
Electronic Arts傘下のBattlefield Studiosは、「Battlefield」 フランチャイズの次期タイトルの開発に向けたコミュニティテストプログラム「Battlefield Labs」をアジアの複数の国で開始した。
シリーズ史上最大規模となる本プログラムは、ユーザーとともに “真のBattlefield体験” をカタチ作ることを目指し、プレイヤーのフィードバックを直接開発に反映する取り組みとして位置付けられている。
「Battlefield Labs」 は、開発者とコミュニティの “共創” の場
Battlefield Labsは、ゲームプレイの早期テスト段階からプレイヤーの声を取り入れることで、戦闘、破壊、マップ、モード、武器など、次期作に導入予定の新要素を徹底的に検証する取り組みだ。本プログラムは、開発チームがプレイヤーと共にゲームの核心を見つめ直し、構築していくための「ラボ」として機能する。公式サイト (battlefield.com/labs) やDiscordを通じて、選考外のプレイヤーにも定期的な進捗報告が届けられる予定だ。
「Battlefield Labs」 がスタートした背景には、Battlefieldシリーズの再起と再定義という、開発側の明確な危機感と意志がある。過去数作にわたり、シリーズは批評家・ユーザーの間で賛否両論を呼び、ゲームプレイの完成度やライブサービス面での不満が指摘されてきた。とりわけ『Battlefield 2042』では、発売初期に多数のバグやゲームデザイン上の問題が表面化し、熱心なファン層の一部からも厳しい評価を受ける結果となった。
この反省を踏まえ、EAおよびBattlefield Studiosは、従来の開発手法を根本から見直す必要があると判断。その答えとして登場したのが、プレイヤーと初期段階から密に連携する、この 「Battlefield Labs」 だ。
Respawnの責任者であり、EA Studiosのゼネラルマネージャーも務めるVince Zampella氏は次のようにコメントしている。
私自身、Battlefieldをプレイしてきた長年のファンです。このゲームには計り知れない可能性があります。その可能性を最大限に引き出すために、試作段階の今こそ、私たちが開発している体験をテストすべきタイミングです。
EA Studios ゼネラルマネージャー Vince Zampella氏

Battlefield Labsの運営母体であるBattlefield Studiosは、現在以下の4つのスタジオで構成されており、これら4スタジオの連携によってシリーズの新たなBattlefield体験が模索されている。
- DICE:Battlefieldシリーズの生みの親
- Ripple Effect:シリーズの新たなゲーム体験を創出するスタジオ
- Motive:『Star Wars: Squadrons』や『Dead Space』などを手がけた開発陣
- Criterion:『Burnout』シリーズなどで知られる名門、Battlefieldでも重要な役割を担う
これまでにヨーロッパと北米のコアプレイヤーを対象とした初期セッションが4回実施されており、数千時間に及ぶゲームプレイから、以下の点が検証されたという。
- 低遅延かつ高パフォーマンスな銃撃戦の基盤構築
- かがみダッシュ、ローリング、飛び越えなどのアクションバランスの調整
- 環境破壊を活用した、戦術性と持続性に富むゲーム体験の実現
これらのセッションでは、壁や窓、クレート、建物など100万以上の環境オブジェクトが破壊され、そのダイナミズムが再構築されたゲーム性に直結していることが示されたとのことだ。
なお、今回発表されたアジアでの展開は欧州・北米に続く形での実施となる。当初は招待制となり、選ばれたプレイヤーは武器のアーキタイプ調整や、ダメージバランス、戦闘のテンポといった初期重点項目のテストに参加できる。サーバーロケーションの拡大や招待枠の拡張も順次行われる予定であり、選ばれていないプレイヤーも継続的に開発情報へアクセス可能だ。
20年以上にわたって戦場体験の最前線を走ってきた 「Battlefield」 シリーズにとって、Battlefield Labsは単なるテストプログラムではない。これは開発者とプレイヤーが対話し、共に次の一手を形作る“共創の場”である。今後 「Battlefield」 がどのような進化を遂げるのか。その答えは、すでにテストに参加しているプレイヤーと、これから参加する世界中のゲーマーによって導かれることになるだろう。
(画像提供:Electronic Arts)