Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion) レビュー|充電しながら充電できるモバイルバッテリー、使い勝手が良すぎて主役ガジェットの仲間入り

アンカー・ジャパンは8月8日、新型モバイルバッテリー 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 を発表。同日より販売を開始した。

発売に先がけてメディア向けの新製品発表会が都内で開催され、筆者は本製品をチェックするとともに、サンプルとして実機を提供してもらい、1週間近く試すことができた。そこで本稿では、レビューとして 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 の使用感をお伝えしたいと思う。

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充電しながら充電できる 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 レビュー

今回発売した 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 (以下、Anker Prime Power Bank) は、Ankerのチャージング製品ラインアップのハイエンドライン 「Anker Prime」 に投入する 「Fusion」 シリーズ最新モデル。

「Fusion」 シリーズとは、モバイルバッテリーとUSB急速充電器の製品性を融合させたシリーズで、筐体にバッテリーとACプラグが搭載されていて、自宅やオフィスなどのコンセントに挿してUSB充電器として使用できるほか、外してモバイルバッテリーとしても使用できる。

また、USB充電器としてスマートフォン等を充電しながらでも内蔵バッテリーを充電できるため、(デバイスを) 充電しながら (モバイルバッテリーも) 充電できる、とても便利な製品だ。「Fusion」 シリーズはこれまでもいくつかの製品が展開されてきたが、最上位の 「Anker Prime」 ブランドで 「Fusion」 シリーズの製品が展開されるのは今回が初。内蔵するバッテリーの容量は9,600mAhで、搭載するUSB Type-Cポートから最大65Wで出力可能だ。

「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 のデザインをチェックしていこう。

本製品の形状は、手のひらサイズの直方体型。具体的な筐体サイズは約115 × 44 × 42mm、重量は308g。お土産用の羊羹をひと回りかふた回りほど大きくしたようなサイズ感で、従来の65W出力に対応したモバイルバッテリーに比べて約60%小さいものになっている。重量感については、10,000mAh級のモバイルバッテリーとしてはやや重めとはなるものの、モバイルバッテリーだけでなくUSB充電器をひとつにまとめられる製品であることを踏まえたら決して重いわけではないだろう。

筐体には軽量の金属素材が使用されており、表面は波打つような加工が施されていることから、手から滑り落ちないくらいのグリップ力を得ることができる。さらに、この素材は本体の熱を放出することに役立っているほか、一定の強度を保つためにも役立っているという。

おもて面の黒い部分は画面になっており、残されたバッテリー量や各ポートの電力供給量を表示することが可能だ。筐体側面の丸いボタンを押すことで、バッテリー残量を表示させることができる。また、このボタンをもう一度押すことでバッテリーの健康度、これまでの充電サイクルの回数やバッテリーの温度等を表示させられる。

画面輝度を調整。High/Lowから選べる

ちなみに、このディスプレイ表示はボタン長押しすることで、明るさを調整 (Low/High) したり、画面表示が消えるまでのタイマーを変更 (30秒/1分/5分/30分) することが可能だ。筆者は少しでもバッテリー残量を減らしたくない派なので、明るさはLow、タイマーは最短の30秒に設定している。

USB Type-C (C1) のモード切り替え。入出力のうち入力を可にするか不可にするか選べる

画面のタイマー時間を5秒/1分/5分/30分から選択可能

バッテリー背面のACプラグは折りたたみ式。これを起こすことでコンセントに接続できる。

付属品には、バッテリー本体に取り付けられているストラップ、そしてバッテリーを持ち運ぶ際に傷つかないようにするための巾着袋、そしてUSB-Cケーブル (240W) が付属する。USB-Cケーブルは高耐久のナイロン素材を使用しているため断線の心配はあまりないはずだ。

実際に使ってみた

ここからは 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 の使用感をお伝えしていこう。

本製品はモバイルバッテリーとUSB充電器というふたつの性質を持った製品なので、自宅で使ったり外出先で使ったりと様々なシチュエーションで使用することを想定するべき製品だ。筆者自身の話をすると、自宅での原稿執筆のほか、日々の取材、さらには国内・海外を問わず出張に出かける機会も多くなったため、あらゆる環境で使える製品かどうかチェックしたい。

