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Denon PerL レビュー|医療技術を応用した本格的パーソナライズ機能でどんな人にも “デノンサウンド” を提供

ディーアンドエムホールディングスは今年7月、同社の音響機器ブランド 「Denon (デノン)」 から完全ワイヤレスイヤホン 「Denon PerL」 シリーズを発売した。

「Denon PerL」 シリーズは、医療技術を応用したパーソナライズ機能を備えており、老若男女問わず、どんな人にもDenonのHi-Fiサウンドを最良の形で届けることができるイヤホン。筆者も実際に発表会で実機を体験してきたが、パーソナライズ機能が思っていたよりも本格的だったと感じている。

今回、本製品の発売に伴い 「Denon PerL (AH-C10PL)」 の実機を提供いただき、1ヶ月ほどじっくり使ってみることができた。日常における使い心地や、パーソナライズ機能についてもより深掘りしつつ、本製品について詳しく紹介したい。

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イヤホン自体は大きめだがタッチ操作がしやすくて◎、フィット感も良し

左:Denon Perl Pro/右:Denon Perl

「Denon PerL」 シリーズには、通常モデルの 「Denon PerL」 とプレミアム機能を備えた上位モデルの 「Denon PerL Pro」 が用意されている。今回レビューしたのは、このうちの通常モデルの方だ。

上位モデルに比べるとノイズキャンセリングの強度の自動調節機能がなかったり、aptX LosslessによるCDクオリティのロスレスサウンドや空間オーディオ技術 「Dirac Virtuo」 が利用できないものの、その分安く購入できる。もちろんパーソナライズ機能は通常モデルでも利用可能だ。

まずはDenon PerLのデザインについて。イヤホン本体は大きくて丸い形をしていて、一般的なイヤホンよりも存在感がある。

身近なものと比較してみたところ、100円玉とほぼ同じサイズだった。装着感や持ち運びのしやすさには影響しないが、他のイヤホンに比べるとやはり存在感を感じる大きさであることを実感する。カラーはブラック1色のみが用意。

イヤホン形状はカナル型で、ひっくり返して内側を見るとイヤーチップやウィングアタッチメントが装着されている。

付属してくるイヤーチップはシリコン製のものが全4種類、フォームイヤーチップが1種類。ウィングアタッチメントは全2種類だ。

上:シリコンイヤーチップ/下:フォームイヤーチップ

イヤーチップやウィングアタッチメントはイヤホンの密閉度に影響する部分で、パーソナライズ機能を利用するには自分の耳に合った正しいものを選ぶ必要がある。もしきちんと密閉されているか自信がなくても、パーソナライズ機能を設定する際にアプリ側で密閉度をテストする工程があるため安心だ。

上記が実際にイヤホンを装着してみた様子。外側からは見えない部分にはなるが、ウィングアタッチメントがいい感じにイヤホンを支えてくれてフィット感はかなり良好だ。

イヤホンのおもて側にはタッチボタンが搭載されており、音楽の再生/停止や曲送りなどを指だけで手軽に操作できる。タッチボタンの操作はアプリから自由に設定が変更可能だ。

イヤホンが大きいことはデメリットになるかと思いきや、意外にもこのタッチボタンが押しやすく、思い通りに操作できるメリットの方が大きかった。

イヤホンは充電ケースに入れることで充電できる。充電ケースは横長タイプで、サイズは72.4 × 30.2 × 35mm、重量は47g。

ケース正面側にはバッテリー残量などを示すLEDインジケーターが、背面側にはケースを充電用するためのUSB Type-Cポートが搭載されている。

バッテリー駆動時間は、イヤホン単体だと最大6時間、ケースでの充電を含めて最大16時間。ケース自体の充電は2時間で完了する。もし緊急でイヤホンのバッテリーを充電したい場合は、ケースに10分間イヤホンを入れておくことで、1時間分のバッテリーを充電できる。

ちなみに、イヤホン本体とケースはどちらもIPX4相当の防滴性能を備えており、弱い雨や軽い運動時の汗くらいなら水没することなく使い続けることができる。ジョギングのお供にも最適だ。

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どんな人にもデノンサウンドを届けるパーソナライズ機能がすごい

Denon PerLの一番の魅力は、やはりパーソナライズ機能だ。

本機能は、新生児の難聴検査に用いられる医療技術を応用したもので、イヤホン本体がユーザーの音の聴こえ方を正確に分析し、イヤホンから出力される音を自動で最適化する。この測定技術のことをデノンは 「Masimo AAT」 と呼んでいる。

Masimo AATは、人間の耳に備わっている耳音響放射を利用している。ヒトの聴覚は、一定の音を入れたときに蝸牛内で入ってきた音とは周波数の異なる音が作られ、その微小な音が中耳を通して外耳道内に放射される。これが耳音響放射だ。

