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Adobe Firefly、生成AIのオールインワンプラットフォームへ。画像・動画・音声を統合した最新アップデート

Adobeは、米ロサンゼルスで開催される年次イベント「Adobe MAX」で、生成AIプラットフォーム「Adobe Firefly」の大規模アップデートを発表した。

アップデートの柱は3つ。新しい画像生成モデル「Firefly Image Model 5」、スタジオ品質の動画・音声生成機能、そしてGoogleやOpenAIなどを含む外部パートナーモデルとの連携拡大だ。Web版トップ画面も刷新され、画像・動画・音声など各機能に素早くアクセスできる制作の起点として再設計された。

このアップデートにより、Fireflyはアイデア創出・制作・展開を一気通貫で支援するオールインワンプラットフォームへと進化した。

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「Firefly Image Model 5」で進化するプロンプト編集

Fireflyの中核となる画像生成モデルは、最新の「Firefly Image Model 5(ベータ版)」が追加された。

画質は大幅に向上し、アップスケーリングなしでネイティブ4MP(2K)解像度に対応。光や質感を正確に再現し、解剖学的に正確な人物や自然な動きを描写できる。

最大の特徴は「プロンプトで編集」機能だ。生成済みの画像に対し、「夜にして」「秋の風景に変えて」など自然言語で指示を出すだけで、構図や要素を保持したまま変更できる。これにより生成と編集のプロセスを一体化し、より直感的な制作が可能になった。

この機能は、Fireflyモデルだけでなく、Black Forest Labs、Google、OpenAIなどのパートナーモデルでも利用できる。

また、新モデルは「レイヤー画像編集」にも搭載される予定で、AIが画像全体のコンテキストを理解した上で新しい要素を自然に溶け込ませるように合成することで、全体として統一感のある仕上がりを実現する。

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Adobe Fireflyボードに新機能「画像を3Dに変換」が登場

Fireflyのアイデア創出プラットフォーム「Adobe Fireflyボード」にも新機能が加わった。

「画像を3Dに変換」は、2D画像を3D画像に変換する新機能で、オブジェクトや人物をさまざまなポーズで配置したり、回転して表示することができるようになる。

そのほか、新たに追加された「PDF書き出し」「一括画像ダウンロード」機能は、コンセプトを整理しやすくなり、コラボレーションの効率化に役立つ。

スタジオ品質の音声・動画生成

Fireflyは今回、音声と動画の生成にも本格対応した。

サウンドトラックを生成(ベータ)

「サウンドトラックを生成(ベータ)」機能は、新しい「Adobe Firefly Audio Model」により、商用利用可能なスタジオ品質のインストゥルメンタル曲を数秒で生成できるAI音楽生成ツールだ。

入力は自由なテキストではなく、「雰囲気」「スタイル」「目的」の3項目を選択して指定する形式。テンポや長さ(最大300秒)も設定できる。動画をアップロードして映像の雰囲気を解析させることで、その動画に最適な音楽を自動生成する機能も備える。

音声を生成(ベータ)

「音声を生成(ベータ)」機能は、クリアなナレーションを作成するためのテキスト読み上げツール。Firefly Speech ModelとElevenLabsの技術を組み合わせ、自然なナレーションを作成できる。

対応言語は20か国語。声の感情、テンポ、強調を細かく調整でき、文章内に「間(ポーズ)」を挿入することも可能だ。ナレーション、チュートリアル、コンテンツの吹き替えなどに活用できる。

動画編集機能

「動画を編集(ベータ)」は、ウェブブラウザで動作するマルチトラックのタイムラインエディターだ。

動画や音声、テキストを組み合わせて編集でき、Firefly内で新たな動画クリップを直接生成することもできる。例えば特定のフレームを起点に、そこから続く新しい映像を生成することが可能だ。

現時点では、本機能は本格的な映像制作というよりは、Vコン(ビデオコンテ)やプロトタイプ制作向けの軽量ワークフローに適した機能であるとAdobeは説明している。

外部モデル連携とカスタムAIの拡張

AdobeはFireflyをAI制作のハブと位置づけ、外部モデルとの統合を進めている。

ElevenLabs、Google、OpenAI、RunwayなどのモデルをFirefly内で利用可能になり、同一プロンプトで複数の結果を比較できる。Adobe独自モデルは商用利用保証が明記されているが、外部モデルの利用は各社のポリシーを確認する必要がある。

また、「Fireflyカスタムモデル」では、クリエイター自身の権利を持つ画像を学習させることで、独自のスタイルを保持した生成モデルを構築できる。ブランドビジュアルやキャンペーン素材の統一などに活用できる。

さらに、Adobeは新しい対話型AIアシスタント「Project Moonlight」をプレビュー公開した。エージェント型AIを搭載し、Adobe製品やSNSアカウントと連携して、アイデアの整理からコンテンツ生成までを対話形式で支援する。

Firefly Image Model 5、「サウンドトラックを生成」、「音声を生成」は本日よりベータ版として提供開始。動画編集とカスタムモデル機能は来月より順次ベータ版が公開予定で、現在はウェイティングリストへの登録を受け付けている。

(画像提供:Adobe)