まずは、本体のサイズ感および重量感についてだが、こちらは前述のとおり手のひらサイズ+308gなので、カバン・衣服のポケットに入れて持ち運びしやすく、旅行や出張時に使うにも十分に現実的だ。付属する巾着袋に入れておくことで、カバン内のモノとぶつかっても両者に傷がつかないのも安心ポイント。取材用のリュックにもひとつ忍ばせておいて、いつでもスマートフォンやカメラを充電できるようにしておこうと思う。

実家に帰省中に撮影。寝室のコンセントは柱がすこし干渉したが充電することは可能だった

次は、モバイルバッテリーとしての性能について。本製品に搭載されているバッテリーの容量は9,600mAh。これはスマートフォンを約2回充電できる容量だ。もし家を出るときにうっかりスマートフォンを充電し忘れていたとしても、スマートフォン以外にもう一台何かしらのデバイスを充電できることになる。

搭載されているUSB Type-Cポートは2口。これらのポートを利用して2台のデバイスを同時に充電することが可能だ。

iPad Pro+iPhoneを同時に充電できるパワフル仕様

片方のポートのみを使用したときの出力はどちらも65W。iPhoneやAndroidスマートフォンだけでなく、iPadなどのタブレットやMacBookも充電することが可能だ。

ふたつのポートを同時に使用したときの出力は [C1] 45W+ [C2] 20W=合計65Wとなるので、より大きな出力を必要とするデバイスをC1ポートに接続するのがミソだ。

コンセント直挿しで充電可能

内蔵バッテリーを充電する方法は、ACプラグ or USB Type-C 経由の2ウェイ式。ACプラグは折りたたみ式で、かつ本体上部に搭載されているため、壁面のコンセントに接続する際には壁にぶら下げるように挿し込むのがベスト。内蔵するバッテリーのおかげか重心は壁寄りに来るので、コンセントから抜け落ちることはなく、安心して充電できた。

もちろんUSB Type-Cでも充電できる。充電速度はコンセント経由とほぼ同じ

内蔵のバッテリーは、約1時間15~30分ほどで充電完了できる。ACプラグとUSB Type-Cで充電速度に違いがあるかどうかが気になるところだと思うが、どちらで挿したとしても劇的に違いが生まれることはなく、ACプラグで充電したほうがわずかに早いかな、といった感じだ。筆者の環境で試したところACプラグで1時間23分、USB Type-Cで1時間27分と表示された。

ちなみに、片方のUSB Type-Cポートで充電しながら、もう片方のType-Cポートで出力できるか一応試してみたがこれは不可だった。よって、コンセントがある環境では優先的にACプラグで充電し、USB Type-Cでしか充電できない環境 (たとえばホテルのベッド脇など) の場合のみType-Cケーブルで充電する、といった運用方法になるだろう。

もちろんAndroidスマホも高速充電できる

また、コンセントに挿すことでUSB充電器としても機能させられる上に、同時に内蔵のバッテリーも充電できる仕組みになっているため、やはり 「基本はACプラグで」 となりそうだ。

ちなみに、本製品はパススルー充電にも対応する。バッテリーを経由せずコンセントから得る電力で直接スマートフォン等のデバイスを充電できるというもの。バッテリーを経由しないということはバッテリーの劣化も抑えられることになるので、長期間にわたって使用できるのではないだろうか。

試しに、バッテリー残量がゼロの状態で、本製品をコンセントに挿しこみながら 「USB充電器」 としてGalaxy Z Flip5を充電してみた。

Galaxy Z Flip5のフルスピード充電に近い約20Wで出力しながらも、本体内蔵のバッテリーを充電することができた。このときバッテリーのフル充電までにかかる時間は 「2h28m」 と表示されていたことから、スマートフォンと内蔵バッテリーの両方が同時に充電されているようだった。

さらに、iPhone 15 Proを追加で充電してみたところ、こちらもフルスピード充電に近い20Wで充電でき、合計40W出力になっていた。ただし、このときは内蔵バッテリーを充電することはできず、あくまでもスマートフォンの充電のみに留まった。おそらく製品そのものの温度が高くなっていたことから、内蔵バッテリーの充電をストップし、パススルーという形で充電していたものとみられる。

