アドビは、メディア向けにアドビ動画製品に関する最新アップデートのオンライン記者説明会を実施した。同イベントの中で、Adobe Premiere Proにおける最新機能を発表し、デモを披露。複数の新機能に関する紹介を行った。
今回のアップデートにて追加される機能は、音楽の 「リミックス」 ツール、および 「音声のテキスト化」 のオフライン対応などが予定されている。
これらの新機能は本日2月8日より提供が開始されており、Premiere Proのユーザーは追加費用なしで利用することが可能だ。
「リミックス」 機能
昨年10月からベータ版として提供されていた 「リミックス」 機能が、今回のアップデートで正式リリースとなった。
「リミックス」 は、Adobe Senseiを活用して、音楽クリップを指定した尺に合わせて自動で調整する機能。
わざわざレーザーツールを使ってBGMをカットしたり、フェードアウトをかけたりとBGMをアレンジする必要なく自動で良さげな雰囲気にBGMを仕上げてくれるため、映像コンテンツの長さに合わせてBGMを終わらせたいときや、短すぎたり長すぎるBGMを調整する場合に特に有効だ。
もしアレンジが気に入らなかった場合には、エッセンシャルサウンドパネルのスライダーを使って様々なアレンジを簡単に試すことが可能だ。
「音声のテキスト化」 がオフライン対応で最大3倍速く
昨年10月にリリースされた 「音声のテキスト化」 。これは、ビデオの音声データから自動でキャプションを付与する機能となるが、今回のアップデートで従来よりもさらに高速に利用することが可能になっている。
具体的には最大3倍。Intel Core i9およびAppleのM1システム (M1, M1 Pro/M1 Max)では3倍程度、その他の現行プロセッサにおいては2倍高速化されているとのこと。
この高速化は、同機能のオフライン対応によるところが大きい。これまで同機能はインターネットへの接続が必要だったが、言語パックをダウンロードすることでインターネットに接続していない環境でもテキストを起こせるようになっている。
対応言語は13。英語や日本語などインターネット環境下で対応していた言語すべてがオフライン環境でも利用可能になる。なお、各言語パックのデータサイズは650MBとなっており、必要な言語だけをダウンロードすることでストレージ容量を節約することが可能だ。
今回のオンライン記者説明会では、実際にデモを見せてもらうことができた。昨年 「音声のテキスト化」 機能が提供開始となった頃は、2〜3分尺の動画で、2〜3分程度処理に時間がかかっていたのだが、その後のアップデートですこし改善されていた。しかし、オフラインでの動作が可能になったことで、処理にかかる時間はさらに短縮され、2〜3分程度の動画でも1分以内に完了していたようだ。
非インターネット環境において同機能が利用できるようになったことで、インターネット環境が用意できない出先での作業が可能になるだけでなく、作業効率も大幅アップすることになる。利用者にとては非常に効果の大きなアップデートと言えるだろう。
10-bit 420 HEVCの書き出しが最大10倍高速に
今回のアップデートでは、10-bit 420 HEVCの書き出しが最大10倍高速となるアップデートも実施される。Adobe Premiere Proのハードウェアエンコード機能がアップデート。IntelまたはNVIDIA製GPUを搭載したWindowsマシンにおいて、10-bit 420 HDRフッテージの書き出し時間が最大で10倍早くなる。
また、GPU高速化に対応したリニアワイプおよびブロックディゾルブが搭載される。これらのエフェクトを使用した場合、GPU高速化によって再生はよりスムーズに、書き出しはより他時間で完了するようになるという。現時点においては、Adobe Premier Proで利用できるエフェクトの70%以上がGPU高速化に対応しているとのことだ。
M1 Pro/M1 Maxチップ搭載Macのノッチに最適化
昨秋に発売したM1 Pro/M1 Maxチップを搭載したハイエンド型MacBook Proの画面上部にあるノッチを、Adobe Premiere ProのUIが回避するように最適化される。