ASUS JAPANは、2024年3月にグローバルで発表した 「Zenfone 11 Ultra」 を7月5日に国内発売すると発表した。本日7月3日から予約受付を開始している。
今回、「Zenfone 11 Ultra」 の発売に先立ち、ASUS JAPANから 「Zenfone 11 Ultra」 の実機をお借りすることができたので、デザインや実際の使い勝手などをレビューとしてお届けしたい。
デザイン:コンパクトさが特徴だったZenfoneが大型化。デザインはほぼ 「ROG Phone 8」 と同じ
「Zenfone 11 Ultra」 は、ASUSのハイエンドスマートフォン 「Zenfone」 シリーズの最新モデル。これまでの 「Zenfone 9」 と 「Zenfone 10」 は片手で使えるコンパクトさをアピールした小型モデル路線だったが、数年前から続く大型モデルに対する需要の高まりを受けてか、今年の最新モデルは 「Zenfone 11 Ultra」 のみとなり、6.78インチの大型画面を搭載した。
「Zenfone 11 Ultra」 は、先に国内で発売したゲーミングスマートフォン 「ROG Phone 8」 シリーズをベースに日常での使いやすさを考えて開発されていることもあり、デザイン・仕様面の多くが 「ROG Phone 8」 と共通している。
ただし、「Zenfone」 ブランドのスマートフォンということで、「ROG Phone 8」 の背面にあったROGロゴや、本体を斜めにカットするようなゲーミングスマートフォンらしいデザインは採用せず、昨今の 「Zenbook」 シリーズなどでお馴染みの、光のラインが浮かび上がるAモノグラムが採用されている。
背面カメラは広角+超広角+望遠のトリプルカメラを採用。「Zenfone 10」 のカメラ構成に新たに望遠カメラを追加し、多彩な写真撮影に対応できるようにした。
ちなみに、カメラ構成やレンズ配置は 「ROG Phone 8」 と同じだが、カメラユニットの形状は微妙に異なる。「ROG Phone 8」 のカメラユニットは2つの部品が上下にくっついたような2段デザインをしていたが、「Zenfone 11 Ultra」 は段差が1段しかないシンプルなデザインになっており、「ROG Phone 8」 よりも洗練されている印象を受ける。
本体サイズは、高さ163.8 × 幅76.8 × 奥行き8.9mm、重量は225g。「Zenfone 9/10」 はジーンズのポケットにも楽々入るサイズ感だったが、「Zenfone 11 Ultra」 は本体が大型化したことで、本体がちょっぴりはみ出してしまう。個人的には、あのコンパクトなデザインが良かったのになあと思ったり。
本体カラーは、エターナルブラック・スカイラインブルー・ミスティグレー・デザートサンドの4色で、今回はスカイラインブルーをお借りした。
スカイラインブルーは鮮やかすぎず落ち着いた青色で、爽やかさも感じられる。性別・年代に関わらず、どんなファッションとの相性も良いので、多くのユーザーに選ばれそうなカラーだ。
おもて面には、6.78インチのLTPO AMOLEDディスプレイを搭載。解像度は2,400 × 1,080ドット (フルHD+) で、画面占有率は94%の狭額縁ベゼルを採用しており、本体の隅から隅まで広々と画面を使うことが可能だ。
ディスプレイは1〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応し、用途に合わせてリフレッシュレートを最適化してバッテリー消費を抑える仕組み。ゲームプレイ中には、「Game Genie」 から最大144Hzのリフレッシュレートにすることも可能だ。
生体認証は、画面内蔵型の指紋認証と顔認証に対応。実際に指紋と顔を登録してみたが、精度・スピードともにスムーズで問題なし。
本体側面には、右側に電源ボタンと音量調整ボタンが搭載。「ROG Phone 8」 には、横向きでゲームをプレイするときにコンソールのRボタンやLボタンのように使うことができる超音波タッチセンサー 「AirTrigger」 が右側面に搭載されていたほか、横向きで有線充電しながら使うときに充電ケーブルが邪魔になりにくい2つ目のType-Cポートが左側面に搭載されていたが、これらは 「Zenfone 11 Ultra」 には搭載されない。数少ない差別化ポイントのひとつで、逆に言えばこれらの機能が欲しいなら 「ROG Phone 8」 を選ぶべきだろう。
