Appleの人気ワイヤレスイヤホン 「AirPods」 シリーズのフラグシップモデル 「AirPods Pro」 に、約3年ぶりとなる新型モデル 「AirPods Pro (第2世代)」 が登場した。
AirPods Pro (第2世代) は、先代モデルの特徴を引き継ぎつつ、各種性能を向上させたマイナーアップデートモデル。ただし、各機能は3年の時を経て着実にブラッシュアップされており、完全なる別物とまでは言えないが、より使いやすく高機能に進化している。
筆者は発売日にAirPods Pro (第2世代) を購入し、じっくりと使用することができた。当記事では、音質や機能などAirPods Pro (第2世代) がもつ実力をチェックしていく。購入を検討している方の参考になれば幸いだ。
デザイン:イヤホンはほぼ変化なし、ケースはキーホルダー装着可能に
まずは 「AirPods Pro (第2世代)」 の筐体デザインをチェックしていこう。
初代のAirPods Pro (第1世代) から設計を一新したという 「AirPods Pro (第2世代)」。しかし、内部の設計は変わっても筐体のデザインについては初代からほとんど変わっていない。
上記写真が、AirPods Proを収納&充電するためのバッテリーケース。サイズは幅60.6mmx高さ45.2mmx厚み21.7mm。重量は50.8g。
AirPods Pro (初代/MagSafe非対応) |
AirPods Pro (第2世代) |
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高さ | 45.2mm | 45.2mm |
幅 | 60.6mm | 60.6mm |
厚さ | 21.7mm | 21.7mm |
重量 | 45.6g | 50.8g |
左が初代のもので、右が今回の第2世代のケースとなる。ケースの形状やLEDインジケーター、背面のペアリングボタンの位置などはほぼ同じで、正面や背面から見ただけで見分けるのはかなり困難。
違いがハッキリと分かるのは右側面と底面。第2世代の右側面にはストラップホールが用意されていて、キーホルダーなどを下げることができる。また、第2世代は底面にスピーカーが搭載されているため、スピーカー穴の有無でも見分けることが可能だ。
ストラップホールにいくつかキーホルダーを装着してカスタマイズしてみた。ゲームが好きな筆者は、先日ポケモンセンターで購入してきたチャームをつけてみた。
そのほか、以前に名古屋出張した際に購入したドアラのストラップもつけてみた (※筆者は特定の球団を応援しているわけではございません) 。
ケース底面の充電ポートは、今回もLightningポートでUSB-C化が実現することはなかった。ただし、同梱される充電ケーブルはLightning – USB-Cケーブルのため、MacBookなどに搭載されたUSB-Cポートから直接充電できるようになっている。
ケースの蓋を開けると、いよいよAirPods Pro (第2世代) のイヤホンが登場。ケース内にはAirPods Proがピッタリ収納できるように穴が開けられていて、その部分にステム(軸)を挿入し収納する。イヤホンはそれぞれケース内部のマグネットで固定されるため、蓋を開けた状態でケースを逆さまにしても落下する心配はない。
バッテリーケースからイヤホンを取り出してみた。イヤホンはコロンと丸くて可愛らしく、2〜3cmほどのステムが耳の下に垂れ下がる。初代AirPods Proを外出時のお供にすることが多かった筆者には、慣れ親しんだデザインだ。
サイズは高さ30.9mmx幅21.8mmx厚み24.0mmで、重量は5.3gと軽量だ。ケースのデザインと同様に、イヤホンも初代からほとんど変化はないことから、外見でどちらが新型モデルか当てるのは難しいかもしれない。
AirPods Pro (初代) |
AirPods Pro (第2世代) |
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高さ | 30.9mm | 30.9mm |
幅 | 21.8mm | 21.8mm |
厚さ | 24.0mm | 24.0mm |
重量 | 5.4g | 5.3g |
しかし、よく見るとイヤホンに配置されている黒い部分が一部移動していることがわかると思う。前モデルは、イヤホンのハウジング中部と底部に搭載されていたが、第2世代では上部と中部に搭載されるようになった。
