Apple、障がいをサポートする新アクセシビリティ機能を2024年後半にリリースへ。アイトラッキングや乗り物酔いの軽減機能など

現地時間5月15日、AppleはGAAD (Global Accessibility Awareness Day) にあわせて、iPhoneやiPad向けの新たなアクセシビリティ機能を発表した。

新たに実装される新機能は、アイトラッキングやミュージックハプティクスなど。これらは、視覚や聴覚、モビリティに障碍をもつユーザー、あるいは話すことが難しい方や、話す能力を失うリスクのあるユーザーのために作られたもの。“すべての人のための製品を作る” というAppleの価値観のもと生まれた機能となる。リリース時期は今年後半を予定している。

アイトラッキング

iPhoneとiPadに、アイトラッキング機能が実装される。iPhoneやiPadのフロントカメラでユーザーの視線を認識し、操作することが可能に。追加のハードウェアやアクセサリを必要とせず、セットアップやキャリブレーションも数秒で完了できる。セットアップや制御に使用されるデータは、デバイス上に安全に管理され、Appleには共有されない。

ミュージックハプティクス

本機能は、耳の不自由なユーザーもiPhoneで音楽を楽しめる機能。iPhoneのTaptic Engineが、再生中の音楽に合わせて、タップやテクスチャ、洗練された振動を再生。Appleは同機能を｢聴覚に障がいのあるユーザーがiPhoneで音楽を体験するための新しい方法｣として紹介している。

｢ミュージックハプティクス｣は、Apple Musicカタログの何百万もの曲で動作し、開発者がアプリで音楽をよりアクセスしやすくするためのAPIとして利用できるようになる。

スピーチのための複数の新機能

｢ボーカルショートカット｣を使用することで、iPhoneとiPadユーザーはSiriが理解できるカスタム発話を割り当て、ショートカットを起動して複雑なタスクを完了できる。さらにデバイス上の機械学習を使用して、障がいによって話すのが難しい人の音声パターンを認識する｢Listen for Atypical Speech｣も提供。

車両モーションキュー

iPhoneとiPadの画面端に表示されたアニメーションドットが車両の動きの変化を表し、移動中の車両での乗り物酔いを軽減する。iPhoneでは自動で表示されるように設定することも可能。コントロールセンターからオン／オフすることもできる。iPhoneに内蔵されたセンサーを利用して、ユーザーが車に乗っていることを自動で認識する。

CarPlay

声だけでアプリを制御できる音声コントロール、ボールドテキストやラージテキストなどを使用して、CarPlayインターフェイスを視覚的に使いやすくするカラーフィルター、聴覚に障がいのあるドライバーや乗客がクラクションやサイレンを通知するアラートをオンにできるサウンド認識などが提供。

visionOSのアクセシビリティ機能

visionOSには新しいアクセシビリティ機能が追加される。これにより、聴覚障害者を含むすべてのユーザーがライブ会話やアプリからの音声を追跡できるよう、システム全体にわたるライブキャプションが提供される。また、FaceTimeでのライブキャプション機能により、より多くのユーザーがPersonaを使ったユニークな体験を簡単に楽しめる。

Apple Vision Proでは、Apple Immersive Video中にウィンドウバーを使用してキャプションを移動する機能が追加され、さらにMade for iPhoneの補聴器や人工内耳プロセッサのサポートが拡充される。視覚障害者や明るい光や頻繁な点滅を避けたいユーザー向けに、透明度の低減、スマートインバート、フラッシュライトの減光といった視覚アクセシビリティ機能も更新される。

これらの新機能は、既にApple Vision Proに搭載されている多数のアクセシビリティ機能に追加されるかたちで提供される。VoiceOver、ズーム、カラーフィルターなどの機能は、視覚障害者や弱視のユーザーが空間コンピューティングにアクセスできるようにし、Guided Accessは認知障害のあるユーザーをサポートする。ユーザーは、目、手、声を組み合わせてVision Proを操作でき、Switch Control、Sound Actions、Dwell Controlといったアクセシビリティ機能は、身体障害者にも対応している。

追加の更新情報

視覚障害者および弱視のユーザー向け
- VoiceOverに新しい音声、柔軟なVoice Rotor、カスタム音量制御、VoiceOverキーボードショートカットのカスタマイズ機能がMacに追加される。
- 拡大鏡に新しいリーダーモードが追加され、アクションボタンで検出モードを簡単に起動できるオプションが追加される。
- 点字ユーザー向けに、Braille Screen Inputの新しい開始方法と高速な制御とテキスト編集のための日本語対応、多行点字のサポート、異なる入力および出力テーブルの選択オプションが追加される。
- 低視力ユーザー向けに、Hover Typingがテキストフィールドで大きなテキストを表示し、好みのフォントと色で表示できるようになる。
その他のアクセシビリティ機能
- 声を失うリスクのあるユーザー向けに、Personal Voiceが中国語（標準語）で利用可能になる。文章全体を発音するのが難しいユーザーは、短いフレーズを使ってPersonal Voiceを作成できる。
- 発声が困難なユーザー向けに、Live Speechにカテゴリが追加され、ライブキャプションとの同時互換性が提供される。
- 身体障害者向けに、AssistiveTouchのバーチャルトラックパッドにより、画面の小さな領域をリサイズ可能なトラックパッドとして使用してデバイスを制御できる。
- Switch Controlでは、iPhoneやiPadのカメラを使用して指タップジェスチャーをスイッチとして認識するオプションが追加される。
- Voice Controlは、カスタムボキャブラリーや複雑な単語のサポートを提供する。