本体下部には充電・通信用のUSB Type-CポートとSIMスロット (nanoSIM ×2) 、3.5mmイヤホンジャックが搭載。昨今は3.5mmイヤホンジャックを廃止するデバイスが多いなか、「Zenfone 11 Ultra」 は有線イヤホンがそのまま利用できる。リズムゲームをプレイする方には嬉しい仕様とも言えるだろうか。
本体の充電は有線とワイヤレスの両方に対応しており、有線では65Wの急速充電に対応。ワイヤレス充電はQi規格に対応しており最大15Wで充電できる。
本体の防水・防塵性能はIP65/IP68相当。これから夏休みが近くなってくると、プールや海など水に関係するアクティビティが増えていくので、水没の心配なくどこにでも持っていけるのは嬉しい仕様。筆者個人的にはお風呂でゆっくりする際にチル音楽を再生することがあるので、スマートフォンの防水性能は高ければ高いほど良し。
ちなみに、内蔵スピーカーはステレオ仕様のデュアルスピーカー。明瞭感と音の厚みもしっかりしていて、音楽・ゲームをするには十分な性能だ。なお、BluetoothはQualcomm aptX AdaptiveおよびaptX Losslessに対応しているため、同規格をサポートするイヤホンでロスレスオーディオを楽しむこともできる。
SoC:フラグシップ 「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3」 を採用。ゲームもカメラもサクサク動作
内蔵SoCは、「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3」 を採用。ハイエンドモデル向けのSoCということで、重めのゲームアプリなども快適にプレイできる性能に仕上がっているはず。AnTuTuベンチマークとGeekbench 6でベンチマークスコアを計測してみた。
計測の結果、AnTuTuベンチマークは213万超え、Geekbench 6のシングルコアは2270、マルチコアは6829、GPU (OpenCL) は14811と、現時点で発売しているスマートフォンの中ではかなり高い結果になった。
実際にゲームなど重めのアプリを使ってみても動作はかなりサクサク。カメラの起動も速く、カメラモードの切り替えもスムーズだ。これなら一般的な使い方をする上で不満に感じることはほとんどないはず。
ゲームの動作チェックのため、『原神』を30分ほどプレイしてみた。画質 「最高」 でプレイすると、本体はどうしても熱くなってしまうものの、動作自体は比較的スムーズだった。
端末名 | Antutu | Geekbench 6 シングルコア |
Geekbench 6 マルチコア |
Geekbench 6 GPU |
---|---|---|---|---|
Zenfone 11 Ultra | 2130072 | 2270 | 6829 | 14811 |
ROG Phone 8 | 2175418 | 2332 | 7332 | 14463 |
「Zenfone 11 Ultra」 は 「ROG Phone 8」 と同じSoCを搭載しているため、基本的な処理性能はほぼ同じ。ただし、「ROG Phone 8」 に搭載している急速冷却用ヒートシンクは 「Zenfone 11 Ultra」 には搭載されていないため、若干スコアは高めに出る。また、熱を帯びづらいことも加えて、ゲームプレイ時における快適さは 「ROG Phone 8」 のほうが上と言えるだろう。
そのほか、メモリ容量とストレージ容量の組み合わせは、12GB/256GBと16GB/512GBの2種類。microSDカードを使ったストレージ拡張ができないことから、容量の大きいアプリを使ったり、たくさん写真を保存しておきたい人は16GB/512GBモデルを選んでいただきたい。
ちなみに、12GB/256GBモデルと16GB/512GBモデルではカラーラインアップが異なっており、12GB/256GBモデルはエターナルブラック・スカイラインブルー・ミスティグレー・デザートサンドの4色から選べるのに対し、16GB/512GBモデルはエターナルブラック・スカイラインブルーの2色のみとなる。
AI機能:オンデバイスAI機能をはじめとする便利機能が多数。日本語の文字起こしは要改善か