この微小な音を高感度マイクで集音し、その大きさに応じて聴覚の特性をユーザーの感覚に頼らずに自動で解析。そして、この結果をもとにプロファイルを各ユーザーごとにチューニングする。

パーソナライズ機能を備えたイヤホンはすでに世の中に存在するが、その多くが外耳だけを測定したものばかり。Denon PerLは耳音響放射を利用した測定機能により、耳の中までしっかりと測定し、正確なパーソナライズ機能を実現した。

そして、Masimo AATによって作成されたプロファイルを活用して、デノンのサウンドチームがチューニングしたサウンド、通称 「デノンサウンド」 をどんな人の耳でも実現するというのがすごいところだ。

パーソナライズ機能は、専用アプリ 「Denon Headphones」 から設定できる。上記画面に表示されているのが、実際の測定結果を利用した筆者のプロファイルだ。

上記の円は12時方向を0として、時計回りに低い音〜高い音の聴こえ方を表している。測定は左右の耳で別々に行われており、両耳の結果を合わせたものが左、片耳ずつの結果は右で確認できる。

筆者の場合、低音と中音〜高音にかけての間の音が少し聴こえづらいものの、低音〜中音の間にかけての音や高音がよく聴こえているということになる。このあまり聴こえていない領域の音を強調してあげることで、どんな人にもデノンサウンドを届けることができるというわけだ。

筆者が6月に作成したプロファイル

ちなみに、Masimo AATは耳音響放射を利用してユーザーの音の聴こえ方を測定するため、測定するたびに結果が変わることはほぼない。

6月の発表会のときに筆者が作ったプロファイルと8月に作成したプロファイルを比べてみると、測定した部屋が異なることからわずかな違いはあるものの、聴こえ方の傾向はほとんど変わっていないことが分かる。

プロファイルの有無でどれほど聴こえ方が変わるのかをチェックしたいなら、アプリの 「ニュートラル」 「パーソナライズ」 をタップすることで簡単に切り替えられる。

筆者は高音がよく聴こえていて、低音が聴こえづらいということで、ニュートラル状態にして音楽を聴いてみると中音〜高音ばかりが前に出てきてしまい、低音はほとんど聴こえず、全体的に薄っぺらい音に感じてしまう。

これをパーソナライズに切り替えると、低音がしっかりと補強されて重厚なサウンドに。ニュートラルのときに感じた薄っぺらさは一切なくなり、どっぷりと音楽に浸かるような感覚を味わうことができた。これがデノンのサウンドチームが届けたい 「デノンサウンド」 なのだろう。

また、Denon PerLはハイブリッド型のノイズキャンセリングや外音取り込み機能も備えているため、飛行機など乗り物での利用やジョギング時の周囲の状況確認など日常のあらゆる状況で活用しやすいのも特徴だ。

ノイズキャンセリングに関しては、無音の状態だとエアコンの音やキーボードの入力音などが少し聴こえてきてしまうため、完全に集中したいときには、環境音のような作業の邪魔になりにくい音を小さな音量で鳴らしておくのが良さそうだった。もっとも、せっかくの音質なのでヒーリング音楽などの方が耳も幸せになって個人的にはオススメ。

BluetoothコーデックはSBC/AAC/aptXに対応。48msの低遅延伝送にも対応するため、音の遅延などもほとんど気にならなかった。日常的に使うイヤホンとしてはかなり優秀な性能と言えるのではないだろうか。

本格的なパーソナライズ機能で最高の音楽体験を

Denon PerLは、体験会で触ったときにパーソナライズ機能の良さはなんとなく感じていたのだが、実際に日常生活で使ってみると改めてそのすごさに感動している。

しかも、ノイズキャンセリング機能や外音取り込み、イヤホン表面のタッチボタンなど、使いやすさもしっかりと考えられていることから、完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり優秀な製品だと感じた。

左が他の人、右が筆者の結果

上記は体験会のときに、筆者のプロファイルと隣の人のプロファイルを並べて撮影したもの。これほどまでに音の聴こえ方が違っているのであれば、同じイヤホンで同じ楽曲を聴いたとしても、人によっては 「低音が強い」 「高音が強い」 と全く違う意見になってしまうことも頷ける。

しかし、Denon PerLのパーソナライズ機能を使えば、イヤホンが自動で音を調節して、どんな人にも 「デノンサウンド」 を届けてくれる。音の聴こえ方が違う人同士でも、同じ体験を共有できるということだ。

パーソナライズ機能やデノンサウンドが気になった人は、ぜひ購入してみてはどうだろうか。Denon PerLは、Amazonなどで33,000円(税込)で購入可能だ。