3月31日に発売になった新型4インチ型iPhoneの「iPhone SE」。4インチ型のiPhoneを好むユーザーにとっては待望の新型機で、性能もほとんど主力機の「iPhone 6s」と変わらないことから意外と販売数が伸びている。
しかし、発売以降ずっと在庫切れが続いており、予約してから数週間以上も待たされているユーザーが多い状態で、一向に供給ペースが回復しないように感じる。いつになったら品薄状態が回復するのだろうか。
どうやらAppleは、「iPhone SE」の生産を増やすことに積極的ではないようだ。
「iPhone SE」が売れすぎることでフラグシップモデルの販売が鈍ることを懸念?
日経ビジネスONLINEによると、「iPhone SE」の供給不足が続いている理由として、部品の在庫が不足していることが挙げられるという。
Appleに部品を供給するメーカーによると、「iPhone SE」のほとんどの部品は「iPhone 6s」や「iPhone 5s」の部品が流用されているが、「iPhone SE」の需要の高さから、部品の在庫量が供給に追いついていない状況であるという。
「iPhone SE」の需要はAppleの想定よりも大きく上回るものだったとCEOティム・クック氏は先の決算発表時に話していたが、そもそものAppleの計画として、「iPhone SE」の製造は「iPhone 6s / 5s」用部品の在庫量である程度賄えると考えていたようで、すぐに増産というわけにはいかないような状況であるようだ。
供給不足が続く理由としてもう一つ、それはApple自身に「iPhone SE」を増産する気がないことが挙げられる。
「iPhone SE」はもともと日本やアメリカなどの先進国ではなく、むしろインドなどの新興国を対象にした製品で、「iPhone SE」が売れすぎることで高付加価値のついた「iPhone 6s / 6s Plus」や秋に発売になる「iPhone 7」の販売に影響が出ることを懸念しているとのこと。
実際、部品メーカーからすると「iPhone 6s」の方がより高い付加価値が付けられており、「iPhone SE」の販売が伸びるのは困る状況なようだ。
決して「iPhone SE」が売れるのは嬉しくないわけではないが、Appleとしては少し複雑な気持ちであることは間違いなさそうだ。
日経ビジネスONLINEも「(Appleは)マーケティングにはさほど力を入れておらず、今もテレビで流れているCMは6sが中心だ」と指摘している通り、Appleは「iPhone SE」よりも「iPhone 6s」を積極的にアピールしており、あくまでもAppleの主力機は「iPhone 6s」だという印象が強い。
ただ、このままずっと品薄状態が継続するのは、本来獲得できるはずだった顧客を手放してしまうことに他ならず、Appleとユーザーのどちらにとってもあまり良い状況ではない。
決して「iPhone SE」が爆売れしているわけではないが、多くのユーザーが4インチ型「iPhone」を求めているのも事実。現在の主力iPhoneは4.7インチモデルと5.5インチモデルだが、僕の周りでも5.5インチモデルが好きな人も、4インチモデルが好きな人もいっぱいいる。
ラインナップがより複雑になってしまうのかもしれないが、今後のiPhoneのラインナップにはやはり4インチ型「iPhone」も必要になるのではないだろうか。