低い一方で、Disneyの当初提示額を上回る内容だった。このためDisneyは、差額分を2025年7月24日までに追加で支払うこととなり、約1年半にわたる対立は事実上の引き分けという形で決着を見た。
この一連の流れを経て、DisneyはHuluの運営における全権を正式に握ることになり、アプリ構成やブランド展開も含め、すべてを自社主導で進める体制が整ったかたち。
一方、日本では状況が異なる。現在、国内で展開されている「Hulu」は、日本テレビグループ傘下のHJホールディングスが運営しているため、米国のような完全統合は想定されていない。とはいえ、Disney+とのバンドルプランがすでに提供されているなど、提携によるシナジーは進んでいる。
情報ソース
▼ Disney+を契約する
(画像:Disney)