アドビ、AIを搭載した「Acrobat Studio」発表。内容精査からコンテンツ作成までひとつのアプリ内で完結

アドビは8月20日、AcrobatやAdobe ExpressにAIアシスタントを組み合わせ、文書の作成や編集から共有、デザイン制作までをひとつの場所で行えるようにした、新たなプラットフォーム「Acrobat Studio」を発表した。

AcrobatのPDFツール、Adobe Expressの制作機能、そしてAIアシスタントを統合し、文書の作成・編集・共有からコンテンツ制作、知識活用までを一体化することで、世界で3兆以上が流通しているPDFを静的なファイルから「インサイトを引き出せる対話型のハブ」へと進化させるのが狙いだ。

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AIアシスタントが内容の精査をサポートしてくれる「PDF Spaces」

「PDF Spaces」は、PDFやWebサイトなどのファイルをAIアシスタント付きの作業空間に変えるワークスペース。ユーザーはこの部分にいろんな文書を取り込んで、そこから内容を精査していくことになる。

文書を取り込むと、AIが要約や推奨を提案してくれるほか、プロンプトで質問することができ、AIに「インストラクター」「アナリスト」など役割を持たせることで用途に合ったサポートを得られる。さらに、引用を自動生成して情報源を確認できるため、内容の正確性も容易にチェックでき、メモを残して後から見返したりすることも可能だ。

このスペースは同僚や顧客、クラスメートと共有でき、全員が同じAIアシスタントを介してやり取りできる。営業チームなら提案書や調査資料をまとめてインサイトを抽出、学生ならノートを整理して学習ガイドを作成、旅行者ならパンフレットやレビューを組み合わせて最適な旅程をAIに提案してもらう、といった使い方ができる。

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Adobe ExpressとAIですばやくコンテンツを制作

Acrobat StudioはAdobe Expressのプレミアム機能を統合。プロがデザインしたテンプレートやブランドキットを使えるほか、生成AI「Firefly」でテキストから画像や動画を作成できる。インフォグラフィック、SNS投稿、プレゼン資料などを素早く作れる点が強みだ。PDFを分析して得た情報を、そのまま魅力的なビジュアルコンテンツに仕上げることができる。

また、従来のAcrobat Proの機能も網羅しており、編集、結合、スキャン、電子署名、墨消し、比較、保護などが利用できる。加えて、スキャンした文書や契約書をAIが要約する機能や、契約業務に特化したAIも搭載される。これにより、従来のPDFツールがより効率的に使えるようになった。

企業ユーザーに向けては、暗号化やコンプライアンス対応、集中管理などのエンタープライズ機能も強化。AIが提示する回答には引用リンクが付与され、情報の透明性と検証性を担保する。

さらに、アドビは顧客データをAIの学習に使用せず、第三者ベンダーへの提供も禁止しているため、安心して業務にAIを活用できる環境を整えている点も特徴だ。

Acrobat Studioはすでに英語版の提供を開始しており、14日間の無料トライアルが利用可能。価格は個人向けが月額24.99ドル、チーム向けが29.99ドルからとなる。PDFを次世代の作業環境に進化させるこの試みが、どこまで浸透するか注目される。

(画像提供:Adobe)

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