この黒い部分についてAppleは詳しく情報を公開していないが、ツルツルした部分はおそらく肌検出センサーなどのセンサー類、メッシュ部分には振動板の増幅時に発生する背圧を最適化するためのベンチレーション用の穴などが搭載されているものと予想される。
AirPods Pro(第2世代)はイヤーピースの形状からカナル型と思われがちだが、実は 「インイヤー型」 の特徴をもったイヤホンになっている。その証拠として、AirPods Pro (第2世代) はイヤーピースを外してもカナル型イヤホン特有のノズルが存在しない。イヤーピースは多少強めに引っ張ると簡単に外れる仕組みになっているため、購入した方はぜひ一度チェックしてみていただきたい。
今年のモデルからはXSサイズのイヤーピースも新たに同梱されるようになった。イヤーピースのサイズはXS/S/M/Lの4種類。初代モデルで耳の大きさに合わなかった方も、再びチャレンジできるのではないだろうか。
なお、イヤーピースの形は初代と第2世代でほとんど同じように見えるが、Appleが公開したサポートページ(英語)によると、イヤーピースはそれぞれのモデルのために特別にデザインされたものであり、世代が異なる場合は合わないとのこと。一応初代のイヤーピースを第2世代に装着できることは確認できたが、イヤーピースは付属してくるものを装着するようにしよう。
ちなみに、AirPods Pro (第1世代) とAirPods Pro (第2世代) を混ぜて使うことはできるのだろうか。その答えはNo 。AirPods Pro (第1世代) のイヤホンを第2世代のバッテリーケースに入れたり、その逆でAirPods Pro (第2世代) のイヤホンを第1世代のバッテリーケースに入れると、「AirPods Proの不一致」 という警告が表示され、利用できない旨が伝えられる。
イヤホンのバッテリーを充電することはできるようだが、たとえばiPhoneとのペアリングができなかったりとAirPods本来の使い方ができないため、基本は同一世代のケースとイヤホンを使うことになる。
装着感:相変わらずしっかり装着可能
AirPods Pro (第2世代) を実際に装着してみた。
デザインが前モデルからほとんど変わっていないこともあり、装着感はほぼ一緒。インイヤー型ながらイヤーピースがあることでしっかりと耳の中に固定でき、激しく頭を動かしてもAirPods Proがポロッと落ちてしまうことはほぼない。
イヤーピースのサイズが合っていないように感じたら、設定アプリのBluetooth>AirPods Proの名前の横にあるiボタン>イヤーチップ装着状態テストから、イヤーチップの装着状態をチェックできる。ここで密閉されていないと表示された場合は、別のサイズのイヤーチップに変えることで、快適に装着できるようになるはずだ。
イヤーチップは根本部分をつまんでググッと引っ張ることで取り外すことができる。装着時にはグイグイと押し込むようにして、パチッと音がしたらきちんと装着された合図だ。
ちなみに、イヤーピースを失くしたり汚したりしてしまった場合には、Apple公式サイトから純正イヤーチップを購入して付け替えられる。イヤーチップは左右2つずつでセット販売されており、サイズとも価格は共通の1,250円(税込)。
操作方法:上下スライドで音量調節可能に
AirPods Proのステム部分にはわずかに凹んでいる部分があり、ここが感圧センサーになっていて、プチッと押すことでiPhoneを取り出すことなくAirPods Proを操作できる。
1回押し | 再生/一時停止/電話に応答 |
---|---|
2回押し | 次の曲にスキップ |
3回押し | 前の曲にスキップ |
長押し | ノイズキャンセリングと外部音取り込みモードを切り替え |
上下スワイプ | 音量調節 |
Hey Siri | 曲の再生/電話の発信/経路チェックなど |
AirPods Pro (第2世代) では、センサー部分をプチっと押すだけでなく、さらに上下にスライドさせることで音量調節もできるようになった。従来まで音量調節はiPhoneで直接操作するか、Siriにお願いするしかなかったため、この点はとても便利になった。
上下スライドの仕方は使う人によって異なるようで、筆者は手をグーにしてほっぺたにくっつけて、そのまま人差し指だけを伸ばして操作するが、筆者の友人はステムの下の方を外側から親指で押さえつつ、人差し指を動かした方が操作しやすいと話していた。
きちんと音量が調節できたかどうかは音楽の音量で判断できるほか、上下スライド時に 「ポッ」 と音がしたかどうかでも判断できる。この音は上下スライドで操作したイヤホン側から聴こえる仕様だ。音楽を流す前に音量を調節したいときには、この音を頼りにすると良いだろう。
