ここ数年、「USB-PD (Power Delivery)」 を採用したデバイスが急激に増えている。USB-PDは高い電力供給を特徴とし、対応デバイスを急速に充電できることが可能。MacBook AirやMacBook Proといったデバイスにも採用されているため、ご存知の方も多いはず。
その一方で、USB-PD対応の充電器は徐々に種類が多くなってきているものの、まだまだ選択肢が少ないのが現状。ましてや複数台のデバイスを同時に充電するとなれば、種類はどうしても限られてくる。
しかし、そういった方々を満足させられそうな製品がFreedyから登場だ。今回紹介する 「Freedy 90W マルチポートチャージャー」 は、最大90W (ワット) 出力に対応したUSB-PD充電器。60Wと30W出力が可能なPD対応ポートがひとつずつ搭載されているため、MacBook Pro (13インチ) とiPad Pro (2018) やMacBook Air (2018)、MacBook (12インチ) を2台同時にフルスピード充電することが可能だ。また、Quick Charge 3.0にも対応しているなどUSB-PD以外のデバイスも最速で充電できる。
同製品のサンプルを提供してもらうことができたので、以下 「Freedy 90W マルチポートチャージャー」 のレビューをお届けする。同製品の特徴や仕様等を実際に使ってみた感想を交えながらお伝えしたいと思う。
60W+30W出力に対応。合計4台のデバイスを同時フルスピード充電
改めて 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 の特徴を簡単に説明したいと思う。同製品は、名前の通り最大90Wの高出力に対応したマルチポート充電器だ。
2つのUSB Type-Cポートと2つのUSB Type-Aポートを搭載しており、USB Type-Cポートはそれぞれ急速充電規格USB-PD(Power Delivery)に対応。ひとつは最大60W出力、もうひとつは最大30W出力に対応する。これらふたつのポート合わせて、最大90Wの出力が可能だ。
また、2つのUSB Type-AポートはQualcommの急速充電規格 「Quick Charge 3.0」 に対応しており、同規格を採用したスマートフォンやモバイルバッテリーなどを急速充電することが可能だ。
この充電器を使えば、MacBook ProやiPad ProなどのUSB-PDに対応した製品をフルスピード充電できる上に、そのほかのデバイスを含めて同時に4台のデバイスを充電できる。USB-PDに対応した製品を1台以上お持ちの方にぜひオススメしたい一品だ。
入力 | AC 100-240V, 50/60Hz, 1.5A | |
---|---|---|
出力ポート | USB Type-C × 2:最大60W & 30W USB Type-A × 2:QC3.0対応 |
|
仕様 | Type-C 60W | 5V/3A, 9V/3A, 12V/3A, 15V/3A, 20V/3A |
Type-C 30W | 5V/3A, 9V/3A, 12V/2.5A, 15V/2A, 20V/1.5A | |
Type-A | 3.6V-6V/3A, 6.5V-9V/2A, 9V-12V/1.5A | |
出力合計 | 90W |
「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 は最大90Wの高出力に対応していること、そして最大4台のデバイスの同時充電に対応していることもあり、結構大きな筐体 (120×105×21mm) になっている。「iPhone X」 と比較するとこんな感じだ。
本体の重さは278g(グラム)。電源ケーブルを含めた重さは340g程度で、他のモノで例えると文庫本2冊ぐらいの重さとなる。カバンに入れて持ち運ぶにはやや大きく重量もそこそこあるため、筆者は普段から外出先に持っていくような使い方はしない予定だが、だからと言って持ち運びができないというものでもない。むしろ、旅行先などに持っていくには便利なアイテムだろう。
筆者は同製品を主に自宅デスクで使用しているが、前述の通りそこそこ重さがあるため使用中にズレることはあまりない。ただ、充電器の筐体はプラスチック製で、充電器下にはゴム足が用意されていないため机の材質によっては少し引っ張ると動いてしまうこともありそうだ。そんな方は充電器下に滑り止めを置くなど工夫すると良いかもしれない (滑り止めは必ず熱で溶けづらいものを使用しよう) 。
上記写真は各種ポートを撮影したもの。左から60W出力に対応したUSB Type-Cポート、30W出力に対応したUSB Type-Cポート。そして右のふたつはQuick Charge 3.0に対応したUSB Type-Aポートだ。各ポートの仕様についてはあとで詳しく紹介するが、これらポートは適度な間隔で配置されているため、ケーブルが抜き差ししやすいのが個人的には気に入っている。