MacBook Proは65Wで充電可能

最大65W出力できるUSB Type-Cのポテンシャルを試すため、14インチMacBook Proも充電してみた。

筆者のメインデバイスであるMacBook Pro (M3 Pro, 2023) は、最大96W入力に対応する。これに 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」を接続してみたところ、約65W付近で充電できていたことを確認した。

また、このときも 「Anker Prime Power Bank」 の内蔵バッテリーは充電されず、MacBook Proの充電が終わってから 「Anker Prime Power Bank」 の充電が再開されていた。参考として、MacBook Proの充電が終わる頃に 「Anker Prime Power Bank」 の温度を見てみたところ、およそ44℃ほどになっていた。

次にモバイルバッテリーとして使った場合の挙動についてだが、電力供給量は基本的にUSB充電器として利用するときと同じで、単ポートで最大65W、2ポート合計で最大65W (45W+20W) 出力が可能だ。

まずはiPhone 15 ProとGalaxy Z Flip5を充電してみたところ、USB充電器として利用したときと同じく20W+20Wほどで充電できることが確認できた。

モバイルバッテリーとしてMacBook Proを充電するにはすこしバッテリー容量不足だがスピードは十分。延命用として使うのがベター

次に14インチMacBook Proを充電してみたところ、65Wの出力上限で継続充電できることが確認できた。本体のディスプレイに表示されるバッテリー残量がみるみるうちに減っていってすこし面白かったが、やはり内蔵バッテリーの容量が9,600mAhと、MacBook Proのバッテリー容量に比べて少ないことから、MacBook Proのバッテリー残量は20%増えるくらいに留まった。

また、MacBook Proを閉じた状態では30%くらい充電できたことから、モバイルバッテリーとして使用する分には、あくまで延命のための 「保険用バッテリー」 として使用するのがベターだろう。基本的にはスマートフォンやタブレットの充電に使用することを想定するべきだろうか。

本体が熱を帯びるとプロテクションが動作。過熱を防ぐ

充電や電力出力など発熱が大きそうなガジェットではあるが、本製品は発熱についてはそこそこ抑えられており、割と安心して使えるのではないかと考えている。この1週間使い続けて一番熱くなったのが、やはりMacBook Proをフルスピードで充電するとき。みるみるうちにバッテリーがなくなっていったあのタイミングは、手のひらでギュッと握り続けるのは難しいくらいに熱が帯びていた。

USB Type-Cの電力供給状況に応じて内蔵バッテリーの充電はストップする

ただし、熱に関してはちゃんと管理されているようで、一定の熱を帯びたときはバッテリーを充電できない、あるいはできたとしても少ない電力での充電になる。そして熱が冷めてきたら出力が上がり、充電速度がアップ。異常に発熱し、バッテリーを劣化させたり火傷したりといったことはなさそうだった。

モバイルバッテリーとUSB充電器を兼ねる 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 は、これから長く愛用していきたい逸品だ

「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 は、USB充電器そしてモバイルバッテリーの両方の役割をこなせる2in1ガジェット。Ankerの得意とするチャージング技術とモバイルバッテリー技術の両方を詰め込んだ、とてもユニークで便利な製品だ。

これまで筆者はUSB充電器とモバイルバッテリーはそれぞれ別々に持ち歩いていたが、最近では屋外での取材機会も増えたことから電源を確保できないことが多くなった。そして、屋外ではテザリングが基本となるためスマートフォンのバッテリーはいつも不足することが多いため、どこでもすぐにフルスピードで充電できる 「Anker Prime Power Bank (9600mAh, 65W, Fusion)」 はとても魅力的に映った。

実際に1週間以上、同製品を使用してみたが取材先ではもちろん、出張や帰省にも役立つことが確認できた。就寝前にコンセントに挿しておけば内蔵バッテリー、各種デバイスもろとも充電できる。100〜240Vに対応するため海外で使用することも可能 (国によってはプラグの変換器が必要だが)。とても優れた製品だったと感じている。

今後は取材用リュックに忍ばせておくことで、取材活動を支えてくれたらと思う。今後も長く愛用していきたい一品だ。

Anker
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