9月15日に開幕した 「東京ゲームショウ2022」 にあわせて、日本マイクロソフトはXboxの最新情報を公開する番組 「Xbox Stream」 を配信。同番組で、多くの国内タイトルがXbox Game Pass入りすることが発表された。
本発表に先駆けて、本誌ではXboxのゲームクリエイターエクスペリエンス&エコシステム部門の責任者であるサラ・ボンド氏に単独インタビューを実施した。
サラ・ボンド(Sarah Bond)氏は、マイクロソフト コーポレートバイスプレジデント Xbox ゲームクリエイターエクスペリエンス&エコシステム部門の統括責任者を務める。Xboxの新作タイトル発表会に登壇するため、Xboxファンにはお馴染みのエグゼクティブのひとりだ。
今回のサラ氏へのインタビューを通じて、Xboxが日本市場をどのように見ているのか、またXboxが今後日本などのゲーム先進国だけでなく、アジアやアフリカといったこれからの発展が期待できるゲーム新興国においてどのようなビジネスの展望を持っているのかについて一部聞くことができた。
なお、9月15日に配信された 「Xbox Stream」 で発表された内容を以下で簡単にまとめておく。より詳しい情報についてはぜひ本イベントの映像をご覧頂きたい。
- 『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』Xbox One/Windows 10で発売。Xbox Game Passでも配信
- 『オーバーウォッチ 2』に日本出身の新ヒーロー 「キリコ」 が参戦
- 『二ノ国』シリーズが Xbox へ参画。『二ノ国 白き聖灰の女王 REMASTERED』がXbox One/Xbox Series X|S/Windows PC/Xbox Game Pass で配信
- 『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』リマスター版が10月16日にXbox/Windowsでプレイ可能に。新トレーラーが公開
- 『GUILTY GEAR -STRIVE-』が Xbox Game Pass に登場
- 『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE Special Edition』が Xbox Game Pass に登場
- 『百英雄伝』最新情報が公開
- 『パルワールド』がXboxに登場
- 『戦場のフーガ』がXbox Game Passで配信
- 『Dyson Sphere Program』がPC Game Passで配信
- 『エグゾプライマル』Xbox Series X|S/Xbox Oneで2023年に発売
- 『DEATHLOOP』がXboxで発売。Xbox Game Passにも対応
など
サラ・ボンド氏:
まずは皆様にTGS2022で情報を共有できることをとても嬉しく思います。今回は22本のタイトルについての最新情報があり、そのうち18本はXbox Game Passでの配信が決定しています。
18本のうち、15本はアジアで開発されたものであり、その中の13本が日本で開発されたものです。そして、その中の4本が9月15日からXbox Game Passでプレイできるようになり、来週の9月20日には『DEATHLOOP』がプレイできるようになります。
以前よりもアジアでXboxをプレイするユーザーが増えていることを私たちは嬉しく思っています。日本でXbox Game Passを発表してからは、アジアのプレイヤー数が2倍になりました。
Xboxをプレイする新規ユーザーの5割以上はXbox Series Sを選んでいます。また、PC Game Passやクラウドゲーミングにより、ユーザーはXboxコンソールを買わずともPCやその他のデバイスでタイトルを楽しむことができるようになっています。
私たちはアジアのXboxファンに耳を傾けることを重視しており、最大のエクスペリエンスを提供できるように心がけています。たとえば、日本で 「Xbox Design Lab」 の提供を開始しましたが、それもその一環です。東南アジアでのPC Game Passの提供も開始しました。
また、大小さまざまな規模のパートナーがXboxで成功を得ています。250のクリエイターがXboxゲームの開発をしており、すでに150のクリエイターのタイトルが提供済みとなっています。たとえば『テトリス・エフェクト』『クラフトピア』『RPGタイム!~ライトの伝説~』などが含まれます。
今後、さらに『Wo Long: Fallen Dynasty』や『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』が提供されます。これらのニュースを共有できたことをとても嬉しく思っています。
ーーありがとうございます。日本のタイトルをXbox Game Passで配信することで、より多くの日本のユーザーを取り込みたいという狙いがあると思います。実際、日本やアジアのタイトルの配信が増えてきていますが、効果はどれくらいあったと考えていますか?
