Appleは、初の空間コンピュータ 「Apple Vision Pro」 を国内で発売した。発売日である6月28日の東京はあいにくの強雨となったものの、東京の旗艦店のひとつ 「Apple 表参道」 では、同デバイスをいち早く体験するため多くのユーザーが訪れた。
本稿では、「Apple 表参道」 におけるApple Vision Proの発売セレモニーと、開店後のストアの様子をお届けする。
Apple Vision Proの国内発売日はあいにくの大雨に
「Apple Vision Pro」 の発売日となった6月28日は、今回取材に行った 「Apple 表参道」 も含めた、すべての国内のApple Storeで ”特別な営業時間” が敷かれ、通常よりも2時間早い午前8時にオープンした。
筆者が 「Apple 表参道」 を訪れたのは7時30分過ぎだったが、すでに8名のお客さんが店舗前に列を作っていた。
オープン時は簡単なカウントダウンセレモニーが行われ、ゼロになった瞬間と同時に全員が入店し、Apple Vision Proのデモエリアへ直行した。
Apple Vision Proの発売セレモニー。
入店と同時に複数のお客さんが入店されました。多くがデモ体験のための来店だったそうですけれど、中には購入された方も!#AppleVisionPro #Apple #Apple表参道 pic.twitter.com/KidvJu4nSR
— NANA (@NANA_CoRRiENTE) June 28, 2024
「Apple 表参道」 の場合は、ストア奥の大型ディスプレイの前にデモエリアが設置され、体験者とスタッフが1on1方式で座れるようになっている。ここで一度に体験できるのは8名まで。ただし地下にもすこしスペースが設けられており、そこで試すこともできるとのことだった。
このデモでは、Apple Storeのスタッフのサポートのもと、「Apple Vision Pro」 の装着感を確かめたり、同デバイスのもつ機能を幅広く試すことが可能だ。
購入自体はオンラインで完結させることもできるものの、Apple Storeではスタッフが各ユーザーにぴったりなフィット感などを見つける手伝いをしてくれるので、確実なフィット感を求めるなら、なるべくApple Storeに行って一度体験してから購入するのがオススメだ。なお、セットアップから終了までは約30分ほどで完了できるという。
今回 「Apple 表参道」 を訪れたお客さんの多くは体験を目的としていたようで、初回のデモセッションに参加した8名のうち実際に購入したのは2名、iPhoneのようにポンポンと売れているわけではなかった。しかし、「Apple Vision Pro」 を通じて見る、初めての “空間コンピューティング” の世界に驚く声も聞こえてきた。
実際にApple Vision Proを購入した2名の方に、報道陣合同でインタビューをさせてもらった。まずは 「Apple 表参道」 で最初にApple Vision Proを購入した男性は、「アメリカで発売してから結構時間が経ちましたが、ようやく日本で手に入るようになって、とても楽しみにしています」 と嬉しそうに話した。
この男性はアプリ開発をしており、「Apple Vision Pro」 自体はApple本社で何度か体験しているという。他社製品に比べて画質が優れているのが気に入っているとのことで、「AR系の機能がとても綺麗に見えるので、期待しています」 とコメント。
また、日本円で約60万円と高価な 「Apple Vision Pro」 を購入した理由については、「スマホの次の存在みたいなものになるかなと思っているので、そのへんキャッチアップしていきたいなと思って購入しました」 とアプリ開発者らしい意見を聞くことができた。
前の男性に続いて、ストアで2番目に 「Apple Vision Pro」 を購入した男性は、「手だけで操作できて、コントローラーがいらないのが夢みたいです」 と直感的な操作ができる点を絶賛。
「Apple Vision Pro」 の使い道については、「まずは仕事に使って、家に帰ってきてからもリラックスしながら映画見たりと、ほぼ一日中使えたら幸せですね」 とコメントした。
「Apple Vision Pro」 はあいにくの天気のなかの発売となったが、Appleにとって初となるXR製品ということもあり、多くの報道陣が駆けつけるなど注目度の高さが伺えた。
約60万円とかなり高価であることに加えて、スマートフォンのように必須な製品ではないことを踏まえると、一般的な存在になるにはまだまだ時間はかかりそうではあるものの、今後のテック業界のメインストリームのひとつとなるXR市場にAppleが本格的に参入し、その製品を米国に次いでこの日本にも投入したという事実は、紛れもなく大きなニュースだったと言えるだろう。
「Apple Vision Pro」 はAppleにとって初となるXRゴーグル製品。装着することでAR (拡張現実) とVR (仮想現実) および、その両方の性質をあわせもつMR (複合現実) の世界を体験できる。
Appleはこの製品を “空間コンピュータ” と謳い、デジタルコンテンツと物理的な世界をシームレスに融合させる革命的なデバイスとしてアピールしている。
ヘッドセットは、ディスプレイを内蔵したゴーグルとヘッドバンドで構成されており、指先のみで操作する。ディスプレイを現実空間に並べて作業したり、大型のスクリーンをバーチャル空間内に配置し、自宅にいながらもまるで映画館のような広い空間で映画を楽しむことが可能だ。
「Apple Vision Pro」 の国内販売価格は599,800円(税込)〜。ストレージ容量のラインナップは256GB、512GB、1TBの3つを用意。また、純正のアクセサリとしてトラベルケースを34,800円、「ZEISS Optical Inserts — Readers」 を16,800円、「ZEISS Optical Inserts — Prescription」 を24,800円で販売する (価格はいずれも税込)。