搭載チップ:H2チップでノイキャン性能など向上
AirPods Pro (第2世代) には、内蔵チップに新たに 「H2チップ」 が搭載されている。従来までAirPodsシリーズに搭載されてきた 「H1チップ」 の次世代版だ。
AirPodsシリーズに内蔵されているチップは、デバイスとの接続の高速化や、低レイテンシーを実現するほか、ノイズキャンセリングや空間オーディオ、アダプティブイコライゼーションの処理などをする、いわばAirPodsの頭脳とも言える部分。
第2世代では、搭載チップがH2チップに変更されたことでノイズキャンセリングの性能が最大2倍になったほか、外部音取り込みモード時に大きなノイズを軽減してくれる新機能 「適応型環境音除去」 が利用できるようになった。
ノイズキャンセリングの性能や適応型環境音除去についてはのちほど詳しく紹介するが、現時点では 「H2チップが搭載されたことでノイキャン&外部音取り込みモードの性能が向上した」 くらいにサラッと感じていただく程度でOKだ。
音質:低音が良くなり全体的な解像度も向上
Appleいわく、AirPods Pro (第2世代) は新たに歪みの少ないオーディオドライバと専用のアンプを搭載したことにより、さらに豊かな低音域とクリアなサウンドをより広い周波数域で楽しめるようになったというが、果たしてその実力はどれくらいのものだろうか。
実際に色々な楽曲を聴いてみたところ、確かに低音は初代AirPods Proよりも良くなった印象だ。ビリー・アイリッシュの『Bad Guys』のように低音が強調される楽曲では、パワフルな低音を楽しめる。また、全体的に音の明瞭さも増していて、クラシックなどのたくさんの楽器が鳴っているような楽曲では、ひとつひとつの楽器の音の輪郭がハッキリとし、全体的に解像度が上がっている印象を受けた。
初代AirPods Proは、比較的フラットで聴きやすいイメージが強かったが、第2世代ではその聴きやすさを維持しつつ、低音による迫力アップや、全体的な音のクリアさによってさらに音に磨きがかかった。
また、初代AirPods Proに比べると少し落ち着いた音になったような印象も受ける。低音が前に出るようになり、全体的な音のバランスが中〜低音側に傾いたからなのかもしれないが、あまり派手な楽曲を好まない人はAirPods Pro (第2世代) との相性が良さそうだ。
ただし、やはりAppleは音響機器専門のメーカーではないということもあってか、音質の面では他社のプレミアムイヤホンに負けてしまう部分がある。
また、ロスレスオーディオの再生に対応していない点も残念ポイントのひとつ。Apple Musicでロスレスオーディオ対応楽曲の配信が始まってからしばらく経つが、今回のAirPods Pro (第2世代) でも対応には至らなかった。Bluetooth 5.3をサポートしていることから、今後のアップデートでもしかするとロスレスオーディオをサポートする可能性もあるかもしれないが、現状ではロスレスオーディオは利用できないのが事実だ。
アクティブノイズキャンセリング (ANC):さらに多くの雑音が消せるように
AppleのAirPods Proの大きな特長といえば、アクティブノイズキャンセリングの性能が良いこと。昨今は多くのメーカーからアクティブノイズキャンセリング対応イヤホンが登場しているが、AirPods Proのノイキャン性能は群を抜いて良いという意見が多い。
では、AirPods Pro (第2世代) のノイキャン性能はどれほど良くなったのか。Appleの発表では、H2チップの搭載により、初代AirPods Proよりもノイズキャンセリング性能が最大2倍になっているという。
実際に、電車内や工事現場の近く、人通りや車通りの多い道などでAirPods Pro (第2世代) のノイズキャンセリングを試してみた。初代の頃からかなりノイズを消すことができていたAirPods Proだが、第2世代になってさらに多くのノイズを消せるようになり、より静かな環境で音楽を楽しめるようになった。
また、YouTubeで水量の多い渓流の映像をホームシアターを通して再生してみたところ、野鳥の甲高い鳴き声や川の流れの中で生まれる 「サーーッ!」 という高音はさすがに消し去ることはできていなかったものの、水の塊が轟音をたてて流れる音や水と水がぶつかりジャバジャバと波打つ音など、ほとんどの音を消すことができていて個人的にはかなり驚いた。