サラ・ボンド氏:
現在、Xboxをプレイするユーザーが過去最高にまで増えているんです。最新のXbox Series X|Sは成功しており、アジア圏のXbox Game Passユーザーは2倍に増えました。
私たちの哲学は、プレイヤーが中心にあり、ゲームにより簡単にアクセスできるということにあります。その理念が世界中、そして日本やアジアにおいても受け入れられていると考えています。
ーーXbox Game Passの利用者が広がる下地として、Xbox Series XとSeries Sでは、Xbox Series Sを選ぶユーザーが多いのでしょうか?
サラ・ボンド氏:
そうですね。Xboxが大事にしていることはゲームをアクセシブル (プレイしやすいよう)にすること。それを実現するために 「Xbox Series S」 のような、より手頃な値段で手に入れられるコンソールを第9世代では提供しています。
さらに、Xboxでのゲーム体験を、PCであろうとどのようなデバイスであろうとできるように、Xbox Cloud Gamingも提供しています。おっしゃる通り、Xboxの新規ゲーマーは、半分以上がXbox Series Sでプレイしている状況です。
ーーXbox Game Passで配信するタイトルは、どういったユーザーをターゲットにした作品が多いのでしょうか?ジャンルやユーザー層などこだわっていたら教えてください。
サラ・ボンド氏:
Xbox Game Passで配信するタイトルについては、特にジャンルを絞ったり、特定のユーザー層を狙うということはしていません。
本来ゲームというのは全ての人のものです、しかし昔はゲームコンソールの購入には数百ドルという大金を払う必要があり、さらに一つ一つのタイトルに対してももしかすると100ドルくらいお金を払わなければゲームをプレイすることができませんでした。
ゲームを手頃な値段でプレイできるようにすることで、有名タイトルはもちろん、まだプレイしたことのないタイトルにも出会いやすくなります。
だから私たちは、Xbox Game Passのラインナップに有名で代表的な作品はもちろん、まだ多くの人が気づいていない優れた作品も入れるなど、ジャンルにこだわらず幅広いゲームラインナップを用意することが、多くの人にXboxのタイトルをプレイしてもらうために重要なことだと思っています。
ーー確かに。一方でXbox Game Passに日本向けのタイトルが追加されていくことは大きなことだと思います。実際、『ペルソナ』3作品がXboxで配信されると聞いて、Xboxを購入してみようかなという声も私の周りから上がっていました。それについても、Xboxとしては特定のジャンルを多くするということはなく、幅広いラインナップを揃えていくということですね。
サラ・ボンド氏:
多くの意味で、日本はゲーム業界の中心、心臓部だと思っています。数多くの有名クリエイターや物語が日本から生まれて、そして今でもそれらのタイトルが続いている。日本はゲーム業界にとって重要な存在です。
すでに誰もが知っている作品の開発をサポートしていくことはもちろん重要ですが、それに加えて、これまで誰も見たことのない作品を作るクリエイターをサポートすることも重要だと思っています。
例えばインドやアフリカにおいては、日本と同じくらいゲームをプレイするであろうユーザーが10億人ぐらいいて、彼らに対しても私たちは投資していきたいと思っています。そうすることで、日本と同じようにこれらの地域からも多数のクリエイターや作品が生まれていくはずです。
ーーありがとうございました。
インタビューを終えて
今回のインタビューでサラ氏は、日本がXboxにとって、そしてゲーム業界にとって重要な存在であると語ってくれた。
日本には古くから人気のあるタイトルも多く、そういったタイトルをXboxプラットフォームに加えることは、日本市場ひいてはグローバル市場において、Xboxブランドをより浸透させることができるかもしれない。
また同時に、グローバルの観点でXboxファンの満足度を高めつつ、新たなファンを創出するためにどのように取り組んでいるのかについても言及された。
有名なタイトルだけでなく、新たなゲームデベロッパーへの投資を継続し、幅広いラインナップを配信すること。そして、Xboxのゲームラインナップに誰もがアクセスしやすい環境を整えることをXboxは重要視している。
このXboxの理念は、Xbox Series X|Sといったコンソールや、Xbox Game PassやPC Game Passといったサブスクリプションサービスの好調を牽引する鍵となっているようだ。
彼らの取り組みは、今後Xboxのファンのみならず、世界のゲーム人口そのものを増やしてくれるかもしれない。