
Googleの若年層ユーザーによる検索のうち、10%以上が 「かこって検索 (Circle to Search)」 から始まっていることが明らかになった。このデータは、Google Indiaのマネージングディレクターであるローマ・ダッタ・チョベイ氏が、先週開催された 「The Indian Society of Advertisers (ISA) CEOカンファレンス」 で発表したものだ。
同氏はLinkedInにて、「若年層ユーザーの検索の10%以上が『かこって検索』から始まっており、これによりブランドはより幅広いクエリや豊かな意図のシグナル、新たな顧客エンゲージメントの機会を得ることができる」 と投稿。また、このデータがインド国内に限定されるものではなく、グローバルな統計であることも明らかにした。
「かこって検索 (Circle to Search)」 は、Androidデバイスで利用できる新たな検索方法。画面に表示されている画像やテキストなどを指やスタイラスペンで囲む、タップする、なぞるなどの操作で、Google検索を起動し、囲んだ対象に関する情報を瞬時に検索できる。対応デバイスは、Google PixelシリーズやGalaxyシリーズなど一部Androidデバイス。
Google Japan|丸で囲ったり、ハイライトしたり、なぞったりして「かこって検索」してみよう

この新しい検索トレンドは、AI技術の進化によって検索のあり方が変わってきていることを示している。特にマーケティングやブランド戦略の観点から、大きな影響を与える可能性がある。カンファレンスでは、2025年以降の企業経営や競争、そしてイノベーションを形作る3つの重要なAIの進化についても議論された。
- AIのマルチモーダル活用でより深い理解が可能に
テキストだけでなく、画像や音声を組み合わせて情報を分析できるAIの進化により、ユーザーの意図をより正確に把握できるようになる。これにより、SNSの話題や市場の動きを的確に捉え、より個別化された検索結果や広告を提供することが可能となる。マーケティングの分野では、よりスピーディーで効果的なキャンペーンの作成が期待される。 - 検索の方法が変わり、より直感的に
「かこって検索」 のような新しい検索方法の登場は、テキストを主体とした検索方法から視覚・音声・動画・対話型の検索方法への移行を加速している。これにより、検索はより直感的かつ柔軟になり、ユーザーが求めている情報に素早くたどり着けるようになる。企業にとっても、より詳細なユーザーの興味やニーズを把握できるようになるため、より効果的なマーケティング戦略の構築が可能となる。また、企業内においても、高度な検索技術を活用することで従業員が迅速かつ正確に情報を得ることができるため、生産性を向上させることが期待される。 - AIエージェントによる業務効率化
企業の業務効率化もAIによって大きく変わりつつある。従来のチャットボットよりも高度な「AIエージェント」が登場し、データ分析や顧客対応、コンテンツ制作、プログラミング支援など、さまざまな業務をサポートしている。例えば、注文変更や製品のトラブル対応など、従来は人間が対応していた業務をAIがスムーズに処理できるようになり、コスト削減と生産性向上が期待されている。

こうした検索の進化に対応するため、Googleは「Gemini」という最新のAIモデルを提供し、企業がAIを活用しやすい環境を整えている。Geminiはテキスト、画像、音声などを組み合わせたマルチモーダルな分析が可能で、検索体験の向上やカスタマーサービスの強化、クリエイティブコンテンツの生成など、多様な分野で活用が期待されている。
「かこって検索」 の登場は、従来の検索方法を大きく変えつつあり、特に若年層では新しい検索スタイルが急速に広まっている。この変化は、ブランドにとって新たな顧客との接点を生み出し、マーケティング戦略をより最適化するチャンスとなるだろう。