また、検証を進めるうちに飛行機のエンジン音やカフェやオフィス街における人の雑踏、エアコンの稼働音などあらゆる音をなくすことができていることも判明。AirPods Pro (第2世代) は、静かな音楽を聴きたいときや、音がない状態で作業したいときに重宝しそうだ。
AirPods Proは初代・第2世代ともに、ノイズキャンセリング時に耳が詰まるような気持ち悪さがなく、かなり自然に音楽を楽しめる。筆者はノイズキャンセリング状態にして耳栓のように使う場合も多いのだが、ホワイトノイズがずっと聴こえるということもなく、いつもしっかり作業に集中できている。高いノイズキャンセリング性能を求めるユーザーに、オススメできるイヤホンだ。
外部音取り込みと適用型環境音除去:より外部の音がリアルに
イヤホンを外さずに外の音を聞くことができる 「外部音取り込みモード」 。もちろんAirPods Proにも初代から搭載されている。
AirPods Pro (第2世代) では、さらに外部音取り込みモードの新機能として 「適応型環境音除去」 機能が追加。これまでの外部音取り込みモードでは周囲の音をすべて取り込んでいたが、「適応型環境音除去」 では周囲で発生する音のうち、工事現場などで発されるような大きな音を軽減してくれるというスマートなものだ。
外部音取り込みモードにして、実際に30分ほど自宅の周囲を散歩してみたが、車や自転車の走行音を、まるで自分の耳で本当に聴いているかのようにリアルな音で取り込んでくれていた。
ただし、「適応型環境音除去」 機能については、途中テストのために建設中のビルの近くを通ってみたのだが、あまり音を軽減できている感じはなかった。おそらくもっと大きな音が鳴っている場所でなければ効果は実感できないのかもしれない。
「適応型環境音除去」 機能よりも、個人的には外部音取り込みモードの品質が向上したのが嬉しいアップデートだった。というのも、初代AirPods Proでは外部音取り込みモードの状態で会話しようとすると、自分の声がこもって聞こえてしまい、すこし話しづらさがあったのだが、AirPods Pro (第2世代) ではこの問題がかなり改善されていて、話しづらさはほとんど感じなくなった。
また、外部音取り込みモードにした状態で自宅で作業をしていたら、イヤホンからではなく、MacやHomePodから音が鳴っているのではないかと錯覚することが何回かあった。
空間オーディオの効果や楽曲との相性もあるとは思うが、おそらくこれはマイク性能が良くなり、周囲の音をかなり綺麗に取り込めるようになったことに加えて、AirPods Pro (第2世代) の音の再現度が高くなったことが影響しているものと考えられる。
空間オーディオ:パーソナライズ機能で自分に合った空間オーディオが楽しめる
AirPods Proは 「空間オーディオ」 を楽しむことができる。
空間オーディオは、Apple MusicなどのDolby Atmos対応コンテンツで立体的に音を聞くことができる機能。AirPods Proはダイナミックヘッドトラッキングにも対応しており、ユーザーが向いている方向にあわせて音の出る位置が変わるため、まるで自分の周囲で本当に音が鳴っているような不思議な感覚を味わえる。
初代AirPods Proも空間オーディオに対応していたものの、第2世代では新たに 「パーソナライズされた空間オーディオ」 が利用できるように。
「パーソナライズされた空間オーディオ」 は、iPhoneのTrueDepthカメラ(フロントカメラ)を使って、ユーザーの頭や耳の大きさを測定し、その人専用の空間オーディオのパーソナルプロファイルを作成するというもの。設定アプリ上部に表示されるAirPods Proの名前>パーソナライズされた空間オーディオから設定可能だ。
Face IDの登録のように、正面からユーザーの顔の大きさや形を測定したら、次は右耳、左耳の大きさや形を測定していく。横から耳を映すのは少々難しいが、耳が髪の毛などで隠れないようにして、顔を横に振るようにして登録すればうまくいくはずだ。
さっそく自分の耳で登録を完了して空間オーディオを試してみた。正直なところ大きな変化は感じられなかったが、周囲からの音の聞こえ方が均一になったことで、わずかに音が聞きやすくなった印象だ。
ただし、AirPods Pro (第2世代) は音質が向上したことで、空間オーディオの音もよりクリアになり、以前よりも没入感が感じられるようになったと個人的には感じている。Apple Musicで配信されているライブの音源などは、よりリアルな音で楽しめるはず。あと、映画を視聴するときの迫力はヤバいのでお持ちの方はぜひ試してみてほしい。
気になる遅延・音ズレはどう?
