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Googleは、過去何年にもわたって行ってきたGmailのメッセージ内スキャンを今後取りやめる。同社は現地時間6月23日に、ユーザーに適切な広告を配信するため実施していたメールの自動閲覧を2017年後半に終了することを発表している。
これまで、Googleは個々のユーザーのメール内容を自動的にスキャンするシステムを利用して、ユーザーの嗜好や関連するサービスの情報を収集してきた。もちろん直接人が閲覧するわけではないので、個々のプライバシーは守られるというのがGoogleの主張だったが、それでも時には批判され、裁判にまで発展したこともあった。
しかし、今回の変更によってプライバシー侵害を気にせず、誰もが安心してGmailを使うことができるように。
Googleが、なぜ今更のようにGmailのスキャンを停止するのか。その理由は、より多くの企業にGoogleの有料クラウドサービス「G Suite」を活用してもらうため。
Googleのクラウド部門責任者Diane Green氏はFiancial Timesに対して、今後のエンタープライズ向けのビジネス戦略について話をしている。
G SuiteのGmailでは現在でもメールの内容から情報の収集は行われていないが、サービス全体をより機密性の高いサービスにすることで信頼を得ることが重要であったとのこと。AmazonやMicrosoftといった企業向けクラウドサービスを提供するライバルから、直接顧客を奪うための戦略のひとつであることを明かしている。
メールはまさにプライバシーの塊、今回の変更は一般ユーザーにとっても重要な話だ。ただし、GoogleはGmailの中身をスキャンすることは終了するが、広告の配信は今後も継続する。個々のユーザーに対して広告の内容を最適化する方法は、Gmailアカウントの情報や検索履歴、YouTubeの視聴履歴といった活動から判別する予定であるという。
ちなみに、これらのパーソナライズド広告の表示を完全に無効化(オプトアウト)するには、Googleアカウントの設定から変更することができる。詳しい方法は、Googleがサポートページを公開しているので、詳しくはこちらから確認してほしい。