「Zenfone 11 Ultra」 は、ASUS独自のAIアルゴリズムを使用したオンデバイスAI機能を多数搭載している。オンデバイスの機能ということで、ネットワークがない環境でも使用できる上に、セキュリティ面でも安心だ。
たとえば、リアルタイムで通話内容を翻訳する 「AI通話翻訳」 。通話中にリアルタイムで相手の話している内容をテキスト表示してくれる。海外から英語で電話がかかってきても慌てることなく対応できる。
「AI文字起こし」 も便利な機能だ。録音した音声データを文字起こしできる機能で、会議の内容を録音しておいて、後で文字起こしした内容をもとに議事録をまとめるなどの使い方ができる。
「AI通話翻訳」 も 「AI文字起こし」 も現段階ではベータ版の機能ということで、精度に関してはいまひとつと感じる部分もあった。特に 「文字起こし」 について。たとえば英語を聞き取る際の精度はそれなりに高いのだが、日本語は一部聞き取れないことがある。
これは、どの文字起こしサービスでもよくあるもので、英語はしっかりと文字起こしできるのに、日本語はイマイチ。これは 「Zenfone 11 Ultra」 でも同様だった。
おそらくこの機能はAndroidの文字起こし機能をベースにしたものだと思うので、日本語の文字起こし精度については仕方ないと思っているが、文字起こしは仕事でもよく使う機能なのですこしでも改善されたらなと思っている。
そのほか、AIを活用した機能としては 「AI壁紙生成」 「AI画像検索」 などの機能が用意されている。
「AI壁紙生成」 は、AIの力でオリジナルの壁紙を作り出す機能。設定アプリの壁紙の項目から 「AI壁紙」 を選択し、背景・トーン・インスピレーションといった項目を選択して壁紙を生成することで、選択したイメージに沿った壁紙を作成できる。試しに 「SF」 風の壁紙を作ってみたところ、上記の壁紙が作成できた。
「AI画像検索」 については、ギャラリーアプリでテキストによって画像を検索する機能。「花」 「車」 といったキーワードで検索してみたところ、かなり正確な検索ができていたように思う。面白いと思ったのが、「車」 と検索したときに車を撮影した写真だけでなく、車内で撮影した写真も検索されたこと。車の外観を写した写真ではなくても、「車」 と認識して検索結果に表示しているようだ。
また、AI以外の機能では、画面内に計算機などのアプリをフローティング表示できる 「エッジツール機能」 や、YouTubeなどのバックグラウンド再生を実現できる 「Video Genie機能」 、同一端末内で同じアプリを2つ利用できる 「ツインアプリ機能」 などの便利機能も備えている。
さらに、国内販売モデルはFeliCa搭載により、おサイフケータイを利用できる。メインのスマートフォンとしても十分に活躍できるはずだ。
カメラ性能:ジンバルカメラで遠くのものもブレずにクッキリ撮影
「Zenfone 11 Ultra」 は、リアカメラの性能が向上している。先代の 「Zenfone 10」 がデュアルカメラだったのに対し、「Zenfone 11 Ultra」 には新たに望遠カメラが追加され、広角+超広角+望遠のトリプルカメラになった。画素数は、広角カメラが5000万画素、超広角カメラが1300万画素、望遠カメラが3200万画素。
広角カメラは6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー3.0を搭載するほか、光学式・電子式の手ぶれ補正にも対応するため、静止画も動画もブレずにくっきりと撮影できる。また、高い画素数を活かしたクロップズームによるロスレス2倍ズームにも対応した。
新たに追加した望遠カメラは、3倍光学ズームと最大30倍のデジタルズームに対応。デジタルズーム時はさすがに画質が落ちて荒い画像にはなるが、手ぶれ補正のおかげか、他のスマートフォンよりもくっきりと撮影できている印象だ。
以下、筆者が撮影した写真を作例として紹介。
どの写真も明るく撮影できているほか、広角と望遠はジンバルや手ぶれ補正のおかげでくっきりとした写真に仕上がっている。
以前に 「ROG Phone 8」 でつば九郎を遠くからキレイに撮影した写真をアップしたが、「Zenfone 11 Ultra」 でも同等の写真が撮影できるので、球場など遠くのものを写す機会が多い方にはこのASUSのスマートフォンは十分にオススメできる。
バッテリー持ち:1日駆動できる大容量バッテリー、65W急速充電で緊急充電にも対応