Bluetoothイヤホンを使ってドラマや映画を見たり、ゲームをプレイする上で 「音ズレ」 のチェックはとても重要だ。
音ズレが大きいと、ドラマなどで登場人物の口の動きよりも声が遅れて聞こえてしまったり、音楽ゲームはタイミングがズレてしまい、プレイに支障が出てしまうことも。Bluetoothイヤホンを選ぶ上で、遅延が少ない製品を選ぶようにしている人も多いのではないだろうか。
実際にAirPods Pro (第2世代) の遅延をチェックすべく、ドラマを見たりいくつかリズムゲームをプレイしてみた。
ドラマを見る上では音の遅延はほとんどなく、最初から最後まで快適に視聴することができた。
リズムゲームでは、普通にプレイする分には遅延は感じなかったものの、ノーツスピードをかなり高くしてプレイするとわずかに遅延が感じられることがあった。とはいえ、ほぼ誤差の範囲内でプレイに支障が出るほどの遅延ではなかったので、音ゲーマーも安心してお使いいただけるはずだ。
バッテリー持ちは約6時間
AppleはAirPods Pro (第2世代) のバッテリー持ちについて、イヤホン単体では最大6時間の再生が可能で、空間オーディオとヘッドトラッキングをオンにした場合は最大5.5時間の再生が可能としている。
では、実際に使ってみるとどれほどの使い続けられるのか。AirPods Pro (第2世代) を外部音取り込みモードにし、空間オーディオとヘッドトラッキングをオンにした状態で音楽を再生し続けてみた。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
0時間(計測開始) | 100% |
1時間後 | 85% |
2時間後 | 66% |
3時間後 | 50% |
4時間後 | 36% |
5時間後 | 19% |
6時間後 | 4% |
6時間5分後 | 0% |
上記がテスト結果。6時間とちょっと音楽を再生し続けることができたことから、ほぼAppleの発表どおりになっていることが確認できた。
実際に6時間も音楽を聴き続ける場面はあまり多くないとは思うため、使い終わったらバッテリーケースに入れて充電し、また必要になったら取り出す、を繰り返していれば、バッテリー切れで困ることはほぼないはずだ。もちろん、バッテリーケースの定期的な充電はお忘れなく。
もしイヤホンがバッテリー切れになってしまったら、バッテリーケースで5分間充電すれば、1時間使い続けられるくらいまではバッテリーを充電できる。急な外出などで充電できなかった場合には、緊急手段として活用してみていただきたい。
MagSafe・ワイヤレス充電:Apple Watch充電器でも充電可能
AirPods Pro (第2世代) のバッテリーケースは、有線充電のほかにも、MagSafe充電やQi規格のワイヤレス充電に対応している (MagSafe充電はバッテリーケースのマイナーアップデートで対応した)。
さらに今回の新型モデルからは、新たにApple Watchの充電ケーブルにも対応したことで、ありとあらゆるワイヤレス充電を利用できるようになった。
充電スピードはもちろん有線が一番早いものの、各ワイヤレス充電の強みは「置くだけ」で手軽に充電できること。特にMagSafeとApple Watchの充電ケーブルはマグネットで位置を固定して確実に充電できるのも魅力となる。
また、Apple Watchの充電ケーブルは小さくて邪魔になりにくいため、デスク周りをシンプルにしたい場合はApple WatchとAirPods Proで充電ケーブルを共有するのが個人的にはオススメだ。
実際に充電してみたところマグネットの磁力はしっかりしていて簡単に外れることもなく快適に充電できそうだ。ただ、AirPods Proのバッテリーケースは傷がつきやすいため、MagSafeやApple Watchの充電器を使って充電すると傷が残りそうではある。気になる方はこれまで通り有線充電を多用すると良いのではないだろうか。
