先月26日に発売となった新iPhoneの低価格モデル 「iPhone XR」 は、当初の予想より売れ行きが良くないようだ。日本経済新聞が、Appleの 「iPhone XR」 増産中止と、生産ラインの縮小を報じている。
Apple、各製造会社に増産中止を要請
日本経済新聞によると、Appleは 「iPhone XR」 の製造を委託している台湾のFoxconnと和碩聯合科技(Pegatron)に対して、増産の中止を要請したとのこと。
このうちFoxconnでは、iPhone XRの製造のために合計60ラインを稼働していたが、この増産中止を受けて、今では45ラインだけが稼働している状態であると報じた。
製造数にすると1日あたり10万台の減少。1ヶ月単位にすると約300万台少なくなることになる。これは当初の予測から20%から25%少なくなっていることを意味する。
この措置はPegatronも同様に行われている。Appleは両製造会社に対して 「これ以上の増産は不要」 と伝えており、さらにホリデーシーズン中の需要拡大期のために、第3の製造会社である緯創資通(ウィストロン)も準備しておいたが、同会社での製造はキャンセルされたとみられる。
また、増産中止の代わりに価格の安い「iPhone 8/8 Plus」の増産を行なっているとのこと。
今回の増産は「iPhone XR」 の販売が不調なのか、それともAppleが需要を大きく見積もりすぎた結果なのかは明らかではないが、発売時点で一部モデル以外は当日受取が可能であったことを考えると、やはり前者、つまり当初予測よりも売れていない可能性が高い。
この件に関して、Nikkei Asian Reviewは「Appleの革新(リノベーション)と高価格戦略の失敗」と指摘、最新モデルを投入したにも関わらず、昨年モデルの方が売れている現状に対してやや辛辣なコメントをしている。
iPhoneの販売台数に対する懸念は、日経だけではない。世界の著名アナリスト(Rosenblatt SecuritiesのJun Zhang氏)もiPhoneの販売台数が増えていない現状を踏まえ、株価見通しを「買い」から「中立」に引き下げるなど、Appleの減速を予想している。
日経の報道は悲観的な内容が多い傾向にあるが、今回ばかりはやや事実に近い可能性がある。これまでもカラーバリエーションの豊富さや、価格の相対的安さなどから今後最も売れるモデルになると予想する向きもあった「iPhone XR」 だが、「iPhone 5c」と同じ轍を踏む可能性も出てきた。