
中国のスマートフォン市場が、2025年第2四半期に前年同期比2.4%のマイナス成長となった。過去の補助金施策による「前倒し需要」の反動と、新製品サイクルの一時的な鈍化が背景にある。
カウンターポイント・リサーチの最新レポートによれば、中国スマートフォン市場は再び調整局面に入っている。OEM各社は補助金頼みの戦略から転換しつつあり、市場全体としては穏やかながらも確実な地殻変動が起きている。
Huaweiが再び首位に、vivo・OPPOが追走

2025年第2四半期において最も顕著な動きを見せたのはHuaweiだ。出荷シェアは前年同期の15%から18.1%に拡大。
中価格帯の「Nova 14」シリーズが地方都市を中心に売れ行きを伸ばし、加えてフラッグシップ機種の戦略的な値下げが奏功した。これにより、Huaweiは2四半期連続で中国市場のトップを維持する形となった。
2位のvivoは、引き続きオフライン販売網の強さが効いている。中価格帯の「Yシリーズ」に加え、新学期シーズン向けに投入された「S30」シリーズが若年層に人気を博した。鮮やかなカラーバリエーションとポートレート特化のカメラ性能が、SNSネイティブ世代の支持を集めている。
OPPOは6月の「618」ショッピングフェスに合わせて「Reno 14」を投入。前世代からのデザイン進化により、特に若年層女性からの支持を得た。
注目すべきはサブブランドのOnePlusだ。自社開発のゲームエンジンをSoCレベルで統合し、人気シリーズ「Ace 5」に搭載。このエンジンはチップアーキテクチャと連携する形でゲーム中のフレームレート安定化やレスポンスタイム改善を図っており、ゲーム・エンスージアスト層の心を捉えている。
Apple、Xiaomi、HONORも独自のアプローチで競争
Appleは「iPhone 16 Pro」を大幅値下げし、「618」セールではiOSユーザーの買い替え需要を刺激した。だが、これにより下半期に登場予定の「iPhone 17」シリーズの需要が前倒しされ、販売に影響が及ぶ可能性もある。
Xiaomiは新製品の投入は控えめだったものの、既存の人気機種「Redmi K80」や「Mi 15」の値下げによってシェアを維持。出荷台数でもHuaweiに次ぐ成長率を記録した。
また注目は、同社が独自開発したアプリケーションプロセッサ「Xring O1」を「Xiaomi 15S Pro」に初搭載した点だ。これは中国スマホメーカーによるチップ内製化の流れを象徴する動きだ。
HONORは、2025年第2四半期に入っても積極的な製品展開を継続。「HONOR 400」シリーズは2億画素カメラ、7200mAhバッテリーといったハードスペックを武器に、低価格帯ながらも “スペック訴求型ユーザー” に好まれている。
需要減速の中で存在感を示すには「投入タイミング」と「価格戦略」が大事に
全体として見ると、補助金政策の縮小や前倒し需要の反動、そして在庫調整フェーズへの移行により、中国のスマホ市場は踊り場に差し掛かっている。ただし、地方自治体の補助金クレジットが一部で停止された一方、国家レベルでは補助金制度は2025年通年で継続される見込みだ。
カウンターポイント・リサーチは、今後の見通しについても慎重な姿勢を崩していない。大型プロモーションやフラッグシップモデルの前倒し投入が一定の需要を支える一方で、関税や部品価格の上昇、消費者マインドの変動など複数のリスク要因が市場の重荷になり得る。
2025年通年ではプラス成長が予測されているものの、勢いは限定的となりそうだ。今後は製品性能だけでなく、タイミングと価格戦略がより重要になる局面に突入していくとみられる。
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