「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 本日7月29日オープン。夜の長居植物園が光り輝く幻想空間に

チームラボ《ツバキ園の呼応する小宇宙 – 液化された光の色, Sunrise and Sunset 》©チームラボ

総面積65.7haを誇る、大阪の総合公園 「長居公園」 が大規模リニューアル。その一環として、デジタルアートを生み出すアート集団チームラボによる夜の常設展 「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 が広大な植物園 「長居植物園」 に本日7月29日に誕生する。

オープンに先駆ける形で、今月27日に報道陣向け内覧会が実施された。当記事では 「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 がどんな展覧会になっているのかなど、内覧会の様子をレポートしたい。

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「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 

「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 は、大阪府大阪市にある長居植物園に常設される展覧会。

長居植物園は、広さ約24万平方メートル、約1,200種類の植物が生い茂る植物園で、植物が未来に向けて生き生きと成育できる環境をつくるため、樹木の間伐や根の成長を見越した配置換え (植替え) 、土壌改良を経て2022年4月1日に再オープンしている。

チームラボは、自然を破壊することなく 「自然そのものが自然のままアートになる」 というアートプロジェクト 「Digitized Nature」 を展開しており、 今回の 「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 もそのコンセプトのもと、昼間は植物園である場所が、夜になるとそのまま作品空間となる。

自然の中で吹く風や雨、訪れる鳥や人々のふるまいの影響を受けながらインタラクティブに変容。自然とともに人々を作品の一部、長い時間の一部にしながら、作品と人々と自然、自分と他者、過去、現在、未来が境界なく連続していくアート空間になっている。

今回の内覧会では、まずは入口から入ってすぐの 「ラクウショウ並木」 にてセレモニーが実施。実行委員会であるチームラボ代表の猪子寿之氏や、長居公園の指定管理事業者として2021年4月より管理・運営を行っている、わくわくパーククリエイト株式会社 代表取締役社長の神原清孝氏、そして来賓の大阪観光局長 溝畑宏氏の挨拶からスタートした。

セレモニーの終了後には、チームラボのメンバーによる約1時間の作品解説ツアーが実施。「ラクウショウ並木」 から順に、園内の作品をチェックすることができた。

チームラボ《生命は連続する光 – ラクウショウ》©チームラボ

まず最初の作品となる《生命は連続する光 – ラクウショウ》と、その次の作品である《呼応するサルスベリ》。

ライトアップされたラクウショウやサルスベリの木に近づくと、光がより一層強く輝き、ポーンと心地よい音が辺りに響き渡る。光と音は周囲のラクウショウやサルスベリに徐々に伝播していき、波のように広がっていく。

続いては卵型のオブジェ 「Ovoid (卵形体)」 がツバキ園の中に無数に散らばる《ツバキ園の呼応する小宇宙 – 液化された光の色, Sunrise and Sunset》《ツバキ園の呼応する小宇宙 – 固形化された光の色, Sunrise and Sunset 》《呼応するツバキ園》。

辺り一面に配置された 「Ovoid」 は、人々が手で押したり、もしくは風に吹かれて揺れたり、雨が当たったりすると、不思議な音を周囲に響かせながら色を変えていく。光や音は周囲のOvoidにも伝播していく。

ツバキ園を抜けると、次は季節限定の草花が楽しめる 「ライフガーデン」 へ。現在の時期は期間限定の作品《生命は闇に浮かぶまたたく光 – ヒマワリ》が展示されている。

闇の中に咲くヒマワリに人々が近づくと、光が強く輝き、心地よい音色が響き渡る。光の輝きと音色は周囲にも徐々に伝播していく。このエリアは季節によって異なる花が植えられる予定で、現在はヒマワリを使った作品だが、ヒマワリの時期が終わるとまた新たな花をメインにした作品が展示予定であるとのことだ。

ライフガーデンを抜けてしばらく歩くと、次はユーカリの森が広がるエリアの作品《自立しつつも呼応する生命の森 – ユーカリ》に到着。

ツバキ園にもあったOvoidよりも大きいOvoidが配置されており、手で押したりかき分けたりすると発生する光や音を、ユーカリのいい匂いとともに楽しめる。

チームラボ《具象と抽象 – 二次林の入口》©チームラボ

さらに進んでいくと、「長居の里山」 エリアに到着。ここでは《具象と抽象 – 二次林の入口》《森の道 – 二次林》《森に描かれる空書 – ワンストローク、二次林》《森に憑依する炎 – 二次林》の4つの展示が楽しめる。

