現地時間1月6日、Bluetooth SIG (Bluetooth Special Interest Group) は米ラスベガスで開催中の 「CES 2020」 で、次世代Bluetooth Audio 「LEオーディオ」 を発表した。
LEオーディオはBluetoothのパフォーマンスを改善しただけでなく、補聴器のサポートやオーディオシェアリング機能も追加する。オーディオシェアリング機能については一部のワイヤレスイヤホンなどがすでに実現していたりもするが、同機能がネイティブ実装されることで一般的なワイヤレスイヤホン・ヘッドホンでも複数デバイスで同時に音楽が視聴できるようになる。
ちなみにBluetooth Audioは2つのオペレーションモードをサポートし、LEオーディオはBluetooth LE Radioで稼働、Classic AudioはBluetooth Classic Radioで稼働する。
①パフォーマンスの改善。より高い音質・低消費電力を実現
LEオーディオは低電力でありながら低データレートによる高音質を実現した新しいオーディオコーデックLC3を採用することでパフォーマンスが改善。音質と低電力性能がより高められている。
これについてFraunhofer IISのAudio for Communications部門長を務めるManfred Lutzky氏は「様々なリスニングテストの結果、LC3のビットレートが50%と低い中で、オーディオ品質においてClassic AudioのSBCコーデックを上回ることが裏付けられました。つまり、開発者はこの省電力性を活用することで、さらにバッテリー寿命の長い、あるいは現在の寿命が十分に長い場合はより小型化されたバッテリーを使用して、フォームファクター(形状因子/形状係数)を抑えた製品開発が可能となるのです」と述べている。
②オーディオシェアリング
LEオーディオではマルチ・ストリーム・オーディオ機能が追加される。この機能はスマートフォンやオーディオシンクデバイスなど複数台のオーディオソースデバイス間で、オーディオストリーミングによるマルチ配信や独立配信、同期配信を可能にするというもの。
そしてBroadcast Audioというオーディオシェアリング機能もサポートされる。オーディオソースデバイスが1つ以上のストリーミングコンテンツを無制限の数のオーディオシンクデバイスにブロードキャストできる。
Bluetoothオーディオシェアリング機能は一般ユーザーに大きな恩恵がある。スマートフォンにある音楽コンテンツを家族や友人とシェアするなど誰かと音楽を共有する際に役立つはずだ。また、ロケーション・ベースのオーディオシェアリングも利用でき、空港やバーやジム、映画館や会議センターなどの公共施設において会場全体に音楽をシェアすることも可能になる。
LEオーディオの詳細が記載されたBluetoothの仕様書は、2020年前半に提供が開始されるため、実際の製品に組み込まれるのはそれ以降ということになりそうだ。