『Age of Mythology: Retold』が、いよいよ9月5日にMicrosoftから発売する。
本作は、RTS (リアルタイムストラテジー) の金字塔『Age of Empire』シリーズにおける外伝的な立ち位置の作品で、2002年に発売した『Age of Mythology』をベースに開発したフルリメイク作品だ。
オリジナルの『Age of Empire』シリーズは、古代から中世の文明に焦点を当てたRTS作品であるのに対して、『Age of Mythology』は有名な神話を基にしたRTS作品になっている。
ゲームシステムこそ『Age of Empire』シリーズから大きく変わらないものの、神話をテーマにしたということもあり、古代ギリシア神話、エジプト神話、北欧神話の神々が次々と登場。「ゴッドパワー」 と呼ばれる神の力を使いながら、アグレッシブかつダイナミックな神話バトルが楽しめるのが今回の作品だ。
今回、『Age of Mythology: Retold』の発売に先がけて、日本マイクロソフトより本作のゲームコードを提供いただき、実際にプレイしてみることができた。プレイした時間は10時間強と決して多くはないが、そのなかで感じられた『Age of Mythology: Retold』のインプレッションをレビュー記事としてお届けしたいと思う。
『Age of Mythology: Retold』とは
まずレビューをはじめる前に、『Age of Mythology』の歴史について簡単におさらいしておきたい。
前述のとおり『Age of Mythology: Retold』は、『Age of Empire』の外伝的な作品として2002年に発売したRTS作品だ。『Age of Empire』シリーズの特徴をそのままに、古代ギリシアや古代エジプト、北欧といった古代の神話をモチーフにしたストーリーテリング、バトルシステムを採用。プレイヤーはそれぞれの陣営となり、神々の庇護のもと生産や研究を繰り返しながら国を発展させていく。
2002年にオリジナルが発売して以降、2014年5月にHD解像度をサポートした『Age of Mythology: Extended Edition』が発売しているが、今回の『Age of Mythology: Retold』はそのフルリメイク。オリジナルから起算すれば22年ぶりとなるが、『Age of Mythology: Extended Edition』からは10年越しの新作ということになる。
最大の特徴であるのが、原始→古代→古典→英雄と時代が進むごとに獲得できる 「ゴッドパワー」 。神が持つ強力な力を行使することで、強大な敵を打ち倒したり、自軍のユニットを回復したりと様々な恩恵を得ることができる。
オリジナルの『Age of Mythology』では、ゴッドパワーはバトルを通じて一度しか使えなかったことから、ここぞというときの 「切り札」 的なものだったが、今回の作品では何度でも使うことが可能に。ゴッドパワーもひとつの 「戦力」 としてみなしても良いかもしれない。
登場する神々は多岐にわたる。「ゼウス」 「ポセイドン」 「ハデス」 「アテナ」 「アポロン」 などおそらく誰もが知るであろう著名な神々だけでなく、「ガイア」 「ヘファイストス」 「ディオニュソス」 といった神々も登場。また、それぞれの文明に対応した固有の神話ユニットや建物も登場する。
例えば、古代ギリシアであれば 「アイアス」 「ヘレポリス」 、エジプトなら 「ファラオ」 や 「スフィンクス」 などがある。これらのユニットには固有の効果が割り当てられているため、うまく利用することで効果的に相手を攻めたり、街を発展させられるだろう。
また、それぞれのユニットの特徴がうまくゲーム内システムで表現されているため、古代ギリシア神話、エジプト神話、北欧神話にまつわる話が好きな人にはきっと楽しめるのではないだろうか。
なお、本作は 「Age」 シリーズ史上初めてPC版とコンソール版(Xbox Series X|S) が同時に発売する。PC版ではマウス・キーボードに加えて、ゲームパッドでプレイすることも可能だ。
『Age of Mythology: Retold』キャンペーン序盤をプレイしてみた
まずはチュートリアルをかねてキャンペーンモードを最初からプレイしてみた。今回が初めてのプレイということで、難易度は 「標準」 を選択した。