ちなみに、ワイヤレス充電しているときにちょっとでも触るとバッテリーケースのLEDインジケーターが光るようになっている。これまでは充電開始時くらいしか光らなかったため、充電が完了したのか分かりづらかった。
ケースにスピーカー内蔵、音を発せられるように
AirPods Pro (第2世代) のバッテリーケースには、新たに底面にスピーカーが内蔵されたことで、ワイヤレス充電開始時にチリーンと音が鳴ったり、「探す」 アプリで音を鳴らして探せるようになった。
従来まで、ワイヤレス充電の開始時にはLEDインジケーターの色で充電が開始されたかどうかをチェックしていたが、第2世代では音が鳴るようになったことで充電が開始されたかどうかをよりハッキリと確認できるように。
また、「探す」 アプリで音を鳴らしてみたところ、AirTagの音よりも甲高い音が出ていたため、よりバッグの中などから探しやすくなった印象だ。
このほかにも、第2世代のバッテリーケースに初代AirPods Proのイヤホンを入れると、ポンッと音が鳴るなど、細かい部分でスピーカーが活用されている。目だけでなく音でも色々なことが確認できるようになり、より利便性が向上したと言えるだろう。
高度な 「探す」 機能に対応。U1チップで発見確率を高めた
AirPods Proは、Appleの 「探す (Find My)」 ネットワークに対応していて、万が一紛失しても 「探す」 アプリで居場所を見つけ出すことができる。
初代AirPods Proはイヤホン本体を探すことしかできず、バッテリーケースを探すことはできなかったが、今回から左右イヤホンとバッテリーケースの3つを探せるように。
しかも探し方も、従来までは地図上で最後に通信が途切れた場所の大まかな位置しかチェックできなかったが、第2世代ではBluetoothの通信範囲内であれば、iPhoneを持って周囲をウロウロすることで、左右のイヤホンが近くにあるかどうかまでチェックできるようになった。
さらにバッテリーケースには 「U1チップ」 が搭載され、探すアプリで細かい位置をチェックできる。探すアプリからAirPods Pro (第2世代) をタップし、右側にある 「探す」 をタップすると、10cm単位で場所を検知し、iPhoneの表示される方向などを頼りに見つけ出すことができる。
初代AirPods Proのバッテリーケースは、「探す」 を使っても基本地図上でしか位置を確認できなかったことから、家の中での 「どこに行ったっけ?」 を解決することはできなかった。
しかし、U1チップの搭載により、クッションの間に挟まってしまったバッテリーケースなども楽々見つけられるようになったことに加えて、バッテリーケースのスピーカーから音を鳴らして探すこともできるようになり、より探すのが簡単になったのが注目ポイントだ。
筆者もよく色々な場所にAirPods Proを置き忘れたり、バッテリーケースをどこかに置いたままにしてしまうことがあるため、個人的に嬉しいアップデートのひとつとなった。
Bluetooth:ハイレゾは残念ながら非対応
AirPods Proと、各デバイスとの接続にはBluetoothを使用する。対応するオーディオコーデックについてAppleは詳細を公表していないが、おそらくSBC/AACとみられ、ロスレス・ハイレゾオーディオでの再生は残念ながらできない。
ただし、AirPods Pro (第2世代) はBluetoothのバージョンが5.3に引き上げられている。
Bluetooth 5.3は、次世代Bluetooth Audioである 「LEオーディオ」 をサポートし、かつ新オーディオコーデック 「LC3」 が利用できる規格。LC3/160kbpは、従来のSBC/345kbpsと同等の音質 (LC3のほうが音質が良いわけではない) を、より消費電力を少ない状態でこれまでと同等の音質や低遅延を実現できるとされている。
また、将来のアップデートでロスレス品質での再生が可能なLC3plusも利用できる規格となるため、将来的にはアップデートなどでロスレスオーディオを利用できるようになる可能性がある。
