昨年、AppleはiPhoneのバッテリー交換費用を一時的に値下げしたが、そのおかげでバッテリーを交換したiPhoneは例年よりも大幅に増えたようだ。AppleのCEOティム・クック氏が社内会議の中で明らかにしたと、Daring Fireballが伝えている。
同メディアが伝えたところによると、2018年に、AppleがiPhoneのバッテリーを交換した台数は1,100万台。これは例年の100~200万台に比べると最大11倍程度の台数となっており、いかに多くのユーザーがiPhoneのバッテリーを交換したかを物語っている。
2018年のiPhoneのバッテリー交換台数は1,100万台に
このバッテリー交換費用の値下げは、Appleが旧式iPhoneの性能を意図的に引き下げていたという指摘に対応するもの。Appleとしては劣化したバッテリー状態であっても長時間のバッテリー駆動を実現するためにソフトウェアでプロセッサの性能を抑え、数年間使っても使えるデバイスを作ることを目的としたものだったが、Appleが事前にユーザーに伝えていないものであったことから一部のユーザーから批判を浴びた。
この批判を受けて、AppleはiOS内でバッテリーの劣化具合を調べる機能や、バッテリーをどのソフトウェアで多く消費しているのかなどバッテリーに関する機能を搭載したが、さらに、不満を感じているユーザーに対してバッテリー交換費用の値下げをしユーザーの不満を解消することにした。その結果、今回報じられている通り、バッテリー交換台数が例年から大幅に増えたことに繋がっている。
ただし、この問題はのちにiPhoneの販売不振を引き起こすこととなる。販売不振は主に米中の貿易摩擦問題や中国を含む新興国の景気減速が主な原因とされているが、そのほかにもiPhoneのバッテリー交換費用の値下げが買い替え需要に影響を与える形となり、Appleにとっては痛手になったに違いない。
Appleは、今年からiPhoneの販売台数を決算発表で明かさない方針に変えている。それほどまでにiPhoneの販売台数は少なくなっていることが予想される。