電源は付属の電源ケーブルで供給。コンセント直挿しタイプではないため机の上に置くことが可能だ。ケーブルの長さは約100cm。
上記は 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 と付属する同梱物を撮影した写真。充電器本体や電源ケーブルと一緒に、USB-Cケーブルとキャリーポーチが同梱されてくる。ポーチは柔らかい布製で、Freedyのロゴ入りだ。
USB-Cケーブルは形状記憶タイプ。金属繊維を織り込んだしっかりした材質が使われているようなので、机の引き出しに挟んで断線してしまうようなヤワな代物ではないはずだ。
各ポートの仕様を詳しくチェック。MacBook Pro (13inch) + iPad Pro (2018) に最適
さてここからは 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 の実力を詳しくチェックしていきたい。
同製品は充電器全体で90Wの出力が可能だ。ただし、ひとつのポートで出力できるのは一番左のUSB Type-Cポートの60Wが最大となる。そのため、MacBook Pro (13インチモデル) はフルスピード充電ができるものの、それ以上の出力が求められるMacBook Pro (15インチモデル) などについてはフルスピード充電ができない。この点には注意が必要だ。
MacBook Pro(13インチ)を約60Wのフルスピード充電
実際にMacBook Pro (13インチ) を充電してみた。テスターには 「19.7V / 2.91A」 と表示されており、約60W出力で充電できていることが確認できた。MacBook Proの純正電源アダプタも60W出力に対応しているので、ほぼフルスピード充電できていることがわかる。
さらに、MacBook Air(2018) もつないでみた。テスターには 「19.8V / 2.15A」 と表示され、数字上は40W以上の出力ができているように見受けられるが、Apple曰くMacは適合ワット数よりも大きな充電器につないでも充電速度が速くなることはないとのことなので、おそらく純正の電源アダプタと同じ30Wのフルスピード充電ができているものとみられる。
ふたつ目のType-Cポートは最大30W。こちらはMacBook Air (2018) やMacBook (12インチ)、iPad Pro (2018) を充電するのに最適なポートだ。iPad Pro(2018) をつないでみた時の写真は以下。テスターには 「14.9V / 1.80A」 と表示されており、30W弱のほぼフルスピード充電ができることが確認できた。
ちなみに、余談なのだが 「iPad Pro (2018)」 に付属する純正の電源アダプタの最大出力は18W。ただし、Macと違ってiPadは純正電源アダプタよりも大きな出力の充電器に繋いだ際早く充電することができ、iPad Pro (2018) の場合は最大出力30Wに対応する。
端末名 | 純正アダプタの出力 |
---|---|
MacBook Pro (15インチ) | 87W |
MacBook Pro (13インチ) | 61W |
MacBook Air (13インチ/2018) | 30W |
MacBook (12インチ) | 30W |
iPad Pro (2018) | 18W |
以下の写真は、「MacBook Pro (13インチ)」 と 「MacBook Air (2018)」 を同時につないだ時のもの。これらのデバイスを2台同時に接続しても、MacBook Proは約60Wのフルスピード充電が可能だった。
写真には収めていないものの、USB-C to Lightningケーブルを使用したiPhoneの急速充電もテストしてみた。テスターには 「9.05V / 1.09A」 と表示されたため、約10W~12Wの電力で充電できることが確認できた。純正の電源アダプタは約5Wの出力なので、この方法を使えばiPhoneの充電速度はおよそ2倍となる。
次には、残る2つのType-Aの充電ポートについて。これらはQualcommの急速充電規格 「Quick Charge 3.0」 (以下、QC 3.0) に対応した充電ポートになる。QC 3.0に対応したデバイス (Androidスマートフォンなど) を高速に充電することが可能だ。
筆者はQC 3.0対応デバイスを多く持っているわけではないため、同充電ポートの性能をテストするにはやや不十分な環境かもしれないが、試しにQC 3.0に対応した 「Xiaomi Mi 6」 を接続してみたところ、「5.03V / 1.47A」 の約7W出力で充電していたことが確認できた。