対応させるかしないかはApple次第ということになるが、Apple Musicがロスレス再生に対応した今、AirPodsシリーズでもロスレス品質で再生したいと思うユーザーも多くなっていることから、今後のアップデートに期待となる。
耐水機能:ケースも耐水仕様に
AirPods Proの耐水/耐汗性能はIPX4相当。
IPX4というと、完全防水とはいかないまでも、雨/汗といった液体の飛沫程度であれば耐えることができるレベルとされ、雨の中や汗をかくスポーツでも安心して使用することができる。
また、今回からバッテリーケースもIPX4相当の耐水性能をもつようになった。今回のレビューを書いている間、関東は台風の影響で雨が降り続いているが、AirPods ProがIPX4の耐水仕様を身につけたことで、雨の日でも安心してAirPods Pro (第2世代) を使用できた。
もちろん運が悪ければ故障もありえるため水没は御法度だが、とはいえ雨の中でも使用できる安心感は4万円台のイヤホンにおいてはとても重要だろう。
まとめ:より使いやすくなったものの、初代から買い替える必要はなし
今回はAirPods Pro (第2世代) をレビューした。
大ヒット商品 「AirPods Pro」 の次世代モデルということで、多くのユーザーが期待していた同モデルだが、デザインそのままに内部設計の一新でより高性能に、より使いやすくなるなど、順当な進化を遂げた印象を受ける。
筆者が個人的に嬉しかったポイントは、ノイズキャンセリング機能の向上とバッテリーケースへのスピーカーの搭載。
ノイズキャンセリング機能に関しては使用する環境にもよるとは思うが、筆者がよく行くカフェでは人々の行き交う音や話し声などのガヤガヤ音が軽減されるようになっており、目の前の作業により集中しやすくなった。耳栓がわりに使うことも多いイヤホンなので、この変化は地味ながら大きいメリットだった。
バッテリーケースへのスピーカーの搭載により、まず「探す」アプリで音による発見ができるようになった。これまでもイヤホン単体は探すことはできたが、これからはケースも音とU1チップによる高精度探索ができるようになり、紛失してもすぐに場所を見つけることができる。
そして、ワイヤレス充電の開始時や間違ったイヤホンを充電器に入れてしまったときなどに、音で確認できるようになった点も地味ながら使いやすさが向上した。
音質については大きな変化はなかったように感じるが、低音などはしっかりと強調されるようになっていてより没入感の高い音楽体験が可能に。前述のノイズキャンセリング性能の向上によって、先代よりも音を繊細に聞くことができるようになったように、「音」 に関する性能・機能は全体的に改良されたことがしっかりと感じられてグッドだ。
ただし、第1世代をすでにお持ちのユーザーが新型の第2世代を買うべきかについてはそこまで強くオススメはできない。このレビューで紹介した機能のうちいくつか欲しい機能がある場合や、第1世代のバッテリーがすでにへたってしまっている場合には買い替えても良さそうではあるが、音楽体験 (特に音質面) については大きな変化はなかったことから、次世代モデルを待ってみても良さそうではある。
とはいえ、AirPods Pro (第2世代) の進化の仕方は、筆者としては購入意欲を掻き立てるものだった。これまで欲しい、改良して欲しい、と思っていた部分がしっかりと改善されていて、今後の取材活動にも役立ちそうな気がしている。今月末以降には飛行機に乗る機会もあるため、もっと使い込んでいくうちに気づくこともあるかもしれないが、買ってよかった一品であることは間違いなさそうだ。
まだ、AirPodsシリーズそのものを体験したことのない方や、エントリーモデルのAirPodsを使ってきたユーザーは、今回の新型モデル試してみても良いのではないだろうか。
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