《具象と抽象 – 二次林の入口》は、木々と格子状の光が交錯することで平面的に見えるという不思議なアート。人々が森の中に入っていくと、さらに線の集合が生まれ、アートが複雑になって広がっていく。続く《森の道 – 二次林》は、歩くペースによって森の中の音の体験が変わっていく作品だ。

《森に描かれる空書 – ワンストローク、二次林》は、チームラボが設立以来書き続けている、空間に書く書 「空書」 が森の中に現れる作品。暗い森の中に突如として空書が現れ、移動し、消えていく。

《森に憑依する炎 – 二次林》は、森の中に燃え盛る炎が現れる作品。炎は中心にある黒い 「絶対的な存在」 によって変化し、常に形の違った炎になる。

この作品は、スマートフォンの 「Distributed Fire」 アプリを使うことで、作品の炎をアプリによって持ち帰ったり、灯した炎を他の人のアプリに近づけて繋げたり、共有されて広がっていく炎をアプリ内の地図から確認することができる。最大限に楽しむためにもアプリの事前ダウンロード (iOSAndroid) をお忘れなく。

里山エリアを抜けると、《光色の草原 – カピラリス》の作品が広がる。カピラリスの光は人々が立ち止まるとさらに強く輝き、音色を響かせながら周囲に伝播していく。今の時期、カピラリスは青々としているが、これから晩夏〜晩秋にかけてふわふわとした穂をつけるため、また違った表情が楽しめそうだ。

植物園の中央に位置する大池には《大池に浮遊する呼応するランプ》が展示されている。

大池の水面に配置されたランプに近づいたり、もしくはランプが風に揺られたりすると、強く輝き音色を響かせる。光や音は周囲のランプに伝播していく。ランプの光は伝播する距離が最短になるように伝わっていき、全てのランプを通るようになっているとのこと。



この展示が筆者の個人的お気に入りスポット。ランプの柔らかい光が水面や周囲をやさしく照らすため、とても幻想的。日常を忘れられる特別な空間になっているため、デートなどにもピッタリだろう。

ランプ群の隣には、 「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 のメインの展示とも言える大きな作品《風の中の散逸する鳥の彫刻群》が展示されている。

この作品は、実際に周囲を飛ぶ鳥たちが空気などの環境を動かす連続的なエネルギーをリアルタイムに描いている。彫刻に映る不思議な映像は刻一刻と変化していくため、眺めているだけであっという間に時間が過ぎてしまう。

作品自体は池にある小島に配置されており、島には鳥たちが好む実がなる草木や、鳥が食べる虫が集まる草木を近くに植えており、鳥たちが集まりやすい環境を作っているという。

これらの草木に鳥が集まることでこの作品は成り立つが、鳥たちは池の島だけでなく、植物園の森や池の生態系によって存在している。この作品の存在の輪郭は物質的な境界面ではなく、周辺の環境に対して連続的で曖昧であるということが表現されている。

今回の内覧会では、すべての作品を一通りチェックすることができた。チームラボの展覧会を見たことがある人には馴染み深い作品もあったとは思うが、植物園の中で自然とともにアートを楽しむ体験は、屋内とは違った体験だったように思う。

また、今後は春夏秋冬、季節とともに移り変わる植物を生かした季節限定の作品も随時登場予定であるとのこと。季節を変えて訪れてみると、植物たちのまた違った姿を見ることができて面白いのではないだろうか。

なお、「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 は鑑賞ルートが決まっていて、基本的には一方通行で進んでいき、《風の中の散逸する鳥の彫刻群》が最後の作品となる。前の作品に戻ってもう一度見直すことはできないので、展示を見る際には注意していただきたい。

「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 は、本日7月29日にオープンとなる。夜の常設展ということで営業時間が19:30~22:00と短めなので、じっくりと見たい人は19:30から入場することをオススメする。最終入場は21:00だ。チケットの購入は公式サイトから。

teamLab取材
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