3月18日、Appleは新型 「MacBook Air(2020)」 を突如として発表した。Appleによると、同新型モデルはシザー構造の新しいMagic Keyboardを搭載したほか、上位のプロセッサを搭載したことで処理能力が向上、さらにはストレージ容量が2倍になったことでより多くのデータを保存しておけるようになったという。
当記事では上記の内容も踏まえつつ、新型MacBook Airが旧モデル(2018年モデル)に比べてどれほど進化したのかを比較し、買い替えはありかなしか考えてみた。購入・買い替えを検討している方はぜひ参考にしていただきたい。
デザイン
まずは製品デザインについてだが、結論から言うとMacBook Air(2020)は先代のMacBook Air(2019)から変更はなし。従来の美しいウェッジ型ユニボディの筐体をそのままに、画面サイズやベゼル幅、さらにはUSB-Cポートの位置など、製品デザインに関する変更点は存在しない。
MacBook Air(2019) | MacBook Air(2020) | |
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ディスプレイ | 13.3インチRetinaディスプレイ True Toneテクノロジー |
13.3インチRetinaディスプレイ True Toneテクノロジー |
解像度 | 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) | 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) |
Touch Bar | × | × |
Touch ID | ○ | ○ |
本体サイズ | 30.41 × 21.24 × 0.41〜1.56 cm | 30.41 × 21.24 × 0.41〜1.61 cm |
重量 | 1.25kg | 1.29kg |
ポート | Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 2 | Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 2 |
カメラ | 720p FaceTime HDカメラ | 720p FaceTime HDカメラ |
カラー | ゴールド シルバー スペースグレイ |
ゴールド シルバー スペースグレイ |
重量は1.29キログラムで先代モデルからわずかに増えた。先代モデルのMacBook Air(2019) は1.25キログラム。しかし、上位モデルのMacBook Pro (1.37~2.0kg) に比べて軽いのはそのままだ。最も軽量なラップトップを購入したいなら、MacBook Airを選ぶべきだろう。
シザー構造キーボード
MacBook Air(2020)の最大の変化、それはキーボードの変更だろう。これまでAppleのラップトップデバイスにはバタフライ構造キーボードが採用されてきたが、故障などの問題が多発したこともあり、Appleはシザー構造のキーボードを開発。昨年11月にMacBook Pro(16インチ)に搭載した。
MacBook Air(2019) | MacBook Air(2020) |
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第3世代バタフライ式キーボード 感圧タッチトラックパッド |
バックライトMagic Keyboard 感圧タッチトラックパッド |
そして今回発表されたMacBook Air(2020)には同シザー構造キーボードが搭載。MacBook Pro(16インチ)のキーボードは故障に関する報告がほとんどないことから、MacBook Airにおいてもキーボードの故障を心配をする必要はグッと減ったはずだ。
プロセッサ&グラフィック&メモリ
プロセッサの処理能力
MacBook Airは内蔵プロセッサの性能が向上している。搭載されているプロセッサは、Intelの第10世代 “Ice Lake” コアプロセッサ。標準モデルはIntel Core i3(1.1GHzデュアルコア)もしくはIntel Core i5(1.1GHzクアッドコア)だが、CTOオプションでIntel Core i7(1.2GHzクアッドコア)を選ぶことも可能だ。
MacBook Air (2019) | MacBook Air (2020) |
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第8世代 1.6GHzデュアルコアIntel Core i5 |
256GBモデル 第10世代 1.1GHzデュアルコアIntel Core i3 (Turbo Boost使用時最大3.2GHz) 4MB L3 キャッシュ 512GBモデル CTOオプション |
以下がそのベンチマーク結果。
端末名 | 発売年 | プロセッサ | シングルコア スコア |
マルチコア スコア |
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MacBook Air | 2020 | Core i3 (1.1GHz) | 1100 | 2899 |
Core i5 (1.1GHz) | 1174 | 3253 | ||
Core i7 (1.2GHz) | ー | ー | ||
2019 | Core i5-8210Y (1.6GHz) |
750 | 1551 | |
2018 | Core i5-8210Y (1.6GHz) |
710 | 1298 |
MacBook Air(2020)に搭載されたプロセッサは、昨年7月に発売したMacBook Air(2018)に比べて2倍近い性能になっていることが判明した。標準構成モデルに搭載されているプロセッサで比較するとシングルコアスコアは約1.5倍、マルチコアスコアは約1.85倍程度の向上になっている。
さらに、今回の新型MacBook Airは上位のプロセッサをCTOオプションとして選べるようになっており、そのうち中間のオプションとして用意されているCore i5プロセッサは、マルチコアスコアが2.1倍の性能向上がみられた。
現時点ではCore i7プロセッサは計測できていないが、同プロセッサを搭載したモデルはもしかするとMacBook Proにも匹敵する性能になっている可能性がある。
ちなみに以下は、MacBook Air(2020)とMacBook Proで計測した各種ベンチマーク表 (一部Geekbenchより)。MacBook Proと大きな性能差が設けられていたMacBook Airだが、今回の大幅な性能向上によって上位モデルにも引けを取らない性能に。非常に魅力的な端末に仕上がっているようだ。
端末名 | 発売年 | プロセッサ | シングルコアスコア | マルチコアスコア |
---|---|---|---|---|
MacBook Air | 2020 | Core i3 (1.1GHz) | 1100 | 2899 |
Core i5 (1.1GHz) | 1174 | 3253 | ||
Core i7 (1.2GHz) | ー | ー | ||
MacBook Pro(13-inch) エントリーモデル |
2019 | Core i5-8257U (1.4GHz) |
999 | 3705 |
Core i7-8557U (1.7GHz) |
1021 | 4025 | ||
