AirTagは自身の持ち物の場所を探せる、便利なトラッカーだ。財布やカバンなどに付けておくことで、紛失や盗難を防ぐ手立てになる。しかし残念なことに、このトラッキング (追跡) 機能を利用し、他人のプライバシーを侵害するストーキング行為が発生している。
これを防ぐべく、Appleはストーキング行為を抑止するための機能を追加で実装する。現地時間2月10日、AppleはAirTagの今後のアップデートについて案内している。
今後追加される、AirTagと 「探す」 ネットワークの新機能
AirTag設定時にプライバシーに関する警告を表示:初期設定時にAirTagは自分の持ち物を追跡するためのものであること、同意なしに他人を追跡することは犯罪で、他人を追跡しようと試みても被害者に検出されるよう設計されていること、また、法執行機関はAirTagの所有者の情報の提供を要請できることを明記したメッセージが表示されるように。
AirPodsに関するアラートの問題への対処:AirPods(第3世代)、AirPods Pro、AirPods Maxもしくは 「探す」 ネットワークに対応したサードパーティ製品を持っているときに、「不明な持ち物が検出されました」 と表示される不具合が修正され、AirPodsと共に移動していることを示すメッセージに変更される。
2022年後半に計画されているアップデート内容
- 正確な場所を見つける:所有者不明のAirTagによる追跡を受けたとき、そのAirTagの正確な位置を表示できるように。iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13シリーズが対応する
- 音を鳴らしてアラートを表示:所有者から離れたAirTagが自動でサウンドを鳴らすとき、AirTagと一緒に移動しているiPhoneやiPad、iPod touchがある場合にはデバイス側にもアラートを表示。AirTagが聞こえにくい場所に隠されていたり、AirTagのスピーカーが音が出ないように改造されているときに役立つ。
- 所有者不明のAirTagによる追跡の検知ロジックの改良:追跡をより早く検知し、ユーザーに通知するように検知ロジックが改良される。
- AirTagのサウンド調整:アラート音が最も大きく聞こえるトーンをより多く使用するようにトーンシーケンスを調整し、不審なAirTagを発見しやすくする
なお、AppleはAirTagについて 「AirTagは、人々が自分の持ち物を見つけやすくするために設計されており、人や他人の所有物を追跡するためのものではありません。」 とした上で、「不要な追跡はこれまで何度か社会的な問題となっており、私たちはAirTagの設計においてこの懸念に真摯に取り組んできました。」 と自社の取り組みについて説明している。さらに、Appleは法執行機関などと連携しながら、AirTagが悪用された事件の捜査に情報を提供していることを明かしており、そのなかには犯罪者の逮捕と起訴につながった事例もあるとのことだ。
すべてのAirTagには固有のシリアル番号が与えられており、使用するにはApple IDとの紐付けが必要。つまり、犯人特定のための重要な情報を提供することが可能である。さらに、今後配信されるソフトウェアアップデートにより、ストーキングなどの被害が少なくなることを願うばかりだ。