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AirTag (第2世代) 比較レビュー|小さな守り人は「旅先のもしも」をどこまで「安心」に変えられるのか

Appleは1月28日、紛失防止タグの新モデル「AirTag(第2世代)」を発売した。

AirTagは2021年に初代モデルが登場して以来、鍵や財布、バッグ、スーツケースなど、なくすと困る持ち物の管理に使われてきたAppleのアイテムトラッカーだ。今回登場した第2世代モデルでは、測位できる距離が広がったほか、スピーカー性能の改良など、「探しやすさ」を重視したアップデートが行われている。

もっとも、第2世代になったからといって、外観や基本的な使い方が大きく変わったわけではないが、一方で実際に移動の多い生活の中で使ってみると、スペック表や製品説明だけでは分かりにくい違いも確かに感じられる。

筆者は取材や出張で年間30回以上、国内外を行き来しており、スーツケースやバッグの管理用途としてAirTagを日常的に使用してきた。その中で、AirTagに助けられた場面も一度や二度ではない。

本稿では、そうした利用シーンを踏まえながら、「AirTag(第2世代)」を実際に使ってみた印象をレビューしていく。

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AirTagは身近な持ち物を見守る「小さな番人」だ

そもそも「AirTag」がどんなガジェットなのか、改めて確認しておこう。「AirTag」とは、Appleが開発したボタン型の小さな紛失防止デバイスだ。サイズは500円玉より一回り大きい程度で、鍵やバッグ、財布など、失くしたくない持ち物に取り付けて使う。

最大の特徴は、「世界中に存在するAppleユーザーのネットワーク」を利用して位置情報を把握する仕組みだ。また、おおよその位置を見つけたら、あとは「音」や「方向」を使って見つけることができる仕組みも搭載されているため、失くした持ち物を見つけるのにうってつけの製品になっている。

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「探し物」を見つけるための3つの仕組み

AirTagには、紛失したアイテムを見つけるための3つの機能が備わっている。

1.Bluetooth信号の発信

AirTagは、常に微弱なBluetooth信号を発信している。この信号を近くにある他人のiPhoneなどが検知すると、その位置情報が持ち主の「探す」アプリに表示される。自分から遠く離れた場所にあっても、おおよその位置を地図で確認できる。

2.超広帯域無線(UWB)による「正確な場所を見つける」機能

Bluetoothだけでなく、超広帯域無線(UWB)を使用した探索も可能だ。U1あるいはU2を搭載したiPhoneと連携することで、センチメートル単位で位置を特定できる。画面には「右に3メートル」といったように、方向と距離が矢印で表示され、コンパスのように案内してくれる。

3.内蔵スピーカー

AirTag本体から音を鳴らす機能もある。第2世代では音量が大きくなり、クッションの下や別の部屋にある場合でも、音を頼りに探しやすくなっている。

アイテムを発見するまでの仕組みと流れ

「探す」アプリでAIrTag(第2世代)を開いた様子

実際に持ち物を失くした場合、どのような流れで見つかるのかを順番に説明する。

【ステップ1:遠くにある場所を特定する】

外出先で鍵を落とした場合、AirTagと自分のiPhoneとのBluetooth接続は途中で切れてしまう。しかし、AirTagが発信し続けているBluetooth信号を、近くを通りかかった別のユーザーのAppleデバイスが自動的に受信する。

そのデバイスは、「ここにAirTagがある」という位置情報を暗号化してAppleのサーバーへ送信し、その情報が持ち主の「探す」アプリの地図に反映されるといった仕組みだ。このとき、協力した他人の情報が持ち主に知られることはなく、匿名性とプライバシーは守られている。

【ステップ2:近くまで行って絞り込む】

地図に表示された場所へ向かい、自分のiPhoneとAirTagが直接通信できる距離(数十メートル以内)に入ると、「正確な場所を見つける」機能が使えるようになる。

iPhoneの画面には矢印が表示され、「宝探し」のようにAirTagのある方向へ案内してくれる。また、「サウンドを再生」をタップすれば、AirTagが音を鳴らして場所を知らせてくれる。

【ステップ3:見つけた人から連絡をもらう】

もし第三者が先にAirTagを見つけた場合、その人がスマートフォン(iPhoneでもAndroidでも可)をAirTagにかざすと、NFCという近距離通信機能によって、持ち主が設定した連絡先やメッセージが表示される。これにより、拾った人から連絡をもらえる可能性があり、持ち物が手元に戻ってきやすくなる仕組みだ。

