loop Switch 2 レビュー|電力なしで静けさを手に入れる、次世代のスマート耳栓

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都内で取材や打ち合わせが複数入っている日は、空き時間をカフェで過ごすことが多い。原稿を書いたり、メールをまとめて処理したりと、移動の合間に仕事を進めるにはちょうどいい。ただ、都心のカフェは平日でも賑やかで、周囲の話し声やBGM、食器の音などが気になりがちだ。

そんな環境では、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンが欠かせない。筆者自身も普段から愛用していて、特に音楽を流さず「ノイキャンだけオン」にして無音で作業するスタイルをとっている。音に意識を引っ張られず、静けさの中でタイピングに集中できるのが気に入っている。

バッテリー持ちに関してはヘッドホンなので十分だが、それでも荷物がかさばるのは気になるところ。特に飛行機での移動時など、長時間座ったままで過ごす場面では、ヘッドホンの大きさや耳周りの圧迫感が少し気になってくる。離陸後しばらくはノイキャンのおかげで静かな空間を確保できるが、フライト中ずっと装着していると、耳や頭が疲れてくるのが正直なところだ。

「もっと気軽に装着できて、必要なときにノイズだけを抑えられるようなものがあれば……」

そんなふうに感じていたところ、ベルギー発のイヤーウェアブランド「loop」から登場した『loop Switch 2』を魅力に感じた。これは充電不要で、物理的にノイズをコントロールできるイヤープラグ。3段階のモード切り替えによって、環境に応じた遮音が可能だという。

実際にこの『loop Switch 2』を試してみたところ、カフェや大通り、そして機内といった騒がしい環境でも、手軽に静けさを手に入れることができた。その使用感を、この記事で詳しく紹介したい。

(製品提供:loop)

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普通の耳栓とは異なる 「loop Switch 2」 。アクセサリに見えるデザインも魅力

まずは、loop Switch 2のデザインに注目していただきたい。本体はドーナツのように真ん中に穴の空いた円形のパーツとイヤーピースを組み合わせたデザインになっていて、一見するとアクセサリーのようなスタイリッシュさがある。

装着時には、円形パーツを指で持ってイヤーピース部分を耳の中に差し込み、軽くひねりながら自分にとって一番心地よい位置にフィットさせるようにする。イヤホンのように内部にバッテリーなどの部品が入っていないことから、本体はイヤホンよりも軽く、サイズも指先に乗るくらい小さい。

イヤーピースはXS、S、M、Lの4種類があり、自分に合ったサイズを選ぶことができる。ちなみに筆者はMサイズがピッタリだった。きちんとフィットしていない状態だと、頭を動かしたときにイヤーピースが耳の中でゴソゴソっとする感じがあるため、4種類全部を試してみて、不快感がないサイズを選ぶようにしよう。

イヤーピースは柔らかくて付け心地の良いシリコン素材でできており、しかも二重構造になっているため、長時間でも快適に装着し続けられる。筆者はイヤホンを長時間つけていると痛みを感じることが多いのだが、loop Switch 2は何時間つけても痛みを感じることはなかった。本体がコンパクトで耳の中にしっかりと収まることから、寝ホン (睡眠用イヤホン) 代わりに使っても快適だった。

本体を収納するケースも同じくコンパクトで、ポケットに入れると逆に失くしてしまいそうなほど。ケース上部には紐が付いているため、この部分に100均などで売っているストラップ紐をつけて、キーホルダーのようにカバンにつけて持ち歩くと、紛失防止にもなるし、必要なときにサッと取り出して使うことができて便利だった。

なお、カラーラインアップはブラック・エメラルド・ゴールド・シルバーの4色展開で、普段のファッションに合わせてカラーを選べる。今回提供いただいたサンプルはブラックで、ツヤがあり高級感も感じられる。

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3つの遮音モードでどんな環境でもノイズを低減

loop Switch 2には、周囲の音の遮断レベルを調整できる3つのモード 「Quiet」 「Experience」 「Engage」 が用意されている。騒がしい場所で集中したいときや、大音量から耳を守りたいとき、会話に集中したいときなど、シーンに合わせてモードを切り替えることで、最適な音環境を作り出せる。

もっとも強くノイズを軽減するのが 「Quiet」 、ライブ会場など大きな音がなる場所で音を聞きながらも耳を守りたいときに便利な 「Experience」 、周囲のノイズを抑えて相手との会話に集中しやすくする 「Engage」 だ。

一番奥が 「Quiet」 、そのひとつ前が 「Experience」 、一番手前が 「Engage」

それぞれのモードは本体外側のダイヤルをひねるようにして切り替える。ダイヤルは小さな突起に爪を引っ掛けるようにしてひねると簡単に操作することができ、耳の中に入れている状態でも簡単にモードチェンジが可能だ。

おそらく多くの人が多用することになると思われるのが 「Quiet」 。3つのモードの中で最も強力な最大26dB SNRのノイズリダクションを実現するモードで、少し騒がしい場所でノイズを遠ざけて作業や読書に集中したいときに便利だ。

