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Apple、「Logic Pro」 大規模アップデート。ギター・ピアノのステム分離対応や即興演奏の自動保存機能を実装

Appleは現地時間5月28日、音楽制作アプリ「Logic Pro」に大規模アップデートを配信した。

今回のアップデートでは、ギターやピアノのステム(個別トラック)を既存音源から分離できるようになったほか、新たなサウンドパックの追加、録音忘れを救済する「Flashback Capture」機能の実装など、制作現場を意識した数々の機能強化が行われている。

中でも注目すべきは「Stem Splitter」の進化だ。これまでもボーカルやドラムなどの基本的なステム抽出に対応していたが、今回のアップデートでギターとピアノにも対応。古いデモ音源や完成済みトラックから、より高精度で各パートを抽出できるようになった。プリセット機能を活用すれば、アカペラ、インストゥルメンタル、ボーカル入りインストゥルメンタルなど、よく使われる構成をワンクリックで分離可能。

また、「サブミックス」機能により、ユーザーは特定のパートのみを簡単に書き出せるように。たとえば、ボーカルを除いたインスト音源の作成や、ドラムとベースだけを抜き出したリミックスなども直感的に行える。同機能は、Apple Silicon(M1以降)搭載のMacおよびiPadで利用可能だ。

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そして、新機能「Flashback Capture」は、インスピレーションに任せた即興演奏の録り忘れを救う機能。Logic Proがアクティブな再生モードにある間、演奏されたMIDIやオーディオパフォーマンスをバックグラウンドで自動的にキャプチャしており、ユーザーは後からキーコマンドやカスタムボタンで演奏を復元できる。

サイクルモードを活用すれば、複数テイクを即興で録音し、それぞれをテイクフォルダに自動整理。クリエイティブなフローを中断することなく、ベストテイクを後から選定できる。

今回のアップデートでは、新たに3つのサウンドパックも追加された。中でも「Dancefloor Rush」は、ドラムンベースを中心に構成された400以上のループ、パンチの効いたドラムキット、Live Loopsグリッドなどを収録し、即戦力となるクラブサウンドを提供する。

そして、Mac版にはさらに2種類のパックが追加されている。「Magnetic Imperfections」は、アナログテープ特有の粗さや揺らぎを再現したテクスチャが特徴で、ローファイな質感を求めるプロデューサーに最適だ。

一方「Tosin Abasi」パックは、同名ギタリストによるプログレッシブメタルサウンドを収録。ブティックアンプ、独自エフェクト、個性的なピッキング技法、代表的なリフなどが収められており、ヘヴィかつテクニカルなサウンド制作に活用できる。

また、これまでMac限定だった「Learn MIDI」機能がiPad版にも実装された。MIDIコントローラーのノブやフェーダー、ボタンなどに、Logic Pro内の各種パラメータを直感的に割り当てられる。

Appleはこれまでも定期的にLogic Proのアップデートを行ってきたが、今回のアップデート内容はより「実戦的」なものとなっている。ギター・ピアノのステム抽出、録音忘れのリカバリ、プロ仕様のサウンドパック、そしてiPadの利便性向上など、楽曲制作の現場でありがたみを感じる要素が一気に揃った印象だ。「Logic Pro」ユーザーはぜひアップデートして新機能を利用してみていただきたい。

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(画像:Apple)