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外観と基本的な使い勝手は「第1世代」とほぼ同じ

AirTagの裏面(左:第1世代/右:第2世代)

「AirTag」についてあらためて確認したところで、いよいよ今回の新モデルとなるAirTag(第2世代)を見ていこう。

まず外観と基本仕様だが、AirTag(第2世代)は第1世代から大きな変更はない。形状はいわゆるコイン型の円形デザインで、直径は約3センチほど。500円玉より一回り大きいくらいのサイズだ。鍵やバッグ、スーツケースに取り付けても、存在感は控えめで邪魔にならない。

裏面は鏡面仕上げの金属パーツとなっており、NFCの読み取りエリアも兼ねている。白とシルバーのコントラストが印象的な、Appleらしいミニマルで洗練されたデザインは第1世代から変わらない。

左がかなり雑に扱ってきた第1世代、右が新しい第2世代。第1世代はAppleロゴがほとんど見えなくなっている。

AirTagを使ううえで注意したいのが、表面が非常に傷つきやすい点だ。写真に写っているのは、保護フィルムを貼らずに筆者が約5年間使い続けてきた初代モデル。ジーンズのポケットに他の物と一緒に入れて持ち歩くなど、やや雑に扱ってきたこともあり、裏面のAppleロゴはほとんど判別できないほど擦り切れてしまっている。きれいな状態を保ちたい場合は、擦り傷防止用の保護シールなどを貼って使うことをおすすめしたい。

また、防塵・防水性能はIP67等級相当。水深1メートルで最大30分間の耐水性を備える。日常生活はもちろん、雨の日の移動やスーツケースへの装着といった用途でも安心して使えるだろう。

親指でググッと裏面を押し込んで反時計回りに回すと裏蓋が取れる。

AirTagはユーザー自身で電池交換が可能だ。両手の親指で裏面を押し込みながら反時計回りに回すことで、裏蓋を外して電池部分にアクセスできる。

裏蓋を開けたときの様子は第1世代も第2世代もほぼ一緒。

電源には引き続きボタン電池(CR2032)を採用している。100円ショップなどで安価に購入でき、海外でも入手しやすいため、万が一電池が切れてもすぐに交換できる。電池の持ちは使用環境にも左右されるが、初代モデルでは体感的に半年〜1年程度といった印象だ。

初期設定の手順や、「探す」アプリを使った操作感も従来どおり。開封すると本体には絶縁シートが挟まっており、これを抜くことで電源が入る。iPhoneを近づけると画面上にペアリング用のポップアップが表示され、案内に従って進めるだけでスムーズに登録が完了する。

アクセサリは初代モデルと同じものを使い回せる

Belkinのアクセサリを使ってリュックに取り付けてみた。

今回のAirTag(第2世代)は、初代モデルと筐体が共通であるため、初代モデル向けのアクセサリを引きつづき使用可能だ。

アクセサリを使えば、AirTagをキーホルダーのようにバッグへ取り付けることができる。参考までに、筆者は財布やカメラバッグ、リュック、パスポートケース、車の鍵などにAirTagを装着している。

筆者の友人には、「検索ハブ(旧:デバイスを探す)」に対応していないサブ用の古い中華スマートフォンにAirTagを取り付け、iPhoneの「探す」アプリで位置を確認するというユニークな使い方をしている人もいる。

初代モデルと一緒に買ったレザーキーリング。だいぶボロボロだが第2世代もきちんと収納できた

ちなみに、純正キーリングについては、初代モデルの発売当初はレザー製だった。しかしAppleが炭素排出削減の取り組みとして、「iPhone 15」シリーズの発売時(2023年9月)にレザー素材のアクセサリを廃止したことにより、現在はファインウーブン素材に置き換えられている。

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第2世代になってどれほど使い勝手が変わったのか?

