
Adobeは世界最大級のクリエイティビティカンファレンス「Adobe MAX」において、Adobe Expressに新たな「AIアシスタント(ベータ)」を導入すると発表した。
この機能は、ユーザーが指示(プロンプト)を打ち込むだけで、AIが自動的にデザインを生成・編集してくれるものだ。スキルや経験の有無にかかわらず、数分で高品質なコンテンツを作れることを目指している。
Adobe Expressの編集ツール内に統合されたこのAIアシスタントは、ユーザーが文字で伝えた内容を理解し、画像生成や背景変更、オブジェクトの置換まで一手で行える。
たとえば、SNS用のカフェメニュー投稿を作る際、「オレンジカクテル」を「パンプキン」に差し替えるだけで、AIがデザインを解析し、最適な素材を検索・置換。背景削除も自動で行われる。
さらに、配色変更や複雑な画像の馴染ませ処理、曖昧な指示の理解、さらには静止画から動画への変換なども可能だ。「色味をもっとパンプキンカラーに」「白いカップの曲面にロゴを馴染ませる」「トロピカルな雰囲気に」といった感覚的な指示でも、AIは文脈を理解して適切に反映する。ユーザーはAIの提案を受けつつ、必要に応じてフルエディターで手動編集もできる。
AdobeはAIを人間の創造性を拡張するツールと位置付けており、デザイン初心者には伴走者として、プロのクリエイターにはバリエーション探索や試作作業の効率化として活用できることを目指す。
法人向け機能も展開 ブランドガイドライン遵守の自動生成を実現
Adobeは今後、Adobe Expressに法人向け機能を追加する予定だ。AIアシスタントを活用することで、社員は自己完結型でブランドガイドラインに沿ったコンテンツを制作・共同編集できる。テンプレートロックや一括作成などにより、コンテンツ制作全体の効率と管理性を向上させることが狙いだ。
この機能により、デザイン未経験の社員でも「作りたい内容を言葉で説明するだけで、高品質なビジュアル」を生成できる。マーケターや営業担当でも、プロの手を借りずに即戦力のコンテンツを生み出せる点が特徴だ。また、AIアシスタントはAdobe PhotoshopやAdobe Firefly、さらにはChatGPTなどのサードパーティアプリ経由でも利用可能な、エージェント型AIの対話体験の一部として位置付けられている。
「Adobe Express AIアシスタント(ベータ)」は、本日10月28日より公開する。現時点ではデスクトップ版プレミアムプランの英語UI限定で、数量限定提供となる。将来的には日本語対応も予定されており、一般提供開始時にはAdobe Fireflyの生成クレジットを通じ、すべてのユーザーが利用できる見込みだ。
(画像提供:Adobe)