耳を保護する目的で使用したいときに便利なのが 「Experience」 。このモードは最大23dB SNRのノイズリダクションを実現するモードで、ライブ会場など大きな音が鳴る場所で音楽を楽しみつつも聴覚を守るのに適している。

昨今は子どものうちから大きな音に晒され続けると、将来的に聴力低下のリスクがあるという研究結果が報告されており、ライブ主催者側で安全対策の一環としてイヤーマフを無料で貸し出すという動きが広がっている。もちろん大人にとっても大きな音は耳に負担がかかっているため、その負担を減らしつつも、生の音楽を楽しみたいときに便利なモードと言えそうだ。

そして、最大20dB SNRのノイズリダクションで周囲のノイズを軽減し、目の前の相手との会話に集中しやすくするのが 「Engage」 モード。カフェのような空間だと、声の大きい人がいるだけで会話に集中しづらくなってしまうもの。こういった状況でも友人との会話に集中したいときに便利なのがこのモードだ。

電気も通っていないのにモードの使い分けができるのかと疑問に感じる人もいるかもしれないが、実際に使ってみると意外とはっきりと違いが感じられる。

「Quiet」 はしっかりと耳にフタをするようなイメージで、エアコンの風の音など 「ずっと鳴っていると耳鳴りのようで気になる音」 はほぼ完全に遮断でき、キーボードのカシャカシャ音もコツコツ……くらいまで軽減してくれる。

さすがに大声で話している人の声や乗り物の音までは完全には遮断できないものの、それでも 「遠くから聞こえてくる」 程度までは軽減できることから、作業への集中度はかなり高めることができた。

また、先日ドイツに出張したときには、10時間を超えるフライトのなかで 「Quiet」 モードがとても役に立った。ワイヤレスイヤホンの場合は数時間でバッテリー切れになってしまうが、loop Switch 2は充電要らずで何時間も使えることから、機内食の時間以外はずっとつけっぱなしにして快適なフライトを楽しむことができた。

長時間フライトでは 「Quiet」 モードが役に立った

ベルリンの観光地にあるカフェに入ったときには、「Engage」 モードが大活躍。ヨーロッパでは店の外に座席があるカフェが多く、このときも外の席でコーヒーを飲んでいたのだが、広場で大音量で音楽をかけながらパフォーマンスをする人がいたり、警察車両や救急車が大音量でサイレンを鳴らしながら走り抜けていったりと周囲はとにかく騒がしく、一緒にカフェに入った友人も 「ベルリンはやっぱりうるさいね」 なんてちょっぴり愚痴をこぼしていた。

そんなときに 「Engage」 モードにしたloop Switch 2をつけて会話をしてみると、周囲の雑音を軽減しつつも、目の前の友人の声はしっかりと聞き取ることができ、騒がしい環境でも楽しくおしゃべりすることができた。友人にも使ってみてもらったところ、「さっきよりもずっと会話しやすい!」 「騒がしい街中では便利だね!1つ買ってみようかな?」 と気に入ってもらえたようだった。

ちなみに、先日搭乗したドイツ便では、同じくloopの製品を使っている人が数人いたのが印象的だった。普段は周囲の人をじっくり観察することはないが、今回はレビューのためということもあって、つい気になって周りを見てしまったのだ。もちろん多くが機内で配られるイヤホン、あるいは自前のヘッドホンを装着していたものの、こういった耳栓が世界的に浸透しているんだなあと肌で感じることができた。

SNSでたまに話題になるLoop Switchは確かに良いものだ。ただし値段がネックか…?

Loop Switch 2は、電力を使わずにノイズをコントロールできるイヤーウェアであり、従来のイヤホンやヘッドホンとは異なるアプローチで快適な音環境を提供する。作業に集中したいときや、大音量から耳を守りたいとき、あるいは騒がしい場所でも会話に集中したいときなど、さまざまな用途に応じて活用できるのが大きな特長だ。

デザインも洗練されており、ポケットに入るコンパクトさとサッと取り出せる手軽さが、日常の中での使いやすさをさらに高めている。カラー展開も豊富で、ファッションに合わせて選べる点も嬉しい。

近年では、スマートウォッチが一定以上のノイズ環境に長時間晒されると警告を出すように、騒音が健康に与える影響に注目が集まっている。実際、美術館のように静かな場所と、騒がしい観光地では、過ごした後の疲れ方が大きく違うと感じる人も多いだろう。そうした日常のノイズと向き合う中で、Loop Switch 2は新たな選択肢となり得るはずだ。

日常のさまざまな環境で自分に合った音との過ごし方を選びたい人にとって、Loop Switch 2はとても優れた製品だと言えるだろう。耳栓の枠を超えた “スマート耳栓” として、これからのライフスタイルにおいて頼れる存在になってくれると感じた。

Loop Switch 2は公式サイトAmazon.co.jpなどのECサイトで購入可能。8,790円(税込)と購入するのに少し勇気がいる価格ではあるのだが、こういう製品を求めているユーザーは意外と多いハズだ。

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