「UWB」で通信できる距離が2倍に。ただし国内では実感しづらい

UWBを使って詳細な位置を探している様子。

AirTag(第2世代)で進化点として挙げられているのが、UWB(超広帯域無線)による測位性能の向上だ。Appleは、第2世代では対応距離が最大で約50%拡大したとしており、理論上はより離れた位置からでも正確に場所を特定できるとしている。

ただし、日本国内では電波法および総務省のUWB運用制限がある関係でUWBの出力が制限されていることから、国内で使用する限り、この進化を体感できる場面は限られると多くのユーザーが予想している。これをチェックすべく、AirTagの詳細な位置を確認する「正確な場所を見つける」機能で初代モデルと第2世代を比較してみた。

第1世代(左)は範囲外になってしまったが、第2世代(右)はまだ検知している。

障害物のない直線道路でチェックしてみたところ、初代モデルは10メートル程度しか検知できなかったのに対し、第2世代は18メートル離れても検知することができた。確かに数字上は50%以上拡大はしており、Appleの説明は概ね正しいと言える。

ただし、障害物がある道路でチェックすると、6〜8メートル付近で初代モデルと第2世代の両方で検知できなくなってしまうパターンもあり、周囲の状況によってはあまり変化が感じられないこともあった。

日本よりもUWBの制限が緩い海外では、初代モデルの時点で20〜30メートル離れても検知できたという情報があり、そこから50%拡大したと考えると、計算上は30〜45メートルもの範囲を検知できることになる。

将来的に国内の制度や利用環境が変われば、評価が変わる余地も残されているとは思うが、現時点では、日本で使う限りUWB強化はスペック上の進化に近く、購入判断に直結する要素とは言いにくいのが実際に使ってみての結論だ。

音の進化は「大きくなった」よりも「聞き取りやすく」

実際に使ってみて、最も違いを感じやすかったのはスピーカーの音だ。Appleのニュースリリースでは「音量の向上」と、それに伴う「新たなチャイムの実装」がうたわれているが、体感としては後者の変化のほうが大きい。

「サウンドを再生」で音を鳴らすと、初代モデルに比べて音がやや高音寄りになり、周囲の生活音に埋もれにくくなった。結果として、より遠くまで音が聞こえやすくなった印象だ。

実際、どの程度の距離まで音が届くのかを確かめるため、静かな住宅街でテストしてみたところ、約100メートル離れた場所でも微かに音を聞き取ることができた。参考として、初代モデルは80メートルくらいまで音が届いていた。音量そのものも変わっているとは思うが、音の通りやすさという点でも改良の効果は実感できる。

この効果は、駅など環境音が多い場所だけではなく、室内でも恩恵が受けられるはずだ。初代モデルでは、カバンの奥底に入れていると「鳴っているはずなのに聞き取りづらい」と感じる場面があったが、第2世代ではそうしたケースは明らかに減っている。

特に出張中は、頻繁な物の出し入れによって「あれ、どこに入れたっけ?」という状況が起きやすい。街中など雑音の多い環境でも、スーツケースの中なのか、それとも手荷物の中なのかを音で判別しやすくなり、紛失防止タグとしての実用性は確実に向上した。地味な改良点ではあるが、評価できるポイントだ。

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Bluetoothの接続はわずかに安定感が増している

もうひとつ、使っていて違いを感じたのがBluetooth接続の安定感だ。Appleによると、第2世代ではBluetoothチップの性能が向上しているという。

実際に使ってみると、「探す」アプリを開いた際の反応がやや早く、最新の位置情報が表示されるまでの待ち時間が短くなった。初代モデルでも大きな不満はなかったが、まれに発生していた数秒の接続待ちや反応の遅れは減っている。AirTagで位置確認を頻繁に行う人ほど、この変化は実感しやすいだろう。

また、「サウンドを再生」機能は、AppleデバイスからBluetooth経由でAirTagに指示を送り、音を鳴らす仕組みになっている。この通信距離についても変化があるのか検証してみたが、筆者の環境では初代モデル、第2世代ともに最大でおよそ50メートル程度という結果だった。少なくとも体感できるほどの差はなかった。

AirTagは所有者から離れると、一定間隔でBluetooth信号を発信し、近くを通りかかったAppleデバイスがその信号を検知することで位置情報が更新される。この検知されやすさはBluetoothチップの性能に左右されるため、理屈の上では第2世代のほうが、紛失時に発見される可能性はわずかに高いと考えられる。

ただし、実用面で見ると、Bluetoothチップの性能向上を「劇的な変化」と評価するのは難しい。アプリを開いて即座に最新の位置情報が必要になる場面はそれほど多くない。たとえば第1世代でも、日本から海外の空港に到着後、海外SIMや空港Wi-Fiに接続しておけば、入国審査の待機列に並ぶ頃には、手荷物が空港に到着していることを確認できるケースがほとんどだった。