また、QC 3.0に対応している製品ではないが、ユーザーの多くがiPhone用の充電ポートとして活用する可能性を考えて同ポートにiPhoneを接続した時の出力をテストしてみた。テスト結果は 「5.05V / 0.97A」 の約5W出力で、純正の電源アダプタと同じ出力となっており、QC 3.0ポートでは特段高速に充電できるわけではないことがわかった。iPhoneを早く充電したいのであれば、やはりType-CポートでUSB-C to Lightningケーブルを使った方が良さそうだ。
上記はMacBook ProとMacBook Air(2018)、iPhone XS Maxを同時に3台充電した時の写真。MacBook Proは約60W、iPhone XS Maxには約5Wの出力となっていた。充電器全体で90W出力が可能な同製品の仕様を考えると、MacBook Airには約25Wの出力ができていたはずだ。
実際、テスターを入れ替えて計測した際、MacBook Airには約25W出力と表示されていたことを確認している。ちなみに、このバランスはiPad Pro(2018)を繋いだ時も同様だった。
まとめ:USB-PD対応デバイスを2台以上お持ちの方に最適な充電器
今回、筆者がテストした 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 は、数あるUSB-PD対応マルチポート充電器の中でも最高レベルの製品だと感じている。これまで多数のマルチポート充電器を試してきたが、同製品以上に筆者の環境にピッタリ合致する製品は今まで存在しなかった。
筆者は普段からモバイルデバイスとして、「MacBook Pro (13インチモデル)」 と「MacBook Air (2018)」 を使用している。また、同じくUSB Type-Cを採用した 「iPad Pro (2018)」 も併用しているため、「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 の60Wと30WのUSB Type-Cポートの組み合わせはとても魅力。実際、これらの製品が最速スピードで充電できることは上記のテスト結果からも明らか。
同製品が最適な充電器だと感じるのはおそらく筆者だけではないはずだ。前述したように 「MacBook Pro (15インチモデル)」 をフルスピード充電できないという制約はあるものの、もし 「MacBook Pro (15インチモデル)」 のような60W以上の出力が必要なデバイスを持っていない場合は、現状では 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 がオススメ。出力は充電器全体で90Wもあるため、おそらくどんな組み合わせでもフルスピード充電が可能だろう。
右は同時期発売のAnker PowerPort Atom PD4
ちなみに、「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 と同じ時期に、最大100W出力が可能な 「Anker PowerPort Atom PD4」 という製品がAnker社から発売しており筆者も購入してテストしてみたのだが、残念ながら 「Anker PowerPort Atom PD4」 の場合は、「MacBook Pro (13インチモデル)」 と 「iPad Pro (2018)」 を同時に繋いだ時に 「MacBook Pro (13インチモデル)」 をフルスピード充電することはできなかった。
このあたりの話は 「Anker PowerPort Atom PD4」 のレビューで詳しく紹介したいと考えているが、少なくとも筆者にとっては 「Anker PowerPort Atom PD4」 よりも 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 の方が合っていたということになる。重量も 「Anker PowerPort Atom PD4」 より120グラム軽いため、MacBook ProやiPad Proなどのモバイルデバイスとの相性も良く、持ち運びも現実的であるという点も高く評価したい。
また、USB Type-Cに対応した充電器の中にはごく稀に電流が逆流する現象が起きるアクセサリがあるが、「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 ではその現象に遭遇したことはない。
これらの理由から、安定して高いレベルの充電環境を提供できる 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 を個人的には全力で推したい。USB-PD対応デバイスを2台以上お持ちの方、特にMacBook ProとMacBook Air/MacBook/iPad Proを所有している方にとって、「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 は間違いなくベスト・エバーな製品となるだろう。
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