
アンカー・ジャパンは、モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を搭載した製品の安全対策を大幅に強化すると発表した。製品の「開発」「使用」「廃棄」というライフサイクル全体を対象に、製造体制の見直しからAIを活用した24時間サポート、回収・買い替え施策までを包括的に整備する。普及が進むモバイルバッテリーの安全性について、メーカーとしての責任を改めて明確にする狙いだ。
製造体制を刷新、自社ラボで法定基準を超える試験を実施

製品の「開発」段階では、サプライチェーンの管理体制を抜本的に見直した。これまで各サプライヤーとの信頼関係を前提としていた品質管理を改め、独自の製造管理システム「MES(Manufacturing Execution System)」の導入をすべてのサプライヤーに義務付ける。
この新基準に対応できない委託先との契約はすでに終了しており、現在は基準を満たしたパートナーに絞り込んだ体制となっている。
さらに、2025年後半には中国本社内に自社ラボを新設する。ここでは、JIS規格などの法定基準を上回る条件で安全性試験を行う方針だ。高電圧試験や高温下での保管試験など、実際の使用環境を想定したより厳しい検証を自社で実施する。
サプライヤー任せにせず、自社でも検証を重ねることで、品質リスクをより低い水準に抑える体制を構築する。
AIによる24時間サポートと回収・買い替え施策を開始
製品の「使用」段階でも新たな取り組みを進める。新サービス「Anker MyCare」では、公式サイト上で購入履歴を一元管理できるほか、利用中のデバイスに適した製品をAIが提案する機能を提供する。
カスタマーサポートにはAIコールシステムを導入する。これまで平日日中のみだった電話対応を24時間化し、深夜帯でも音声による自動応答が可能になる。AIが蓄積されたナレッジを基に回答し、対応が難しい内容については有人スタッフに引き継ぐ仕組みとした。
製品の「廃棄」段階では、安全啓発キャラクター「リイオンくん」を発表した。リチウムイオン電池の危険性や正しい廃棄方法を伝える目的で制作され、啓発用途に限り画像データを無償提供する。

あわせて、全国の直営店「Anker Store」に回収ボックスを順次設置する。同社製のモバイルバッテリーであれば、故障品も含めて店頭で回収できるようになる。
さらに、2026年2月18日から3月31日まで買い替えキャンペーンを実施する。2024年12月31日までに購入した同社製モバイルバッテリーを下取りに出すと、公式ストアなどで利用できる30%割引クーポンが提供される。
ハードウェアの品質管理に加え、AIによる24時間サポートや回収・啓発活動までを一体で進める今回の取り組みは、製品を「売る」だけでなく、使用後まで責任を持つメーカーの姿勢を示すものと言える。モバイルバッテリーという身近な製品に対し、安全性をどこまで高められるかが今後の注目点となりそうだ。


