EAが買収され株式非公開化。史上最大のLBOに 〜 Redwood City本社は維持、CEOも続投

米大手ゲーム会社エレクトロニック・アーツ(EA)は、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)、投資会社シルバー・レイク、そしてドナルド・トランプ前大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏率いるアフィニティ・パートナーズによるコンソーシアムに買収され、非公開化される。

買収額は550億ドル(約8兆1700億円)で、レバレッジド・バイアウト(LBO)としては過去最大規模。

取引条件によれば、株主は1株あたり210ドルの現金を受け取る。これは、交渉報道前の株価に対して約25%のプレミアムだ。EAの株価は報道を受け急騰しており、取引発表前には一時15%高の193.35ドルをつけていた。

買収資金は、PIFの既存持分(約9.9%)のロールオーバーを含む約360億ドルのエクイティ投資と、JPモルガン・チェースが全額コミットする200億ドルのデットファイナンスで構成される。

このうち180億ドルがクロージング時に投入される予定だ。なお、今回の契約には解約条項も設けられており、EA側が他の提案を受け入れる場合は10億ドルの違約金が発生する。

取引は規制当局と株主の承認を経て、2027年度第1四半期(2027年4月まで)に完了する見込み。完了後、EA株は上場廃止となる。

買収完了後も本社はカリフォルニア州レッドウッドシティに残り、アンドリュー・ウィルソンCEOの体制は継続される。ウィルソン氏は「世界中のファンに向けて象徴的な体験を築き上げてきたEAのチームの努力が評価された瞬間だ」とコメントし、引き続きスポーツやエンタメ、テクノロジーの分野で成長を加速させると強調した。

PIFは任天堂やTake-Two、カプコンなどにも出資しており、ゲーム・エンタメ領域での存在感を強めている。シルバー・レイクはテクノロジー投資の実績が豊富で、アフィニティ・パートナーズのクシュナー氏も声明で「EAのビジョンと創造力に強く魅了されている」と述べている。

今回の買収は、ゲーム産業の成長鈍化が指摘される一方で、強力なIPとスポーツフランチャイズを持つEAが依然として投資家にとって魅力的な資産であることを示している。史上最大規模のゲーム企業買収は、今後の業界再編の象徴的な出来事として記憶されそうだ。

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(画像:Electronic Arts)

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