
Appleは、年次開発者会議 「WWDC25」 の開催に先立ち、「Apple Design Awards 2025」 の受賞作品を発表した。世界中で制作されたアプリ・ゲームのなかから、インターフェース、技術、創造性の各側面で優れた12作品が選ばれた。
今年の受賞は、例年通り「喜びと楽しさ」「イノベーション」「インタラクション」「インクルージョン」「ソーシャルインパクト」「ビジュアルとグラフィック」の6部門に分かれており、各部門ごとにアプリ・ゲームの2つが表彰された。
ユーザー体験の限界に挑んだ12の作品たち

たとえば「喜びと楽しさ」部門でアプリ賞を受賞したのは、中国のHappyPlan Techによる語学学習アプリ「CapWords」。身近な物体の画像をインタラクティブなステッカーに変換することで、言葉を直感的に学べる仕組みで、視覚と文脈をフル活用しながら、多言語学習を“楽しい体験”に昇華した点が高く評価された。

同部門のゲーム賞「Balatro」は、カナダのインディーデベロッパLocalThunkによる作品。ポーカー×ローグライク×デッキ構築という複雑な要素を、見事に調和させた中毒性の高いタイトルだ。プレイヤーは自分だけの役とジョーカーカードを組み合わせて攻略していく仕組みで、運と戦略が交差するプレイフィールが好評だった。

技術革新を評価する「イノベーション」部門のアプリ賞には、米Rabbit 3 Timesによる「Play」が選出。SwiftUIを用いたプロトタイピングツールで、iPhoneとMac間のリアルタイム同期や共同編集機能など、開発者にとっての実用性と先進性が注目された。

一方、ゲーム賞には、ドイツのPhilipp Stollenmayerによる「PBJ — The Musical」が輝いた。ピーナッツバターとジャムによる「ロミオとジュリエット」という一見ナンセンスな設定を、リズムゲームとナラティブで巧みに構築。触覚フィードバックやカメラワークの演出が高く評価された。


「インクルージョン」部門では、50以上の言語に対応し、視覚障害や学習障害のユーザー支援を行う音声変換アプリ「Speechify」がアプリ賞を受賞。また、オーストリアのKlemens Strasserが開発した「Art of Fauna」がゲーム賞に選ばれた。どちらもアクセシビリティ対応に注力し、特にVoiceOverや触覚フィードバックといったUI実装の完成度が高い。


ソーシャルインパクト部門の注目作は、「Watch Duty」と「Neva」。前者はカリフォルニアの山火事対応情報をリアルタイムに届ける災害アプリ。後者は、崩壊する世界で少女とオオカミが旅する美しいアクションゲームで、環境喪失への静かな警鐘を鳴らす作品として選ばれた。


「ビジュアルとグラフィック」部門では、韓国Sketchsoftの3D描画ツール「Feather」がアプリ賞を獲得。2Dイラストから3Dモデルへの変換をタッチとApple Pencilでシームレスに行える点が評価された。ゲーム賞にはシンガポールのInfold Gamesによる「Infinity Nikki」が選出され、繊細な描写と幻想的な世界観で差別化された。
Apple Design Awardsは、UI/UXとテクノロジー、アクセシビリティ、社会的影響力を統合的に評価するアウォードということもあり、WWDCの技術的発表と並び、今後のアプリとゲーム開発の「目指すべき体験」を示す重要な指標であることは間違いない。詳細な受賞・ファイナリストリストはAppleの公式サイトまたはDeveloperアプリで確認できる。気になる方はぜひご覧いただきたい。
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(画像:Apple)