「Zenfone 11 Ultra」 のバッテリー容量は5,500mAhと大容量。基本的には朝にきちんと100%までフル充電しておいて、SNSや音楽再生、動画視聴、メール返信などの軽い作業をする程度なら、1日中持ち歩いてもバッテリー切れになることはほとんどない。
もし寝る前に充電を忘れてしまったり、日中にゲームのし過ぎでバッテリーを消費しすぎてしまったとしても、最大65Wの有線充電を利用すればあっという間に充電できる。
実際に筆者も、家を出発する前に 「Zenfone 11 Ultra」 を充電し忘れていることに気づき慌てて15分ほど充電したところ、30%→65%程度までチャージできたので、ひとまず安心して出発できた。あとは目的地に到着してから充電したり、モバイルバッテリーで継ぎ足すように充電すれば、その日の使用で困ることはないだろう。
また、ワイヤレス充電にも対応するため、バッテリー関係で困ることはほとんどなさそうだ。
まとめ:フラグシップとしての性能は十分、ただ本音は 「小型路線も極めて欲しかった」
「Zenfone 11 Ultra」 は、今年5月に国内発売した 「ROG Phone 8」 とほとんど同じ仕様になっているため、フラグシップを名乗るのに十分なスペックを持ったスマートフォンになっている。
また、そのなかでスマートな背面のデザイン、カラフルなカラーラインアップなどからは、「ROG Phone 8」 とはまた違う “Zenfoneシリーズらしさ” をすこし感じることはできた。
「ROG Phone 8」 との違いを改めてまとめると、筐体デザインの違い、急速冷却用ヒートシンクが搭載されていないことに限られる。そのためどちらを購入するかは好みの差とも言えそうだが、強いて言うならゲーム用途では 「ROG Phone 8」 を選ぶべきで、あまりゲームをしないが高性能なスマートフォンが欲しいという人は 「Zenfone 11 Ultra」 がオススメとなる。
最後にあくまで筆者個人的な (希望を含めた) 考えを述べるが、すでに 「ROG Phone 8」 を触ってしまっていることもあって、「Zenfone 11 Ultra」 はすこし面白みに欠けたというのがやや本音としてはある。「Zenfone 11 Ultra」 が現世代のスマホとして十分な性能を持っていることは間違いないものの、やはりどこかZenfoneらしさを感じられる部分が不足している。
筆者としては、「Zenfone 9/10」 のコンパクトなのにハイエンドという唯一無二とも言える特徴をとても気に入っていた。世界的に見れば、大画面で動画を見たりゲームをしたいという要望が多いのも事実。それを踏まえて、今回の大型化への路線変更はユーザーのニーズを見極めた結果なのかなと、一応ポジティブに捉えてはいるが、筆者と同じように小型モデルを望んでいるユーザーも多いはず。少なくとも日本市場では 「Zenfone 9/10」 のコンパクト感は一部ユーザーから高い評価を受けていた。
そもそも、ASUSが大型モデルに舵を切ったのには理由があることだろうから、小型モデルを望むのはやや贅沢な考えかもしれないが、一方で、一抹の期待を抱いてもいる。
今年のモデルは 「Zenfone 11 Ultra」 と最上位機種っぽく “Ultra” をつけているのに、なぜか無印モデルが投入されていない。これは将来的に無印モデル、もっと言うと従来のコンパクトなモデルを投入する余地を残しているのではないだろうか。
今年の 「Zenfone 11 Ultra」 へのユーザーの反応次第では、来年以降 「ユーザーの要望に応えて小型モデルが復活!」 みたいな展開もあるかもしれない。将来のことはどうなるか分からないが、そういう点でも今後のZenfoneシリーズの行末をしっかりウォッチしていきたいと思えた。
「Zenfone 11 Ultra」 は、12GB/256GBモデルが139,800円、16GB/512GBモデルが159,800円で購入できる (どちらも税込) 。本日から予約受付が開始され、発売は7月5日を予定している。
ちなみに、「Zenfone 11 Ultra」 の発売を記念して、ASUS Storeで期間内に購入した人には、以下の3つの購入者特典が用意される。対象購入期間は2024年8月31日(土)23:59まで。
特典1:送料無料
特典2:Zenfone 11 Ultra RhinoShield SolidSuit Case (standard version) をプレゼント
特典3:同時購入で対象アクセサリが15%オフ