MacBook Pro(13-inch) | 2019 | Core i5-8279U (2.4GHz) |
1034 | 3988 |
Core i7-8569U (2.8GHz) |
1112 | 4241 | ||
MacBook Pro(16-inch) | 2019 | Core i7-9750H (2.6GHz) |
1014 | 5627 |
Core i9-9880H (2.3GHz) |
1106 | 6588 | ||
Core i9-9980HK (2.4GHz) |
1179 | 7097 |
6Kの画面出力が可能に
↑ Pro Display XDRの仕様ページ
MacBook Air(2020)はグラフィック性能についても大きな進化を遂げていることがわかった。計測したベンチマークから、先代の2019年モデルに比べてOpenCLスコアが1.4倍、Metalスコアが2.5倍となっていることが明らかに。
MacBook Air(2020)は新たに6Kの映像出力に対応したが、それを可能にしたのは同モデルに搭載されたiGPUの性能が向上したおかげとみられる。ちなみに、同製品はPro Display XDRにフル解像度で映像を映し出すことができるようになった。
MacBook Air (2019) | MacBook Air (2020) | |
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メモリ | 8GB 2,133MHz LPDDR3オンボードメモリ (16GBに変更可能) |
8GB 3,733MHz LPDDR4Xオンボードメモリ (16GBに変更可能) |
グラフィック | Intel UHD Graphics 617 | Intel Iris Plus Graphics |
ちなみにメモリについては2,133MHz LPDDR3オンボードメモリ(MacBook Air/2019)から、3,733MHz LPDDR4Xオンボードメモリ(MacBook Air/2020)に変更。あまり触れられていないが、実はとても高いクロック数のメモリが搭載されている。
ストレージの最少容量が256GBに
MacBook Air(2020)は、ストレージ容量のラインナップに変更があった。
MacBook Air(2019)のストレージは128GB/256GB/512GB/1TBのラインナップだったが、MacBook Air(2020)のストレージは256GB/512GB/1TBGB/2TBのラインナップに。つまり、新型モデルは最低ストレージ容量が128GBから256GBに増えたことになる。最少ストレージ容量モデルを購入する派の方にとっては地味に嬉しいアップデートのはずだ。
MacBook Air (2019) | MacBook Air (2020) |
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128GB / 256GB / 512GB / 1TB | 256GB / 512GB / 1TB / 2TB |
オーディオ性能が向上
MacBook Air(2020)はオーディオ性能が向上している。
例えばスピーカーは従来通りステレオではあるが、さらにワイドなステレオサウンドに対応している。Dolby Atmos再生にも対応していることで、MacBook Airでの映画鑑賞などがより良いものになりそうだ。
また、地味に注目したいのがマイク性能。指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイが搭載されたことで、FaceTimeなどでクリアな音質で通話できるようになる。
MacBook Air(2019) | MacBook Air(2020) |
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ステレオスピーカー 3つのマイクロフォン 3.5mmヘッドフォンジャック |
ステレオスピーカー ワイドなステレオサウンド Dolby Atmos再生に対応 指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ 3.5mmヘッドフォンジャック |
オーディオ性能については実機で音を聞いたり通話をしてさらに追記したいと思う。
バッテリー持ちは若干悪化
多数のアップデートを遂げたMacBook Airだが、スペック表を確認すると、バッテリー持ちについては約1時間悪化していることが判明している。
バッテリー容量は新旧どちらも49.9Whとなっているため、単純に性能の向上に伴い消費電力が多くなったものと思われる。ただし、依然としてMacBook Proに比べるとバッテリー持ちは圧倒的に良いため、そこまで大きなデメリットにはならないだろう。
MacBook Air (2019) | MacBook Air (2020) | |
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バッテリー容量 | 49.9Wh | 49.9Wh |
バッテリー持ち | インターネット:最大12時間 iTunesムービー再生:最大13時間 |
インターネット:最大11時間 Apple TVアプリのムービー再生:最大12時間 |
価格の値下げ
最後は価格。MacBook Airはこれまで用意されていなかったCore i3搭載モデルが新設されたこともあり、最少スペックモデルの値段が下げられた。MacBook Air(2019)の価格は最安119,800円(税別)だったが、MacBook Air(2020)は104,800円(税別)から購入できる。その価格差は15,000円だ。
MacBook Air(2019) | MacBook Air(2020) |
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Core i5/128GB:119,800円〜 Core i5/256GB:139,800円〜 ※価格はいずれも税別 |
Core i3/256GB:104,800円〜 Core i5/512GB:134,800円〜 ※価格はいずれも税別 |
ちなみに、同じCore i5搭載モデル同士で比較するとMacBook Air(2019)は119,800円(税別)だったのに対して、MacBook Air(2020)は114,800円(税別)ということになる。実質の値下げは5,000円程度と考えることもできそうだ。前述のとおり最少ストレージ容量も増えているため、間違いなくお得になったとは言えるだろう。
MacBook Air(2019) | MacBook Air(2020) |
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Core i5/128GB:119,800円〜 Core i5/256GB:139,800円〜 ※価格はいずれも税別 |
Core i3/256GB:104,800円〜 Core i5/256GB:114,800円〜 Core i7/256GB:129,800円〜 ※価格はいずれも税別 |
以上の理由から、新型MacBook Airはエントリーモデルとしては非常に魅力的なデバイスになっているといえるのではないだろうか。もちろん、MacBook Proに比べたら性能は劣るものの、同モデルほど高い性能のラップトップデバイスを必要としないなら、MacBook Air(2020)の購入は十分にアリだろう。ぜひご検討いただきたい。