ZEALSの接客AI「Omakase.ai」が日本語音声に対応。パーソナライズシャンプー「MEDULLA」が最速導入で90%超の成果

取材に応じてくれた清水正大氏

ZEALS(ジールス)は10月22日、マルチモーダル接客AIエージェント「Omakase.ai」の音声機能が日本語に対応したと発表した。

Omakase.aiは、Webサイト上で動作するマルチモーダル型AIエージェント。ユーザーが閲覧しているWebページの内容をリアルタイムで認識しながら会話することが可能で、EC・D2C企業での導入が進む。

米国で先行展開されており、すでに15,000体以上が稼働。今年4月には世界最大級のプロダクトローンチプラットフォーム「Product Hunt」で1位を獲得するなど高い評価を得ている。英語以外での音声対応は日本語が初となる。

今回の日本語対応にあわせて、ZEALSは報道関係者向けのメディアラウンドテーブルを開催。同社の代表取締役CEO & Founderの清水正大氏によるプレゼンテーションが行われた。

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Web上で “リアル店舗の販売員” を再現するマルチモーダルAI

Omakase.aiは、Webサイト上で動作する「マルチモーダル接客AIエージェント」で、企業のオンライン接客を自動化するサービスだ。Webサイトを訪れたユーザーが各ECサイトやD2Cブランドのページを操作している最中に、まるでリアル店舗の販売員が隣にいるかのように、リアルタイムで会話しながら商品やサービスの案内を行う。

企業側はダッシュボードから商品情報やマニュアル、FAQをアップロードしてAIに学習させることができ、標準プランで5GB、エンタープライズプランではさらに多くの情報を扱える。ECやD2C企業は人手に頼らず、24時間365日稼働するデジタル販売員を持つことが可能だ。

導入先としてはEC・D2C企業が最も多いものの、米国ではレストラン、観光サービス、B2B企業、人材系、さらには弁護士事務所など、多様な業界で活用が進んでいる。弁護士事務所の例では、初回の相談料など、人が対応するとコストがかさむ専門的な質問にAIが対応することで、業務効率化に貢献している。

ZEALS代表取締役CEOの清水正大氏は、「これまでAIは社内の生産性向上、いわば守りの領域で活用されてきたが、これからは顧客のその先に価値を届ける攻めの存在になる」と語る。同社は「日本の素晴らしいおもてなしを世界へ」を掲げ、人手不足の課題をテクノロジーで解決しようとしている。

なお、日本語版の開発には高い技術的難易度が伴ったという。日本語特有の抑揚や間の取り方、カタカナ語の自然な発音、さらにはユーザーの感情のニュアンスまで再現することに注力。さらに、声の自然さのほかにも、返答の速さにもこだわっており、ユーザーの質問に対して数秒以内に答えられることを目指して開発しているとのことだ。

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MEDULLAが導入第1号に、2週間で90%超の一時解決率

左:ZEALS代表取締役CEO & Founderの清水正大氏/右:Sparty代表取締役CEO 深山陽介氏

日本語版の導入第1号となったのは、パーソナライズシャンプーブランドの「MEDULLA(メデュラ)」を運営するSpartyだ。同社は以前からZEALSのチャットコマース技術を活用しており、今回の音声AI導入でさらに高度なパーソナライズを実現した。

「MEDULLA AIビューティーアドバイザー」として展開された音声接客サービス「ME Voice」は、これまでに蓄積された約50万件の髪質診断データと、累計600万回以上の診断実績を活かして、最適なヘアケアを提案する。導入からわずか2週間で3,000件以上の音声接客を実施し、疑問解消率は90.8%を記録した。

Spartyの深山陽介CEOは、「従来の新人カウンセラーであれば、商品知識の習得だけで1ヶ月、現場対応レベルに達するには3ヶ月かかるのに対し、Omakase.aiは導入からわずか6日で現場レベルの接客品質に到達した」と語る。さらに、MEDULLAの狙うターゲット層ではない男性に対しても絶妙な返答ができるなど、日本語で自然な会話を実現したOmakase.aiの完成度に驚いたという。

AIが“おもてなし”を担う時代へ、ZEALSの次なる挑戦

ZEALSのマルチモーダル接客AI「Omakase.ai」は、2025年7月の課金開始からわずか3カ月でARR(年間経常収益)100万ドル(約1.5億円)を突破し、異例のスピードで成長している。

清水CEOは、2026年に日本国内でも最速クラスの成長速度となるARR5,000万ドル超(約50億円)を目標に掲げており、すでに複数の大手企業との商談が進んでいる段階にあるという。

今後、ZEALSは特定の人物のキャラクターや方言さえも再現できる「ボイスクローニング機能」の提供にも挑む予定。さらに、顧客データ(顧客IDやコンディション情報)と音声AIを統合し、顧客ごとに最適化された提案を行う次世代の接客を実現したり、ロボットとの連携によってオフラインの店舗接客にも展開し、将来的にはオンライン・オフラインを横断するシームレスな体験の提供も目指すとしている。

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