「撮り鉄」 のマナー問題を生成AIが解決?アドビ ✕ 相模鉄道のワークショップに参加してきた【イベントレポ】

アドビと相模鉄道は11月24日、撮り鉄イベント 「楽しく撮り鉄!生成AIで鉄道写真をもっと簡単に!」 を開催した。

本イベントは、Adobeの生成AI技術 「Firefly」 をつかって、鉄道写真を撮影・編集するワークショップ型イベント。アドビと相模鉄道の共催イベントは、今回が初めての試みだという。

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アドビ ✕ 相模鉄道の生成AIを活用したワークショップ型イベントが実施

近年、鉄道関連の話題で「撮り鉄」というキーワードがよく取り上げられるようになった。「撮り鉄」 とは、鉄道車両の撮影を楽しむ鉄道ファンやその文化を指す言葉だが、一部の 「撮り鉄」 による危険行為や不適切な撮影マナーが社会問題となり、鉄道各社はこれらの迷惑行為への対応に苦慮している。

今回のイベントは、そうした問題を生成AI技術で解決しようという試みだ。生成AI技術を使えば写真に映り込んだ人や物を消去できるため、より安全に鉄道写真が撮影できるのではないかという発想である。

イベントで参加者たちは、誰でも無料で利用できる 「Adobe Express」 に搭載されている生成AI 「Adobe Firefly」 を使用し、映り込んだ人や物を消す作業に挑戦した。ちなみに、「Adobe Express」 および 「Adobe Firefly」 は商用利用も可能であるため、個人だけでなく法人などの組織団体でも安心して利用することが可能だ。

イベントには、抽選で選ばれた多様な職業・年齢層の一般参加者31名と多数のメディア関係者が参加。相模鉄道の星川駅から、本イベントのために特別運行した臨時回送列車に乗車し、2番目の会場であるかしわ台電車区・車両センターまで移動した。

臨時回送列車の入線の際には、記念撮影を楽しむ時間が設けられたほか、星川駅駅長が臨時回送列車の前で敬礼するサービスタイムも。ホームでは 「現在、駅長が特別に皆さんをお見送りしております。この機会に撮影はいかがでしょうか」 というユニークなアナウンスも流れ、参加者たちからは楽しそうな笑い声が上がっていた。

Adobe広報の吉原氏と相模鉄道のキャラクター 「そうにゃん」 のツーショット

臨時回送列車に乗車してからは、沿線の見どころポイントなどを紹介する特別な車内アナウンスを聞くことができたり、参加者たちが自ら車内アナウンスにチャレンジする車内アナウンス体験が実施。お子さんによる可愛らしいアナウンスや、本物の車掌さんのようにスムーズなアナウンスなど、様々なアナウンスが披露された。

かしわ台電車区・車両センターに到着してからは、普段は一般公開されない車両センターで、古い電車から新しい電車まで様々な電車の写真撮影を思い思いに楽しんだ参加者たち。最後には参加者全員が電車の前で記念撮影をして、車両センターでの撮影体験は終了となった。

撮影体験終了後には、車両センターにある会議室で生成AIを体験するワークショップが開催。参加者たちはAdobe Expressの 「オブジェクトを削除」 機能を使い、今回のイベントで自身が撮影した写真を実際に加工した。

不要な人物などが写り込んでいる範囲を指やマウスで選択し、加工を実施。多くの人が思い通りに削除できたようで、会場のあちこちからは 「おおー!」 と声が上がっていた。

イベントの最後では、ゲストとして今回のイベントに参加した『日本のもじ鉄 鉄道サインと書体の図鑑』(三才ブックス) の著者・石川祐基さんのトークセッションが実施。石川さんが実際に撮影した写真を生成AIを使って加工する様子を紹介した。

石川さんが撮影した写真の中には、人物と物がかぶって写ってしまったりと一見加工が難しそうなものもあったが、賢い生成AIのおかげでどれも綺麗に消すことができており、参加者たちからは拍手が上がっていた。

サンプル写真の中には、工場で作られたばかりの電車を機関車で牽引して車庫まで持ってくる 「甲種輸送」 の際に撮影されたという貴重な写真も。自身も鉄道ファンだというアドビの岩本氏が 「なかなかマニアックな写真ですね〜!」 とコメントすると、会場は笑いに包まれた。

鉄道を愛する人にとって、綺麗な風景の中で特別な車両が走る様子をベストな状態で撮りたいと思うのは当たり前のこと。しかし、撮影時にマナーを守らない人が出てきてしまうと、そもそも撮影会自体がキャンセルになってしまうなど今後の撮影の機会が失われてしまう可能性がある。また、臨時列車など1回しかないチャンスの撮影において、「写真を確実に撮りたい」というプレッシャーから必要以上に過激な言動にでてしまう人もいるという。

撮影した写真を加工することは、撮り鉄からはあまり歓迎されていない行為だと聞く。しかし、今回のイベントのように 「生成AIを使って撮影後に加工する」 という選択肢を持っておくことで、周りに配慮しながら、心にゆとりを持って撮影に臨むことができるのではないかと石川さんは語った。

なお、イベント終了後には、一部参加者が運転シミュレーターを体験することができた。これは相模鉄道の運転士が実際に使用するものであるとのこと。シミュレーターは現実の運転台とほぼ同じで、電車の挙動や動作音などがリアルに作られていた。鉄道が好きな人なら誰しもが一度体験してみたいものだったろう。今回のワークショップ参加者にとっては、非常に貴重な体験会となったのではないだろうか。

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