キャンペーンは、「トライデントの崩壊」 「黄金の贈り物」 「アトランティスの再興」 などが用意されているが、このうちのひとつ 「トライデントの崩壊」 をプレイ。
本キャンペーンの主人公は、架空の英雄 「アーカントス」 。カモスの海賊を倒しアトランティスに向かう途中、夢の中で女神アテナから助けを求められる。
アトランティス到着後、トロイ戦争参戦について議論している間に、クラーケンと海賊ブラックセールズの襲撃を受けてしまう。アーカントスは彼らを撃退することに成功するが、戦いのあとにポセイドンの石像のトライデント (三叉槍) が奪われていることに気づく。アーカントスはポセイドンの怒りを鎮めるため海賊を追撃し、無事にトライデントを取り戻すことに成功する。
アトランティスにトライデントを送り返したアーカントスは、再びトロイアへ向かうことに。トロイアでアガメムノンと会い、アイアスらとも再会。その後トロイアの城門を突破するための準備を行い決行。堅牢な守りで固められたトロイアの城門を突破するも、アイアスを残した基地がトロイア軍による襲撃を受けていたため一時退却の危機に陥る。
その後、オデッセウスの計画であの有名な 「トロイアの木馬」 を作り、最終的に勝利。戦争後、イオクロスで海賊に捕まった人々とケイロンを救出するが、ガルガレンシスの発掘現場で彼と対峙することになるーー。
このキャンペーンモードでは、プレイヤーはアーカントスの目線でアトランティスをめぐるストーリーを追っていく。画面右上にやらなければならないタスクリストが提示され、基本的にはそのタスクを一つ一つこなしていくことでストーリーが進んでいく仕組みだ。
キャンペーンモードの序盤では、本作の基本的な操作を学ぶことができる。ユニットを選択して、特定の敵や建物、場所などの指定した場所に移動させる方法、ゴッドパワーの使い方、マップ上に建物を作る方法など。
本作ではユニットを正確に動かすことができるかどうかが勝利に直結するので、とにかく序盤でユニットを効率よく移動できるように練習を重ねておこう。
ゲームの基本的な流れは、人口を増やし、兵士を養成し、装備を整えて強力な軍勢を敵にぶつけるというもの。プレイヤーが操作できるユニットは、主に敵を攻撃する 「攻撃系ユニット」 と、食料や木などの資源を集める 「市民ユニット」 の2種類に分けられる。人口を増やすには、市民ユニットに食料や木材、ゴールドなどの資源を採取させ、それらを消費して新たなユニットを生み出したり、建物を作ったりする。
攻撃系ユニットは歩兵や射手、騎兵、攻城兵器、船のほかに、神話上の英雄や怪物も強力なユニットとして登場する。それぞれ 「英雄ユニット」 「神話ユニット」 と呼ばれる。
たとえば 「アーカントス」 は英雄ユニットで、神話ユニットに対して高い攻撃力を持つ。キャンペーンモードの序盤で港が神話ユニットの 「クラーケン」 に襲われるシーンがあるのだが、ここでアーカントスを前線に出すことで効率よくクラーケンを倒すことが可能だ。
クラーケンのような神話ユニットは、英雄ユニットに対してはダメージが通りにくいが、かわりにHPや攻撃力が高いことから、歩兵や騎兵といった人間系の攻撃ユニットを蹴散らすのに有効。また、神話ユニットにもダメージが通りやすいため、攻撃ユニット軍団の中に数匹は仕込んでおきたいユニットだ。
市民ユニットはわずかな攻撃はできるものの、基本的には非戦闘員ということで、戦いには出ずに資源の調達をするのがメイン。各ユニットを生み出したり、建物を建てるには資源が必要になるため、強力な軍隊を生み出すためには市民ユニットをある程度確保し、街を大きくする “内政” をしっかりやっていく必要がある。
キャンペーンは 「ストーリー」 「標準」 「やや難しい」 「難しい」 「ティタン」 の難易度が設けられており、「標準」 では割と簡単にクリアできたことから、この手のシミュレーションゲームに慣れているようだったら 「やや難しい」 あるいは 「難しい」 あたりを選んでみても良いかもしれない。
「スカーミッシュ」 でCPUと4人対戦。初めての戦いは全陣営がティタンを召喚するという地獄絵図に
キャンペーンモードで基礎を学んだら、さっそく本作のメインモードとも言える 「スカーミッシュ」 モードで3人のCPUを交えた4人対戦を実施。同モードは、マップ内にいる他の陣営よりも早く街を発展させて強力な軍隊を作り上げ、他の文明を滅ぼすことで勝利となる。最大12人までプレイヤーを増やして戦いあうことが可能だ。
