Apple、EUでアプリのサイドローディングを許可。App Store外のアプリも人力レビューで安全にダウンロードできる仕組みに

米Appleは現地時間1月25日、EU域内においてApp Store外からのアプリのダウンロード (サイドローディング) を認めると発表した。

利用できる国は、アイルランド/イタリア/エストニア/オーストリア/オランダ/キプロス/ギリシャ/クロアチア/スウェーデン/スペイン/スロバキア/スロベニア/チェコ/デンマーク/ドイツ/ハンガリー/フィンランド/フランス/ブルガリア/ベルギー/ポーランド/ポルトガル/マルタ/ラトビア/リトアニア/ルーマニア/ルクセンブルクの27カ国。今年3月にリリース予定のiOS 17.4をiPhoneにインストールすることで利用できるようになる。

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AppleがEU域内でアプリのサイドローディングを許可

この変更は、欧州連合(EU) が3月6日に発行するデジタル市場法 (Digital Markets Act, DMA) に準拠するためのもの。Appleは、欧州連合によって独占的なデジタルプラットフォーム 「ゲートキーパー」 6社のうち1社に選ばれている。

具体的には、Appleは 「alternative app marketplaces」 と呼ぶ、App Store以外からアプリをダウンロードできるマーケットプレイスを作成するための新しいフレームワークおよびAPIを開発者に提供する。開発者はこれらを利用することで独自のマーケットプレイスアプリを提供することが可能になり、ユーザーはそこからApp Store外のアプリケーションをダウンロードすることが可能になる。

こうしたサイドローディングを認める一方で、Appleは提供されるすべてのiOSアプリに対して必ず 「Notarization (公証)」 を受けることを義務付ける。

これまでApp Storeでは、配信するすべてのアプリに対してAppleが人力でアプリをレビューし、危険性がないかどうかチェックしていたが、もしサイドローディングでApp Store外のアプリをすべて許可してしまうと、知らないうちにiPhoneの中にマルウェアが常駐するようになったりと、ユーザーが危険に晒される可能性があるからだ。

そのため、Appleは 「alternative app marketplaces」 において、主に提供するアプリでも機械によるチェックと人力によるチェックを継続して提供するとしている。レビューは主に、プラットフォームの整合性とユーザーの保護に焦点を当てたものであるとのことだ。

「alternative app marketplaces」 で提供するアプリについては、誰が開発したのか、アプリのスクリーンショット、その他の重要な情報など、ダウンロードする前にアプリの機能や説明を確認できる仕組みを担保する。また、アプリが一度インストールされたあとにマルウェアが含まれていることが明らかになった場合は、その段階でアプリケーションの起動が妨げられる機能も実装する。

Appleはユーザー側にも注意喚起を行う。「alternative app marketplaces」 をインストールする際に警告する画面を表示するとのこと。ちなみに、App Storeではなく、「alternative app marketplaces」 をデフォルトのストアアプリに変更することも可能だという。

なお、AppleはEU域内のApp Storeにおけるデジタル商品・サービス販売手数料を従来の最大30%から17%に引き下げる。中小企業向けの割引対象となるアプリについては10%に引き下げる。

また、App Storeの支払い処理システムを利用する場合には、追加で3%の手数料が必要。ただし、アプリ内で支払いサービスプロバイダを使用するか、自分のウェブサイトにリンクしてユーザーに支払いを処理してもらう場合などは、Appleに追加の手数料を支払う必要はない。

さらに、App Storeおよび 「alternative app marketplaces」 で配信するiOSアプリのうち、100万ダウンロードを超えるアプリケーションにおいては、初回のインストールごとに年1回、1件につき0.5ユーロのコアテクノロジー手数料を求めるとのことだ。

(画像:Apple)

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