紛失時についても、空港のように周囲を多くのAppleデバイスが行き交う環境では発見率は高い。一方で、人通りの少ない場所や郊外で落とした場合、Bluetooth信号を発信しても検知される確率自体が低く、発見につながらない可能性もある。

これらを踏まえると、Bluetooth接続の改善は確かにプラス要素ではあるものの、この点だけを理由に初代モデルから買い替える必要性は高くない、というのが正直な印象だ。

AirTagはこんな時に便利。筆者は海外で「2度」救われた

AirTagは、何かを失くしてから役立つ製品というよりも、「本当に大丈夫か」をその場で確認できる点に価値がある。特に出張や海外移動が多い場合、その出番は意外と多い。

例えば、海外出張で飛行機の乗り継ぎが発生する際、ロストバゲージが起こっていないかどうかは常に気になるポイントだ。昨年、成田から中国・上海浦東を経由してドイツ・フランクフルトへ向かった際に、中継地の上海で念のため「探す」アプリを開いたところ、スーツケースが無事に上海まで到着していることが確認でき、ひとまず安心できた。ロストバゲージの有無がその場で確認できるだけでも、精神的な負担はかなり軽くなる。

海外取材中にも、AirTagに助けられた場面がある。ヘッドホンが手元のバッグに見当たらず、「飛行機では使っていたはずだけど、どこに置いたんだろう」と不安になった。このとき、ヘッドホンのケースにAirTagを入れていたため、取材先で「探す」アプリを開いてみると、位置情報は宿泊先のホテルを示しており、間違ってスーツケースに入れてしまっていたことがすぐに分かった。移動先からでも状況を把握でき、安心して取材に挑めたのは大きい。

カメラだけがナポリに。この後無事に回収。

もしものときに「状況が分かる」こと自体が、大きな安心感につながる場合もある。昨年、イタリア滞在中にカメラをItalo(長距離列車)の荷物棚に置いたまま下車してしまい、ホテルに着いてから置き忘れに気づいたことがあった。正直このときは小パニックになるくらい焦ったが、夕方頃に「探す」アプリで確認してみたところ、カメラは途中で盗まれることなく列車の終点であるナポリに到着しており、その後駅に問い合わせてホテルまで送ってもらうことができた。

上記はいずれも初代モデルでの体験だが、こうした場面で「今どうなっているか」を把握できるだけでも、AirTagを持っている意味は十分にある。日常から出張、海外移動まで、不安を一つ減らしてくれる存在だ。

レビュー総評:出張族が考える「AirTag (第2世代)」のメリットと限界

なぜ、このタイミングで「AirTag(第2世代)」が登場したのだろうか。背景には、拡大を続ける紛失防止タグ市場で主導的な立場を維持するという、Appleの狙いがあると考えられる。

AirTagが登場した2021年当時、「紛失防止タグ」という製品ジャンルは存在していたものの、まだ一般的とは言えなかった。その後、多くのメーカーが参入し、いまや日常的な製品カテゴリーとなりつつある。そうした状況のなかで、Appleは「AirTag(第2世代)」を投入し、UWBやBluetoothといったハードウェア性能を底上げすることで、他社製品との差別化を維持しようとしているのだろう。

また、AirTagは発売後もiOSアップデートを通じて機能が追加されてきた製品でもある。第2世代でも、現時点の改善点だけでなく、今後のソフトウェアアップデートによって体験が変わる余地は残されているのも魅力のひとつとも言える。

左:第1世代/右:第2世代

AirTag(第2世代)は「探し物体験」が劇的に変わるほどの大きな性能向上が行われたモデルではない。外観や基本的な使い勝手は第1世代を踏襲しており、初代ユーザーがすぐに買い替えを検討する必要性はそこまで高くない。

ただし、出張の多い筆者の立場から見ると、AirTag(第2世代)は飛行機やバスなど、荷物が自分の手元から離れる時間が長い移動を繰り返す人ほど、価値を実感しやすい製品だと感じている。音の聞き取りやすさや接続の安定感といった変化のひとつひとつは小さいものの、使用回数が増えるほど安心感として積み重なっていく。

特に海外で使用する場合、日本国内の電波規制の影響を受けないため、より広い範囲で探索できるなど、恩恵は大きい。海外渡航の多いユーザーであれば、1個か2個は持っておくと心強い存在になるだろう。

AirTag(第2世代)は、「なくても困らないが、あると少し安心できる」完成度をさらに高めたモデルだ。派手さはないものの、日常的に使うほどその改良点が実感できるはずだ。

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