筆者は 「ギリシア神話」 陣営を選び、主神は 「ゼウス」 「ポセイドン」 「ハデス」 のなかから 「ゼウス」 を選択。ここで選択した主神によって、時代が進んだときに選択できる 「従神」 が変わり、使えるユニットやゴッドパワーが変わってくる。ちなみに、「ゼウス」 のゴッドパワーは 「電光」 。空から雷を降らせることで敵の軍事ユニットに大ダメージを与えられる。
キャンペーンでやや余裕を感じていたことから、今回はCPUの強さを 「やや難しい」 に設定してプレイ開始。『AoM』の初心者なりに色々と試行錯誤してみたところ、攻撃ユニットはもちろん重要なのだが、それよりも市民ユニットを増やして資源を効率よく入手し、「歩兵育成所」 「射手育成所」 「神殿」 などの重要な建物を早い段階で揃えることがとにかく重要だと感じた。
ただし、各陣営で人口の最大値は決まっており、攻撃ユニットも市民ユニットも、すべてのユニットが人口の上限に関係するため、市民ユニットだけを増やせば良いというものではなく、攻撃ユニットが少なくなってしまい、襲撃を受けたときに耐えられないということもある。ユニットのバランスは常に考えて運用する必要があるだろう。
市民ユニットに資源を集めてもらうときに、「他にもやることが多すぎて市民の操作が間に合わない!」 と困っている人は、本作から導入された新しい行動自動化機能 「Villager Priority System」 を活用してみていただきたい。
同機能は、用意された8種類のプリセットや自分のカスタム設定に基づき、市民たちが自動で資源を回収してきてくれる超便利システム。各市民ユニットに指示する必要がなくなるため、プレイヤーはその分攻撃ユニットやテクノロジーのアップグレードなどの操作に集中することができる。
まれに同機能を使っても市民が動かないことがあったり、出現したばかりの市民が自動で動き出すまで数秒かかることはあるものの、大まかな操作を自動でやってくれるのはとても便利だった。まだ操作に慣れていない初心者ユーザーには強力なお助けツールになってくれるはず。
早い段階で時代を進めておくのも重要な戦略だ。古代→古典→英雄→神話と時代が進めば、強力なユニットやテクノロジーを入手できる。たとえば古代→古典に進めるには神殿の建設と一定数の食料が必要になるなど、各時代に進むためには条件があるため、必要な条件をサクサク達成して敵の陣営よりも早く新しい時代に進み、軍事力においてはできるだけ優勢を保っておこう。
実際に 「スカーミッシュ」 モードをプレイしてみて、まだ最大効率でユニットを動かせていないにも関わらず、自国の成長ペースは他陣営 (CPU) を大きく上回ることに成功した。ただしこれはあくまでスコア上での話で、敵の陣営を滅ぼすとなるとそう簡単ではなかった。
ゲーム中盤あたりに、近くにいた他陣営を滅ぼすために一度多勢で出撃したところ、相手もしっかりと準備を整えていたようで、かなりの苦戦を強いられることに。一度、自陣営の攻撃部隊が全滅しそうにもなったが、ゴッドパワーを駆使しながら、どうにか1つの敵陣営を滅ぼすことができた。
しかし、一番スコアの低い陣営でこれなのであれば、ほか陣営に挑んでも簡単に返り討ちに遭ってしまうのでは……そんな不安を感じながらも、攻撃は最大の防御ということで出陣。結果は予想どおりの敗北。相手は英雄ユニットや神話ユニット、さらには強力な守りを発揮できる建造物 「要塞」 などで自陣を固めていたので、いくら人数を揃えていたとしてもこちらの陣営はジリ貧になり、あっという間に壊滅してしまった。
一度自国の中心に戻りふたたび軍備を拡張していくなか、相手に動きが。なんと、超強力な攻撃ユニット 「ティタン」 を召喚する 「ティタンのゲート」 を作りはじめたというアナウンスがあったのだ。しかも自身を除く残り2つの陣営からほぼ同時に。
これだと我が国はティタンに滅ぼされてしまう……ということで、筆者の陣営も急いで 「ティタンのゲート」 を作りはじめることに。
幸いなことに、筆者の陣営では、終盤になるにつれて作るべき建物などがほとんどなくなり、食料や木材などの素材も十分に揃ってしまったことから、(暇を持て余した) 大量の市民たちが日々神殿で一心不乱に祈りを捧げていた。この神殿から全市民をひっぺがし、「ティタンのゲート」 を作ることに決定。クフ王もびっくりの国家プロジェクトだ。
50名近くの人員を投入した甲斐もあって、相手陣営よりもすこし早く 「ティタンのゲート」 が完成し、他陣営よりもいち早くティタンを召喚することに成功した。
