Apple、｢Apple Watch Series 9／Ultra 2｣ から血中酸素濃度の測定機能を削除し販売継続へ。特許紛争による影響で (米国)

Appleは、明日1月18日午後5時(東部標準時)から、血中酸素濃度の測定機能を搭載しない ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ を販売することがわかった。米Apple系メディア9to5Macが伝えた。

同時に、米国において血中酸素濃度の測定機能を有する ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ を購入することはできなくなる。

米国で血中酸素濃度の測定機能を搭載しない ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ が販売へ

血中酸素濃度の測定機能を省いた ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ を販売する理由は、Appleと医療機器企業Masimoとの間で行われている、Apple Watchの血中酸素センサー技術を巡る特許紛争にある。

米国国際貿易委員会 (ITC) は昨年10月、AppleがMashimoのもつ特許 ｢光を用いたパルスオキシメーター機能を有するウェアラブル電子機器｣ を複数侵害したとし、Appleに対して ｢(同機能が搭載されている限り) 米国内へのApple Watchの輸入を禁止する｣ 命令を下した。

これを受けて、Appleは昨年12月21日、米国内における ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ の販売を停止した。

同時に、アメリカ連邦巡回控訴裁判所に対して控訴を行なった。そして、控訴期間中の販売禁止措置を一時的に停止することを求め、同月27日に販売が再開されていたが、控訴裁判所がこの要求を却下したことにより、1月18日に再び ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ の販売を停止することになった。

Apple Watch Ultra 2

血中酸素センサーを搭載しているかぎり、｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ を販売することができないAppleは、ついに血中酸素濃度の測定機能を搭載しないモデルを販売する方針に踏み切った。Appleはハードウェアに変更は加えず、ソフトウェアから血中酸素濃度測定機能を削除したモデルを販売する案を米国税関国境警備局に対して提出。それが認められたため、販売が再開できる見込みとなった。

Appleは、米9to5Macに対して以下のコメントを発した。Appleは現在も控訴を行なっている状態であり、米国国際貿易委員会 (ITC)の決定と、それに続く命令について異議を唱えており、控訴中においてユーザーに与える混乱を最小限にすること、そしてアメリカ連邦巡回控訴裁判所が米国国際貿易委員会 (ITC)の決定を覆すべきであると主張している。

米国で新たに販売される血中酸素濃度の測定機能のない ｢Apple Watch Ultra 2｣ ｢Apple Watch Series 9｣ には、血中酸素ウェルネスアプリが引き続き搭載されるが、起動した際には血中酸素ウェルネスアプリは利用できない旨のメッセージが表示されるとのこと。

ちなみに、上記はすべて米国内における話であり、日本を含む米国以外の地域では今後も血中酸素濃度測定機能を搭載したモデルを引き続き購入することが可能だ。ただし、この控訴は今後1年以上かかる可能性があるとしていることから、今年の秋以降に発売するであろう、次世代のApple Watchに血中酸素濃度の測定機能が引き続き搭載されるかなど、Apple Watchの機能に何らかの変更があるかもしれない。

関連記事
・Apple Watch Series 9／Ultra 2が米国で販売停止へ。Masimoとの血中酸素センサー技術を巡る特許紛争による影響で