しかし、ほどなくして残り2つの陣営も 「ティタンのゲート」 を完成させてしまい、残存する3陣営すべてがティタンを保有するという地獄絵図に。
しかし、筆者にはもう一つ強力な武器があるのだ。市民たちの 「祈る力」 だ。「ティタンのゲート」 を完成させた市民たちを今度は神殿に行かせ、全員で祈祷。するとみるみるうちに 「恩寵」 ポイントが貯まっていくではないか。
こうなったら、ティタンとゴッドパワーをフルに使い、神々の力で残りの敵陣営を殲滅するという戦略を取るしかない。まさに神頼みである。市民総出で神にお願いし、雷を落としてもらい勝利するのがベストなのだ。
一応、通常の攻撃ユニットもそれなりに充実させておきたかったので、自国の市民を20人ほど解体し、攻撃ユニットを生み出し、いざ出陣。敵陣に到達するなり、ティタンは両手を振り回して敵や建物を薙ぎ倒していく。
その力はすさまじく、通常の軍事ユニットならほぼ一撃か二撃で倒せてしまうくらいの強力さ。他のユニットなんていらないんじゃ……と思うほどだった。
しかし、相手のティタンも数秒遅れるかたちで戦闘に参加。神話の戦いというよりもやや怪獣同士の戦いという感じにもなってしまったが、ライトニングストームや復興 (ユニットを回復するゴッドパワー) を使いまくって、相手のティタンを倒すことに成功。他のユニットもほぼティタンが片付けてくれた。
この調子でもうひとつの陣営も叩きに行こうということで、多少戦力を整えながら敵陣に突入。同じように、ティタンの絶大な破壊力やメデューサの石化能力に助けられ、最終的には3つの敵陣営を破壊し、勝利することができた。
おそらくもっとうまく立ち回れっていれば、各陣営がティタンを召喚する前に敵を圧倒することができていた、もっと言うと市民総出で祈祷する必要もなかったと思うのだが、それにはもっと練習が必要そうだ。
ちなみに、今回は古代ギリシアを選択したため 「恩寵」 ポイントを獲得するには神殿で祈る必要があったが、他の陣営だった場合は、自動的にポイントが貯まったり、特定の建造物を作ることで貯めることができるため、戦略は大きく異なるものになるだろう。まだ一部陣営はプレイできていないので、本レビューを公開したあとにでも挑戦してみようと思う。
10年ぶりの新作『Age of Mythology』は何時間でも遊んでいられるRTS。ゴッドパワーと神話ユニットを駆使して相手より優位に立て
『Age of Mythology: Retold』は、他の 「Age」 シリーズやオリジナル版『Age of Mythology』の面白さ・ユニークさを引き継ぎつつも、何度も放つことができるようになった 「ゴッドパワー」 のおかげで、一味違った雰囲気の作品になっていたように思う。
そもそも本作のゲームシステム自体がかなり面白い上に、各陣営ごとに上手く調整されていることから、陣営を変えたり、主神を変えることで何時間でもプレイすることができそうだ。
リアルタイムストラテジーは難しいという印象もあるかもしれないが、初心者お助けシステムの 「Villager Priority System」 がある上に、一度ゲームシステムを理解してしまえばそこまで複雑な作品というわけでもない (と思う) ので、初心者の人も遊びやすい難易度になっているはずだ。
また、本作はグラフィックが美麗になっていること、見下ろしビューとズームインが可能であるため、市民たちが一生懸命に畑を耕したり、神殿に祈りを捧げている様子を眺めることができる。実際のプレイの中でのんびり市民たちを見る余裕があるかと言われたらそうでもないが、内政好きな筆者にはまるでアリさん観察キットを見ているような感覚で飽きることなくずっと眺めていられてグッドだった。
あと、個人的に気に入っている光景は、街の中心から市場に向かって移動することでゴールドを生み出す 「隊商」 というユニットを大量生産したとき。市場と街の中心の間に大量の隊商ユニットが連なる様子がそもそも面白すぎるのだが、実は見た目の面白さだけでなく、ゴールド集めの方法としても有効。金鉱があまり近くにないときには、試してみていただきたい。
『Age of Mythology: Retold』は、日本時間では本日8月28日から、プレミアムエディションの所有者向けに早期アクセスを開始している。発売は9月5日を予定している。
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(画像提供:Microsoft)